田中貴金属が記録更新、金価格1グラム2万円台に突入
国内金価格の指標である田中貴金属工業の店頭小売価格が、2025年9月29日、ついに1グラム2万円の大台を初めて突破しました。午前9時30分時点で、前日から78円の上昇となり、1グラムあたり2万18円を記録。これまでの最高値を更新し、歴史的な瞬間となっています。
加速する金価格、その要因とは
- 地政学的リスク:世界各地の紛争や政情不安、テロなどが続くなか、安全資産である金への需要が高まっています。
- 円安傾向:米ドル高・円安が進行し、国内の貴金属価格を押し上げています。国際的にはドルベースで金価格が上昇している中、円安によって日本国内の金相場がさらに高騰しています。
- 米国の金融政策:アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を引き下げる観測により、ドルの魅力が減退。金利のつかない金への投資が集まり、価格上昇に拍車をかけました。
- 先物市場の活発化:ニューヨークの金先物市場も過去最高値圏で推移し、投資家心理を刺激しています。
“金1kgで家が買える”時代の到来
今回の金価格高騰を受けて、FNNプライムオンラインは「スマートフォンほどのサイズの金地金1kgで戸建て住宅が購入できる日が来るかもしれない」と報じています。実際、1トロイオンス=5000ドルまで上昇した場合、現在の為替相場(1ドル=149円)で金1kgの価値は約2400万円となり、地域によっては新築戸建ての平均価格に相当します。
- 山形県の新築戸建て平均価格:2168万円
- 徳島県の新築戸建て平均価格:2384万円
これは金価格が消費生活や不動産市場にまで影響を及ぼし始めていることを示しています。
「バブル」との指摘はあるのか
急速な価格上昇に対して、専門家や市場関係者の間では「バブル」ではないかとの声も聞かれます。しかし現時点では、リスク回避の動きや世界情勢の不透明感を背景に、金価格はファンダメンタルズに支えられた堅調な推移であるとの見方が主流です。米国のゴールドマン・サックスグループの分析では、「FRBの独立性が損なわれ、米国債のごく一部が金に流入した場合、1トロイオンスが5000ドル近くに達する可能性がある」とされています。
田中貴金属工業の役割と信頼性
田中貴金属工業は、国内最大手の地金取扱企業であり、金価格の基準値として広く信頼されています。毎営業日朝9時30分に店頭小売価格を公表し、全国の取扱店舗や一般消費者に重視される指標となっています。
- 2025年9月26日 店頭小売価格:19,940円(前日比+126円)
- 2025年9月29日 店頭小売価格:20,018円(初めて2万円台を記録)
この価格には、売買別途手数料およびその他手数料は含まれていません。市場の変化に応じて価格やスプレッドも随時変更されます。
世界への影響、日本経済への波及
金価格の高騰は主に国際的な要素が大きく作用しています。グローバルなインフレ懸念や、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策転換がドルへの信頼性低下を招き、金への資金流入を加速。国内では、円安進行も重なり、金の価格がこれまでにない水準まで押し上げられています。
実需面では、宝飾品や電子部品、資産保全目的の購入も堅調です。しかし価格上昇が続くと一般消費者の「売り」も増え、価格が一時的に調整される局面も考えられます。
市民の声と今後の見通し
- 「今が売り時」と感じる個人投資家の増加
- 宝石店や田中貴金属店頭では、買取希望者が増えている
- 金相場の先高観から、購入を検討する層も多い
- 金価格に連動する様々な投資商品への関心も高まっている
一方で、短期的な下落リスクも完全には払拭できません。地政学、金融政策、為替、先物市場といった複数の要素に影響される金相場は予断を許さない状況が続いています。
最新の金価格推移(2025年8月~9月)
- 8月14日:店頭小売価格は約18,900円
- 9月26日:店頭小売価格 19,940円
- 9月29日:店頭小売価格 20,018円(初の2万円台)
この1ヶ月で1,000円以上も上昇したことからも、金価格の変動の大きさがうかがえます。
まとめ:資産防衛の「金」の評価と注意点
長らく「安全資産」として評価されてきた金ですが、今回の急騰は複合的な国際情勢と内外経済が絡み合った結果だと言えるでしょう。一層の価格上昇の可能性もありますが、同時に急落リスクも孕みます。投資や売買を検討する際には、田中貴金属をはじめとする信頼できる情報ソースを活用し、冷静に判断することが重要です。
今後も金価格の動向から目が離せません。田中貴金属工業の店頭価格は、国内外の経済や社会情勢を映し出す一つの指標として、引き続き注目されるでしょう。