住友商事、SCSK完全子会社化へ 特別委員会の反対でTOB価格を6回引き上げ S&Pが格付けアウトルックを「ネガティブ」に変更
みなさん、こんにちは。最近、ビジネスニュースで大きな話題になっているのが、住友商事によるSCSKの完全子会社化です。2025年12月21日17時10分頃に注目を集めたこのニュースでは、住友商事がSCSKを完全に自分のグループ会社にするために、株式公開買付け(TOB)の価格を特別委員会の反対を受けて6回も引き上げたことが明らかになりました。また、格付け会社S&Pが住友商事の財務状況を懸念してアウトルックを「ネガティブ」に変更したほか、保有株比率の増加も報告されています。この記事では、これらの出来事をわかりやすく丁寧にまとめていきますね。
SCSK完全子会社化の背景とは? 住友商事の戦略を簡単に説明
まず、基本からお話ししましょう。住友商事は大手総合商社で、SCSKは住友商事のグループ会社としてITサービスを提供する大手企業です。SCSKはシステムインテグレーション(SI)やネットワークインテグレーション(NI)で知られていて、証券コードは9719、東証プライム市場に上場していました。住友商事はすでにSCSKの株式を約50.5%保有していて、連結子会社として扱っていましたが、残りの株式をすべて取得して「完全子会社化」しようとしています。これにより、上場を廃止して非公開化する計画です。
なぜこんなことをするのかというと、親子上場という状態を解消するためです。親子上場とは、親会社と子会社が両方とも上場している状況で、意思決定が遅れたり、少数株主との利益がぶつかったり、情報開示が複雑になったりするデメリットがあります。完全子会社化すれば、グループ全体で素早く投資や人事、研究開発を進めやすくなります。特に、SCSKのデジタル事業を強化し、AIなどの新技術に大胆に取り組むのが狙いです。住友商事は「グループ全体最適の視点から戦略投資を打ちやすくする」と説明していますよ。
TOBの詳細 買付価格は当初5700円から大幅引き上げ
この完全子会社化の鍵となるのが、TOBです。TOBとは、株式公開買付けのことで、一定期間に株主から株式を買い取る仕組みです。住友商事は2025年10月29日にTOBを発表し、買付期間を10月30日から12月12日までの30営業日としました。買付主体は住友商事の100%子会社であるSCインベストメンツ・マネジメント株式会社で、この会社は2025年9月16日にSCSK株取得を目的に設立されました。
当初の買付価格は1株あたり5700円、買付予定数は約1億5470万株、総額約8820億円という巨額でした。下限保有数は約5034万株で、TOB成立後にはスクイーズアウト(株式併合などで残り株主を強制的に買い取る手続き)を行い、上場廃止へ進む予定です。しかし、ここで大きな動きがありました。SCSKの特別委員会が反対意見を出したため、住友商事はTOB価格を6回も引き上げたのです。この特別委員会は、少数株主の利益を守るために独立した専門家が集まった組織で、価格が低すぎると判断したようです。これにより、株主にとってより魅力的な条件になったと言えます。
- TOBの主な条件(当初): 価格5700円/株、総額8820億円、期間30営業日
- 買付主体: SCインベストメンツ・マネジメント(住友商事100%子会社)
- 目的: 住友商事保有分(50.5%)+TOB取得で完全子会社化、上場廃止
資金面では、住友商事はブリッジローンで一旦調達し、後で銀行借入や社債に切り替える計画です。資本調達はせず、有利子負債が増えるため、財務負担は避けられません。それでも、SCSKの成長ポテンシャルを信じての決断です。
TOB成立と保有割合の増加 変更報告書No.26で報告
そして、2025年12月12日にTOBが成立しました。住友商事はSCSKの保有割合が増加したと、変更報告書No.26で正式に報告しています。これで議決権ベースの3分の2以上を確保し、スクイーズアウトの手続きへ移行します。決済開始日は12月19日頃で、2026年度中には完全子会社化と上場廃止が完了する見込みです。SCSK側も住友商事の発表に理解を示し、SIとNIの統合で顧客に新しい価値を提供する体制を整えてきたと述べています。
この報告書では、住友商事の保有株がさらに増えたことが5%ルールに基づいて開示されました。株主のみなさんにとっては、TOB価格引き上げのおかげで高い価格で売却できた方も多いはずです。
S&Pの格付け変更 アウトルック「ネガティブ」へ 財務懸念の高まり
一方で、明るいニュースばかりではありません。格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は、住友商事のアウトルークを「ネガティブ」に変更しました。格付け自体は「A-」で据え置きですが、TOBによる巨額資金調達で財務余力が大幅に低下すると見ています。約8820億円の買付代金は住友商事にとっても重荷で、Net DER(純有利子負債対資本比率)が悪化する可能性が高いのです。ロイターの報道でも「TOB成立なら財務余力が大幅低下」と指摘されています。
住友商事の上野真吾社長とSCSKの當麻隆昭社長の写真も話題で、二人がタッグを組んでデジタル変革を進める姿が印象的です。ただ、S&Pの判断は市場に警戒感を広げ、株価や投資家心理に影響を与えそうです。
今後の流れとグループシナジー どんな変化が期待される?
TOB成立後、まず決済が行われ、住友商事グループの保有株が増えます。次に株式併合などのスクイーズアウトで残りの少数株主を整理し、完全子会社化を完了。上場廃止後は、住友商事のデジタル事業の中核として、SCSKがAI強化や新規投資を加速させるでしょう。住友商事は「成長に全面的にコミットする」と強調していて、SIとNIの統合で顧客に新たな価値を提供する体制が整います。
例えば、会社分割の動きも見られます。2025年12月19日に取締役会で決議された連結子会社(孫会社)への簡易吸収分割で、2026年1月13日に契約締結予定です。これにより、事業の効率化が進むはずです。
市場への影響と株主のみなさんへのポイント
この一連の動きは、商社業界に大きな影響を与えます。住友商事がSCSKを非公開化することで、他の商社も子会社整理を検討するきっかけになるかもしれません。株主の方々は、TOB価格の引き上げで利益を得られた一方、S&Pのネガティブ見通しに注意が必要です。投資家は住友商事の財務回復策を見守ることになります。
最後に、みなさんに優しくアドバイス。ニュースは複雑ですが、TOB価格引き上げは株主フレンドリーで、完全子会社化は長期的にグループ強化につながります。詳細は公式発表をチェックしてくださいね。このニュースがビジネス界の新しい一歩になることを願っています。



