帝人と旭化成が経営統合を発表、傘下の繊維商社が2026年10月に統合
帝人株式会社と旭化成株式会社は、2025年12月1日付で大きな経営統合の契約を締結しました。両社の傘下にある繊維商社である帝人フロンティアと旭化成アドバンスを統合し、2026年10月1日を効力発生日として新しい経営体制へ移行する予定です。この統合は、繊維・素材領域における国内外市場での競争力強化を目指すもので、業界全体に注目されています。
統合の概要と実行方法
今回の統合は、帝人フロンティアを存続会社とし、旭化成アドバンスを消滅会社とする吸収合併の形式で進められます。合併の比率は、旭化成アドバンスの普通株式20,001株に対して、帝人フロンティアの普通株式5,000,500株を割り当てる設定となっています。
統合後の新会社は、帝人が80%、旭化成が20%を出資する合弁会社として運営される予定です。両社の経営陣が合意した体制で、帝人が主導的な役割を果たしながらも、旭化成もパートナーとして関与し続ける構成となります。社名については、2026年春頃に公表される見込みとされています。
それぞれの企業について
帝人フロンティアは、2012年10月1日に設立された帝人の100%子会社です。衣料繊維や産業資材などの幅広い分野で独自のソリューションを提供する企業として知られています。ポリエステル原糸や原綿、テキスタイル、衣料製品、車両資材、建装資材、工業資材、生活製品などの製造・加工・販売および輸出入取引を主な事業としており、従業員数は878名規模の企業です。
一方、旭化成アドバンスは、旭化成の100%子会社として2015年に設立されました。旭化成グループの製品群を中心に、繊維、化学品、建材など幅広い商品を取り扱う商社です。2025年3月期の業績は売上高698億円、営業利益21億7000万円と、かなりの規模を有しています。
統合による期待効果
この統合の最大の目的は、両社が蓄積してきた事業基盤、営業ネットワーク、顧客基盤を相互補完することです。これにより、繊維・素材領域における強みを融合させ、持続的な成長と企業価値の最大化を狙っています。
具体的には、以下のようなメリットが期待されています:
- 販売チャネルや取り扱い製品の拡充によるクロスセル機会の創出
- バリューチェーン統合による調達コストの削減
- 安定供給体制の確立
- 商品開発スピードの向上
- 国内外市場での競争力強化
特に、旭化成アドバンスが持つ旭化成グループ製品の販売網と、帝人フロンティアが持つメーカー機能を組み合わせることで、より強固な競争力を備えた企業体が実現されると考えられています。
統合に向けたスケジュール
統合日程は、各種許認可の取得を前提としており、最終的な経営統合日は2026年10月1日を予定しています。現在までのところ、以下のようなスケジュールが明らかになっています:
- 2025年12月1日:基本契約締結(本日発表)
- 2026年春頃:新会社の社名を公表予定
- 2026年10月1日:合併効力発生日(予定)
正式なスケジュールが決定次第、改めて詳細が発表される見込みです。
経営統合の意義
両社の経営陣は、旭化成アドバンスが旭化成グループ製品を中心に事業を展開しており、帝人フロンティアの開発・製造機能を併せ持つメーカー機能と組み合わせることが最善の策であると判断しました。これにより、衣料繊維から産業資材まで、より幅広い分野での総合的なソリューション提供が可能になると期待されています。
なお、旭化成の中国法人である旭化成(中国)投資有限公司の子会社で、繊維製品の製造・販売を行っている杭州旭化成紡織有限公司は、本統合に先立ち、旭化成アドバンスに移管される予定です。
業績への影響
統合による業績への影響は現在精査中であり、詳細な組織体制や資本金などもまだ未定とされています。両社は、必要が生じた際には速やかに追加情報を開示する方針を示しており、今後の動向が注視されます。
この経営統合は、日本の繊維・素材産業における大型の統合案件として業界内でも大きな話題となっており、今後の展開が期待されています。



