金相場、4年ぶりの大幅安に突入…一気に高値を警戒

2025年10月21日、国際金市場で大きな動きがありました。NY金先物市場では、COMEX12月限の価格が4234ドル台まで急落し、前週から比べて3%を超える下落となりました。これは2020年11月以来の大きな下落幅であり、直近4年ぶりの大幅安水準です。日本国内でも金1gあたりの買取価格も、2万円台前半で推移。9月30日に初めて2万円を突破したものの、ここにきて一転して下値を探る展開となっています。

なぜ今、金価格が急落したのか?

  • まず、米中緊張緩和の兆しが後押ししました。地政学リスクが和らぎ、安全資産としての金への投資資金が一時的に引き揚げられました。
  • 米ドルの急騰も大きな要因です。アメリカの金融引き締め政策が続く中、資金が米ドルに向かい、金などの「無利息資産」よりも利回りのある債券や預金に流れる構造です。
  • 一斉利確売りも発生。ここ数年、上昇基調だった金価格を「そろそろ利益を確定させたい」と考える投資家が増えたため、下落に拍車をかけました。

こうした複合的な要因が重なり、金価格は下落トレンドに転じたと考えられます。短期間で3%超の下落は、トレーダーの間に「買われ過ぎ」のサインとみる向きもあり、今後さらに調整が進むかどうか注目が集まっています。

ドル高とマクロ経済の動き、今後の金価格は?

今後の金価格を占う上で重要なのは、米ドルの動向と各国の金利政策です。アメリカの利上げが継続すれば、ドル高の流れは続きやすく、金価格には逆風が吹き続ける可能性があります。

ただし、過去の推移を見ると、金は地政学的リスクやインフレ期待が高まると強い買いが入りやすい資産でもあります。仮に米中や中東などで新たな緊張が生じた場合、再び安全資産として金価格が上昇する可能性もあります。

「ゲームオーバーだ」と語る専門家たち…金とビットコインはどうなる?

一部の市場関係者からは、「米ドルの危機」を懸念する声も出ています。もしアメリカのドル信認が揺らぐような事態(例えば財政不安や金利引き上げの失敗など)が起きれば、金価格のみならずビットコインなどの代替資産にも大きな影響が出る、という見方が広がっています。

一方で、ビットコイン市場は金価格の下落とあわせて一時的に売りが先行していますが、長期的には「ドル離れ」の中で資金流入のチャンスがあるとの指摘も出ています。金とビットコインの両方に資金が流れる「ダブル買い」の構図が発生する可能性もにらみながら、今後を注視する必要があります。

投資家の心構えと売却・購入タイミング

現時点では、金価格が連日大きく動いているため、思わぬ損失や買い遅れを避けるためにも、無理のないリスク管理を心がけることが大切です。

長期的に見ると、金価格はインフレ再燃や世界的な危機時に強い動きを見せる傾向があります。短期的な調整局面を利用して「買い増し」を検討する動きも出ていますが、現時点での高値圏での買いは、リバウンドも狙える一方で下落リスクも根強い点に留意が必要です。

国内の金買取相場も2万円台に乗り始めているため、保有している方は高水準での売却を考えるタイミングと言えるでしょう。一方で、資金調達の必要がある方には、今後の上昇期待をにらみながら「売却のタイミング」を念頭に置くとよいでしょう。

今後の見通しとチェックすべきポイント

金価格のこれからを占う上で、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 地政学リスクの再燃…ロシア・ウクライナ情勢や米中関係の変化がないか
  • 米国の金利政策…利上げペースやドルの強さ
  • インフレ率と世界経済の足取り…再び金が安全資産として見直されるか
  • ビットコインなど代替資産の動き…金とビットコインの資金移動に注目

2025年10月の金価格急落は、直近の大幅な上昇基調への一服となったものの、長期的には世界的なパラダイム転換のひとコマと捉える向きも出ています。投資家は短期的な下落に一喜一憂せず、各金融資産の特性を理解しながらポートフォリオを組むことが、これからの荒れたマーケットを乗り切るカギとなるでしょう。

※この記事は2025年10月21日時点の金価格・市場動向をもとに作成しており、架空の予測や根拠のない未来予想は含んでいません。株式や貴金属投資の判断はご自身の責任のもと行われます。

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