台湾の至宝・徐若熙がソフトバンク入り決定的 ドジャースとの激しい争奪戦を制す
福岡ソフトバンクホークスが、台湾プロ野球の名門・味全ドラゴンズに所属する25歳の右腕投手・徐若熙(シュー・ルオシー)の獲得を決定的にしました。最速158キロの直球を武器とする本格派投手の来日は、日本プロ野球界にとって大きな補強となります。
台湾の期待の星が日本へ
徐若熙は2019年の台湾プロ野球ドラフト1位で味全に入団した、台湾野球界を代表するエースです。1年目は右肘の手術で出場機会に恵まれませんでしたが、その後は着実に成長を遂げてきました。今季は19試合に登板し、5勝7敗、防御率2.05という成績を残しており、制球力も備えた本物の投手として認識されています。特に注目すべきは、2023年の台湾シリーズではMVPを獲得するなど、重要な場面での活躍が期待される投手であることです。
最速158キロの直球に加え、スプリット、カーブ、スライダーなど複数の変化球を操る徐若熙は、NPBの先発陣の中核として機能することが確実視されています。台湾プロ野球での通算成績は64試合16勝18敗、防御率2.42と、安定したパフォーマンスを証明しています。
ドジャースとの激しい争奪戦
徐若熙の獲得を巡っては、日本国内ではソフトバンク以外にもオリックスが関心を示していました。しかし国際的な注目も集めており、メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースも獲得に強い興味を示していたことが明らかになっています。
ドジャースが興味を示していた背景には、近年メジャーリーグでも日本人投手の活躍が注目されていることがあります。しかし、ここで重要な要素が「25歳ルール」です。メジャーリーグの規則では、25歳以下の外国人選手はマイナー契約しか結ぶことができないため、契約金が大きく制限されてしまいます。このルールの制約を考慮した結果、徐若熙はメジャーのオファーを待つ道ではなく、NPBでの活躍を選択することになりました。
破格の3年総額15億円の大型契約
ソフトバンクが提示した契約条件は、業界内でも注目に値するものです。3年総額15億円近い大型複数年契約を用意したとされており、この金額はNPBにおける外国人投手の獲得金としては極めて破格の条件となっています。
ソフトバンクがこれほどの巨額投資をする背景には、球団の現在置かれた状況があります。同球団では、先発投手陣の中核を担っていた有原航平投手(33)が3年契約の満了を控えており、さらに国内FA権を行使した東浜巨投手(35)の去就も不透明な状況にあります。こうした中で、リーグ3連覇と2年連続日本一を目指すソフトバンクにとって、徐若熙のような若く力のある投手の獲得は、迫る課題への対応策として機能します。
極秘交渉から決定まで
実は、ソフトバンクとの交渉は11月上旬には既に極秘裏に進められていたとみられています。中華職業棒球大連盟(CPBL)が10月29日に徐若熙が海外移籍制度(ポスティングシステム)を申請したことを発表した後、ソフトバンクは積極的に動きました。
城島健司球団会長兼CEO(現役時代の背番号で知られる前・球団首脳)をはじめとする球団幹部が何度も台湾を訪問し、視察を重ねてきたことが報じられています。このような丹念な下地作りが、最終的な獲得決定につながったものと考えられます。
日本野球界への大きなインパクト
徐若熙のソフトバンク入りは、単なる一球団の補強の枠を超えた意味を持っています。台湾プロ野球の最高レベルの投手がNPBで活躍することで、NPBと台湾野球の交流がより深まる可能性があります。また、アジアの優秀な人材がNPBを選択肢として認識し始めることで、NPBの国際的なプレゼンスもさらに高まることが期待されます。
ソフトバンクは、リーグ3連覇を狙う2026年シーズンに向けて、大型補強の第一弾として徐若熙を迎え入れます。若き台湾の至宝がどのような活躍を見せるのか、日本野球ファンの注目が集まっています。


