テスラ株価と2025年第3四半期決算 ― 増収減益の背景に迫る
テスラの最新決算発表:売上高は過去最高、営業利益は大幅減
テスラ(Tesla, Inc./ティッカーTSLA)は2025年10月22日、2025年第3四半期(7~9月期)の決算を発表しました。米国株式市場の取引終了後に公開された報告書によると、売上高は前年同期比12%増の280億ドルで過去最高を記録しましたが、営業利益は前年同期比40%減の16.2億ドルと大幅に縮小しました。また、一株利益(EPS)は0.39ドル(前年同期0.62ドル)で、減益となっています。
- 売上高:280億ドル(+12%)
- 営業利益:16.2億ドル(-40%)
- 営業利益率:5.8%(前年同期10.8%)
- EPS(希薄化後):0.39ドル(前年同期0.62ドル)
営業利益減少の要因 ― EV駆け込み需要と収益力低下
今回の決算の特徴は、過去最高の売上高にもかかわらず営業利益が大幅に減少した点です。これは、税控除終了直前のEV(電気自動車)駆け込み需要によって販売台数が増加したものの、各種コストや利益率低下の影響が収益に大きく表れたためだと考えられます。
政府によるEV推進策や各種インセンティブ(税控除)が2025年後半に終了する見通しから、多くの消費者がそれ以前に購入を急ぐ動きが強まりました。そのため、モデル3やモデルYを中心にテスラ車の出荷台数が増加しましたが、同時に収益構造の課題も浮き彫りとなりました。
- 税控除終了前の駆け込み需要が一時的に売上を押し上げた
- 値下げ競争や原材料コスト高騰、物流費増大などが利益率を圧迫
- 新規投資や開発コストも影響
市場の評価と株価動向
テスラは過去数年にわたり、EV市場の拡大と将来性を背景に株価が大きく上昇してきました。2023年末から2025年にかけては値動きも大きくなっています。
- 2025年10月23日時点の終値:432.57ドル
- 2025年の高値:470.75ドル(52週高値)
- 2025年の安値:214.25ドル(52週安値)
- 前年比:+8.78%
直近の決算を受けて、投資家の間では「収益力低下」を懸念する声と今後の需要・成長性に期待する意見が混在しています。掲示板アンケートや投資家センチメント情報では「買いたい」「様子見」という回答が多く、市場は方向感に迷いが出ている状況です。
収益構造の変化と今後の課題
テスラの売上高はEV駆け込み需要によって拡大しましたが、利益面では原材料費の高騰や値下げ競争、そして新規開発費の増加を背景に営業利益率が前年同期の10.8%から5.8%へと大きく低下しています。
モデルラインアップの強化、製造拠点の拡張、およびバッテリー技術や自動運転技術の投資が進められているものの、グローバルな競争激化や経済環境の変化が今後の収益に引き続き影響する可能性があります。
- 原材料費・人件費増加によるコスト圧迫
- 中国や欧州など新興・既存自動車メーカーとのシェア争い
- 次世代技術への継続的な投資
- 政策変更・補助金終了への対応
事業内容と成長ポテンシャル
テスラの事業は電気自動車の設計・開発・製造・販売に加えて、エネルギー生成・貯蔵システムの開発・販売も含まれます。代表的なEVはモデル3、Y、S、X、そしてサイバートラックなどがあります。電池製品としてはパワーウォール、メガパックなどが展開されています。
- 自動車事業:モデル3、モデルYなどが主力
- エネルギー事業:太陽光発電、蓄電池分野
- サービス事業:メンテナンス、有償スーパーチャージング、保険事業
まとめ ― 今回の決算発表が示唆するテスラの未来
テスラは2025年第3四半期決算で過去最高売上を記録した一方、利益は急減し、新たな局面に入っています。EV市場の成長を背景にした販売増にもかかわらず、利益率や収益力の低下という課題が明確になりました。今後の市場環境や競争、政策動向を注視しながら、持続的な収益性の向上が今後の焦点となるでしょう。
- 税制優遇策終了を前に駆け込み需要が売上に貢献
- コスト圧迫や値下げ競争、新規投資負担で利益面は難航
- 株価は高値圏を維持するも、今後の方向性は不透明
- 新技術と成長戦略が求められる正念場
主要データ一覧
- 2025年Q3売上高:280億ドル
- 2025年Q3営業利益:16.2億ドル
- 2025年Q3営業利益率:5.8%
- 2025年Q3 EPS:0.39ドル
- 2025年終値(10月23日):432.57ドル
- 52週高値:470.75ドル
- 52週安値:214.25ドル
今期の決算はテスラのみならず、EV業界全体のプレイヤーや投資家にも大きな影響を与える見通しです。今後の市場動向、政策変更、技術革新にも引き続き注目が集まるでしょう。