東京海上日動とコムテックが戦略的提携――ドラレコ映像で事故対応サービスはどう変わる?

東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)が、ドライブレコーダー大手の株式会社コムテック(以下、コムテック)と、ドライブレコーダー映像を活用した戦略的業務提携を結びました。今回の提携により、自動車保険の事故対応サービスがどのように変わり、利用者にどんなメリットが生まれるのか、わかりやすくご紹介します。

提携の背景:ドラレコと自動車保険の“融合”

東京海上日動は、すでにドライブレコーダー付き自動車保険「ドライブエージェント パーソナル(DAP)」を展開し、約100万台の車に対して独自の事故対応サービスを提供してきました。
DAPでは、事故などの衝撃を検知すると、ドライブレコーダーから自動的に映像や位置情報が送信され、同社の「救急応対デスク」につながる仕組みを整えています。これにより、事故直後の不安を和らげ、迅速な事故対応や救急手配が行えることが特長です。

一方、コムテックは、国内ドライブレコーダー市場で8年連続販売台数No.1の実績を持つ大手メーカーです。 市販ドラレコの普及を背景に、事故の証拠として映像を活用する文化は広がってきましたが、その映像を「保険会社の事故対応」にスムーズに結びつける仕組みは、まだ十分とは言えませんでした。

こうした中で、東京海上日動とコムテックは、ドラレコ市場と自動車保険市場を融合し、新たな価値を生み出すことを目的に戦略的業務提携を締結しました。
この提携により、「ドラレコで録画した事故映像を、保険会社がより簡単・安全に受け取って活用できる」仕組みが本格的に動き出します。

業務提携の第一弾:クラウド経由で事故映像を送信する新システム

今回の提携による協業第一弾として、コムテック製ドライブレコーダーで録画された事故映像を、東京海上日動がクラウド経由で受信できる映像連携システムが構築されます。サービス開始は2026年2月が目標とされています。

この仕組みにより、コムテック製ドラレコを使用しているお客様は、次のような流れで事故映像を東京海上日動へ送ることができます。

  • 事故時の映像が、ドラレコのSDカードに記録される
  • 利用者は、自宅などで普段使っているPCにSDカードを挿入する
  • 専用の仕組みを通じて、事故映像をクラウド経由で東京海上日動へ送信できる

これまでは、事故映像を保険会社へ提出するために、「SDカードを郵送する」「データを自分でコピーしてメールや別の手段で送る」といった手間や時間がかかることが一般的でした。
今後は、そうした面倒なやり取りを減らし、パソコンから簡単・安全に映像を送信できるようになることで、事故対応のスピードとお客様の利便性が大きく向上すると期待されています。

事故対応はどう変わる? 利用者にとってのメリット

この新しい映像連携システムによって、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。ニュースや東京海上日動の発表資料から、そのポイントを整理してみましょう。

1. 事故対応の「迅速化」

事故映像は、過失割合の判断や事故状況の確認にとって、とても重要な証拠になります。しかし、映像の受け渡しに時間がかかると、事故の示談交渉や保険金支払いまでのプロセスが長引いてしまうこともあります。

今回の仕組みでは、クラウド経由で映像を早期に共有できるため、保険会社側が事故状況を正確かつ迅速に把握しやすくなります。これにより、

  • 事故の内容確認にかかる時間の短縮
  • 過失割合などの判断のスピードアップ
  • 示談交渉や保険金支払いプロセスの円滑化

といった効果が期待されます。

2. お客様の「手間」を軽減

事故のあと、慣れない対応に追われる中で、SDカードの取り扱いや映像提出の方法を考えるのは大きな負担になりがちです。

新システムでは、いつも使っているPCから簡単に送信できるため、郵送手続きや難しいデータ操作が不要になります。
心理的にも「映像をどうやって渡せばいいのか」という不安が減り、利用者にとってよりやさしい事故対応につながります。

