高島屋洛西店、44年の歴史に幕―2026年8月閉店を発表

京都市西京区・洛西ニュータウン地区に位置する高島屋洛西店が、2026年8月3日をもって営業終了となることが2025年10月14日に公式に発表されました。開店以来、44年間にわたり地域の人々に親しまれてきた百貨店が、赤字転落による収益の立て直しが困難となったことで、惜しまれつつも閉店することとなります。

開店から44年の歩み

高島屋洛西店は、1982年(昭和57年)4月16日にオープンし、地域の暮らしを支えるランドマークとして発展してきました。その後もリニューアルや本店との連携強化、業務効率化など様々な経営努力によって営業を続けてきましたが、流通業界を取り巻く環境の変化や消費スタイルの多様化が逆風となり、近年は業績が大きく落ち込んできました。

営業赤字と閉店の決断

2024年度には営業赤字に転落し、翌年度以降の黒字化の見通しも立たなくなりました。さらに、開店から40年を越えた建物を快適な買い物空間として維持するためには多額の設備投資が必要とされました。しかし、現状のままでは投資回収が期待できないことから、苦渋の決断として営業終了が決定されました。

  • 所在地:京都府京都市西京区大原野東境谷町2丁目5-5
  • 開店:1982年4月16日
  • 売上高:47億5700万円(2025年2月期)
  • 従業員数:75名(2025年2月末時点)
  • 売場面積:8,079㎡(2025年2月末時点)

売上高減少の現状

かつては売上高が大きく伸びていた高島屋洛西店ですが、近年の売上はピーク時の半分近くにまで減少。少子高齢化、人口減少、ネット通販の普及といった外部要因も大きく影響しています。商圏人口の高齢化、若年層の流出、郊外型ショッピングモールの台頭など、複合的な課題が重なり「地域の百貨店」として存続することが難しくなりました。

地域とのつながりとその影響

洛西ニュータウンは1980年代以降に造成された新興住宅地として発展し、高島屋洛西店は地元住民にとって暮らしの基盤でした。日用品や食品、ギフト、イベントなど多様なサービスを提供し、世代を超えて多くの思い出とともに地域に根付きました。閉店による影響は大きく、長年通い続けた高齢者をはじめ、地元住民からは残念がる声が多数寄せられています。

サテライトショップの開設と今後のサービス

高島屋は、洛西店閉店後も地域でのサービス提供を続けるため、2026年9月からは隣接する商業施設内の一区画にサテライトショップを開設する予定です。京都店とも連携を深めながら、引き続き洛西エリアの顧客要望に応えていく方針です。このサテライトショップはコンパクトながらも、これまでの百貨店のノウハウを活かした商品展開やサービスを目指します。

跡地はシニア向け分譲マンションに

閉店に伴い、高島屋洛西店の跡地はシニア向け分譲マンションを展開する事業者へ売却されることも合わせて発表されました。高齢化が進む地域ニーズに対応し、今後はマンションおよび商業施設として再開発される計画です。新しい住環境やサービスが誕生することで、地域コミュニティの再活性化にもつながることが期待されています。

  • シニア世代にやさしい設計やサービスが期待されます
  • 新規開発により、医療・介護・生活支援なども充実する可能性
  • 跡地の一部は商業施設も兼ねる計画があり、利便性維持にも配慮

高島屋洛西店閉店に対する地域の声

長年親しまれてきた百貨店の閉店に、「寂しい」「ありがとう」「思い出がたくさん詰まっている」など、惜別と感謝の声が高まっています。地元高齢者を中心に、「普段の買い物やイベントが便利だった」「家族や友人とよく訪れた」といったエピソードが新聞やSNS上で数多く語られており、地域社会の重要な一部であったことが改めて認識されています。

百貨店業界全体が直面する課題

今回の高島屋洛西店の撤退は、全国的に加速する「百貨店の閉店・集約」の流れの一端でもあります。都市圏への店舗集約、オンライン販売へのシフト、そして設備老朽化対応の優先など、業界全体が大きな転換期を迎えています。こうしたなか、今後の百貨店モデルの在り方が引き続き問われることでしょう。

利用者への案内と今後について

営業終了後も、既存の高島屋各店を利用した会員サービスやアフターケアは継続されます。本件に関する問い合わせや会員関連の手続きについては、高島屋公式サイトやお客様窓口(代表電話:075-332-1111, 受付10:00~18:30)で対応しています。今後の詳細や最新情報についても、公式発表を随時確認することが推奨されます。

まとめ

  • 高島屋洛西店は2026年8月3日に営業終了
  • 約44年にわたり地域とともに歩んできた
  • 営業終了後は跡地がシニア向け分譲マンションに変わる計画
  • 2026年9月以降、近隣商業施設にサテライトショップ誕生予定
  • 地域住民や利用者から惜しまれつつも、今後は新たな価値創出を目指す

多くの思い出を育んだ高島屋洛西店は、2026年8月までその役割を全うし、次の時代へのバトンを託します。今後も高島屋は地域とのつながりを絶やさず、形を変えてサービスを継続していく方針です。

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