SUMCO株価急落、2025年12月期に14年ぶりの最終赤字へ
半導体ウエハー大手・SUMCO、業績急悪化で株価が大きく下落
SUNCO株式会社(証券コード:3436)の株価が2025年11月12日、大きく急落しました。直近の決算発表で、2025年12月期の通期業績見通しが発表され、14年ぶりの最終赤字が確定的となったことが大きな要因です。さらに、配当も減額される見通しとなり、投資家心理を大きく冷やしました。
2025年12月期決算のポイント――赤字転落と減配ショック
- 第3四半期(1-9月)累計の連結経常利益は21.7億円に大幅減(前年同期比-91.6%)。AI向け需要は堅調だったものの、その他分野の低迷が響きました。
- 通期業績予想は非開示から「連結経常損益109億円の赤字」に(前期は374億円の黒字)と発表。これが市場参加者の予想を大きく下振れました。
- 会社計算によると、10-12月期は130億円規模の赤字(前年同期は114億円の黒字)になる見込みが示されました。
- 今期の年間配当は20円(前期比1円減配)。従来は配当未定でしたが、業績悪化に伴い減配されます。
- 株価は前日比で大幅続落、一時15%安まで急落しました。
株価急落の主な背景
- 急激な業績悪化が主因です。半導体ウエハーの需要がAI関連で一部好調なものの、メモリーやロジック等、他分野の低迷が続き、売上・利益ともに大幅減となっています。
- 10-12月期のガイダンス(業績予想)は市場コンセンサスよりも大幅な赤字幅が見込まれ、今後のV字回復期待が後退しています。
- 決算発表を受けて株価は急速に値を下げ、「売り」が優勢の展開となりました。
決算詳細:数字でみるSUMCOの苦境
- 2025年1~9月期売上高:3,044億3,600万円(前年同期比2.6%増)
- 営業利益:58億6,900万円(前年同期比-80.4%)
- 親会社株主に帰属する四半期純損失:9億9,500万円
- 会社試算の10-12月期は「130億円の経常赤字」
収益性指標(ROEやROA)は大きく目減りし、自己資本比率も前年より低下していることが明らかとなっています。負債も拡大傾向です。収益性・安定性・成長性いずれも低迷している厳しい状況が浮き彫りです。
株主・投資家の反応と市場の見方
- 決算直後、SUMCOの株価は1,473円→1,222円と一時15%以上の急落を記録しました。大引け時は反発する場面もありましたが、全体として売り圧力は強く、当面株価の回復は見通しづらい状況です。
- 投資家の掲示板などでは、「今後の業績回復や株価底打ち」に注目しつつも、設備投資や需要予測への不透明感から「様子見」「様子を見るべき」との声も増えています。
- 過去12四半期にわたり業績の悪化傾向が続いており、EPS(1株あたり利益)の鈍化が顕著です。市場も厳しい目で状況を注視しています。
半導体業界全体の動向と今後の懸念
SUMCOに限らず、2025年の半導体産業は「AI特需とその他セグメントのコントラスト」が大きな特徴となっています。AI関係では一定の底堅い需要があり一部企業は好調ですが、メモリやロジック分野は在庫調整や需要減退の影響が色濃く、ウエハーメーカー各社も苦戦気味です。
業界全体としても、2023年~2024年の「半導体バブル」の揺り戻しを受けた局面であり、SUMCOもその荒波に巻き込まれている状況です。
配当政策の見直しと株主還元への影響
- 2025年12月期の年間配当は20円に減額されます(前年は21円)。
- これまで未定だった配当方針の確定は、一定の株主還元継続意志と受け取れますが、「減配」自体は今期の苦境を色濃く反映しています。
- 安定的な配当に期待していた長期保有株主には厳しい判断となりました。
今後の注目ポイントと会社側の対応
- 設備投資の効果が今後の業績回復にどうつながるか、引き続き市場の注目点となります。
- コスト構造改革や生産性向上策、需給動向の改善が急務です。
- グローバルの半導体需要回復時期と、SUMCOの業績浮上のタイミングに投資家の関心が集まっています。
現時点では、最終赤字からの回復シナリオは見通しにくいですが、半導体業界全体の回復基調がどのタイミングで訪れるかによって大きく左右されると考えられます。
まとめ:投資家は「底打ち」を見極める局面
今回のSUMCOの株価急落および最終赤字転落は、同社のみならず日本の半導体関連株全般に波及する懸念材料となっています。一方で、過去にも厳しい局面を乗り越え成長してきた歴史があることから、底打ちや反転のシグナルを慎重に見極める局面となっています。今後も、世界的な半導体需要や顧客動向、SUMCOの生産戦略などから目が離せません。