3. 事故対応サービスの「高度化」

東京海上日動は、これまでDAPで培ってきた、衝撃検知→コールセンターへ自動接続→映像・位置情報を活用したサポートといったノウハウを持っています。
今回の提携では、そのノウハウを、通信機能のない一般的なドラレコ利用者にも広げていくことが狙いです。

すでにDAPで評価されている次のようなポイントが、今後より多くの人に届く可能性があります。

  • 事故直後の不安を軽減する丁寧なサポート
  • 映像を前提とした、事実に基づく事故対応
  • 将来的な救急手配や高度なサポート機能との連携

これらにより、単に保険金を支払うだけでなく、「事故の瞬間からお客様を支える」サービスとしての質の向上が期待されています。

一般ドラレコユーザーにも広がるメリット

注目したいのは、今回の仕組みが「通信機能のない一般のドライブレコーダー利用者」にも対応している点です。
DAPのような通信型ドラレコを契約していなくても、コムテック製の市販ドラレコを使っていれば、事故映像を活用した高度な事故対応の恩恵を受けられる方向性が示されています。

つまり、

  • すでにコムテック製ドラレコを使っている人
  • 今後コムテック製ドラレコの購入を検討している人

にとって、東京海上日動の自動車保険と組み合わせることで、「事故時に強い」カーライフを実現しやすくなると考えられます。

2028年に向けた今後の展望:セット商品も視野に

東京海上日動とコムテックは、今回のクラウド連携システムにとどまらず、2028年のサービス開始を目標に、より踏み込んだ商品開発にも取り組む計画です。

両社は、将来的に、

  • 東京海上日動の自動車保険
  • コムテック製ドライブレコーダー

セットで利用することで、DAPと同等の高度な事故対応サービスを提供する商品の開発を進めるとしています。
これにより、現在は主にDAP契約者に限定されているような、映像連携や救急対応を含む一貫した事故対応体制を、より多くのドライバーに広げていく方針です。

また、コムテック側からの発表では、自社のドライブレコーダーの映像・機能と東京海上日動のDAPシステムを連携させることで、より多くの利用者に革新的な商品やサービスを届けることを目指すとしています。
ドラレコの性能と保険会社の事故対応ノウハウが組み合わさることで、今後、自動車保険の商品設計にも新しい流れが生まれていく可能性があります。

保険業界・ドラレコ市場にとっての意味

今回の提携は、「ドラレコ映像をどう使うか」というテーマに対して、保険会社とドラレコメーカーが本格的にタッグを組んだ例と言えます。

ポイントは次の通りです。

  • ドラレコ市場と自動車保険市場の融合により、新しい付加価値を生む取り組みであること
  • 映像を「事後の証拠」だけでなく、「事故直後からのサポート」にも活用する流れをさらに強化していること
  • 通信型ドラレコに限定されがちだった高度なサービスを、市販ドラレコユーザーにも広げようとしていること

事故対応の現場では、すでにドラレコ映像がトラブル解決に大きな役割を果たしていますが、映像連携の仕組みが整うことで、「より早く」「より正確に」対応できる土台が広がっていくと考えられます。

安全・安心なカーライフへの一歩

東京海上日動は、今回の提携を通じて、「お客様の“いつも”を支え、“いざ”を守る」という姿勢のもと、DAPのさらなる普及や高度な事故対応サービス、事故削減サービスの提供を進めるとしています。
コムテックにとっても、自社のドラレコが「もしものときに頼れる保険サービス」と直結することで、単なる録画機器を超えた価値を提供できることになります。

ドライバーにとっては、

  • 「映像があるから安心」
  • 「保険会社がきちんと見てくれるからさらに安心」

という二重の安心感が生まれることになります。
今後、コムテック製ドラレコと東京海上日動の自動車保険の連携が進むことで、事故対応はもちろん、事故そのものを減らすためのサービスも拡充されていくかもしれません。

ドラレコと保険の融合は、単なる技術連携にとどまらず、「安全・安心なカーライフ」を支える新しいインフラの一部になりつつあります。今回の東京海上日動とコムテックの戦略的提携は、その流れを大きく前進させる一手と言えるでしょう。

参考元