天丼てんや、タイからの撤退について優しく解説
天丼てんやがタイ市場から撤退、全店閉店の衝撃
2025年8月、天丼てんやはタイ国内で展開していた全店舗を8月末で閉店すると発表しました。この決定は、タイ現地法人のセントラル・レストラン・グループ(CRG)が経営再編方針の一環として収益性の低いブランドの整理を進めていることに端を発しています。これにより、2013年から約10年間、タイ国民に親しまれてきた「てんや」の歴史は一旦幕を下ろすこととなりました。
てんやのタイ進出、その歩み
- 2013年10月、バンコク郊外の商業施設「セントラル・バンナー」にてんや1号店が開業。
- リーズナブルな価格で本格的な日本式天ぷら・天丼を提供。日本食ブームの影響もあり、現地の人々や日本人駐在員・観光客など広い層に受け入れられる。
- 2020年にはバンコクを中心に最大で14店舗を展開するまで成長。
てんやの人気は、一皿で様々な天ぷらを楽しめる「天丼」スタイルと、気軽に日本の味を味わえる点が評価され、現地の日本食ファンの間でも定番となっていました。
撤退の背景―新型コロナと日本食の多様化
しかし、近年の情勢は決して楽観できるものではありませんでした。
- コロナ禍の影響で外食客が減少し、経営は大きな打撃を受けました。
- タイ国内における日本食レストランの多様化により、天丼てんやの競争力が低下。消費者の選択肢が増えたことで、従来のファン層の分散が加速。
- 運営元のCRGによるブランド再編の動き。収益性の低いブランドを整理するという厳しい判断がなされた。
とくに2020年以降、厳しい経営環境が続き、てんやは店舗数を減らしていきました。最盛期の14店舗から、2025年8月時点ではバンコク市内の「ターミナル21アソーク」と「サムヤーン・ミットタウン」の2店舗のみが営業している状況まで追い込まれました。
今後のてんや―再出発への道は?
今回の撤退は「一時的」とされており、将来的な再進出への含みを持たせて事業を終了する形です。フランチャイズ契約の終了が主な原因とされています。
- てんやファンからは再開を望む声や、最後にもう一度味わいたいという声が多く寄せられています。
- CRGは経営再編を進めつつ、将来的な市場動向を注視しているとされています。
「最後の一杯」を求めて、残された10日足らずの営業期間には多くのファンが来店しています。
地域社会へのインパクト
てんやの撤退は、日本食人気が定着したタイの外食産業にとってひとつの転機とも言える出来事です。長年親しまれたブランドが姿を消すことは、現地の日本食ファンのみならず、多様化する食文化の象徴的な出来事です。
- 現地メディアでも「日本式天丼の灯が一旦消える」と報じられ、てんや閉店セールを惜しむ声や、支えてきたスタッフへの感謝が伝えられています。
- 外食産業においては、新陳代謝と再編が進み、より消費者ニーズに合った業態や新たな日本食ブランドへの期待も高まりつつあります。
天丼てんやとは?日本生まれの天丼専門チェーン
- てんやは1989年、東京・上野で創業した天丼専門チェーン。日本国内外で長年親しまれるブランドです。
- 「サクサク」の天ぷらを手ごろな価格で提供し、ご飯と合わせて一杯の丼に仕立てるスタイルが特色です。
- シンプルながら満足感の高いメニューと、素早い提供、安定した品質が支持されています。海外展開はタイやフィリピン、インドなどにも及び、グローバルブランドとして育ってきました。
日本国内のてんやは?
今回の撤退はタイ市場に限定されています。日本国内のてんや各店舗は通常営業を続けているため、「てんやファン」の方々は引き続き日本の味を楽しむことができます。
- 店舗の一部では改装や休業のお知らせも出ていますが、ブランド全体の撤退・消失ではありません。最新の営業情報は公式サイトで確認できます。
まとめ
2025年8月末をもって、天丼てんやはタイ市場から撤退します。10年間親しまれていたブランドが姿を消すことは大きなニュースです。背景にはコロナ禍の影響、食文化の多様化、運営企業の経営再編方針といった複数の要素がありました。
てんやは海外展開のひとつとしてタイで多くのファンを獲得し、現地の日本食業界に大きな影響を与えました。今後の再進出は未定ながら、また新たな形で「サクサク天丼」の文化が広がることを期待したいですね。
てんやの歩みを支えてきた現地スタッフ、そして温かく見守ってきた多くのお客さまへ、感謝の気持ちを伝えたくなります。
- 記事内の内容は2025年8月25日時点の情報です。
- てんや公式ページや現地報道もあわせて参照ください。