ミナミアオカメムシが全国で大発生 ― 長野や滋賀で水田・ダイズ被害、ドローン防除が拡大

カメムシ被害、全国各地で増加の脅威

 2025年8月末、全国各地の農村でカメムシによる農作物の被害が深刻化しています。特に今夏は、滋賀県や長野県などでミナミアオカメムシを中心としたカメムシ類の発生が顕著となり、JAや農業生産者は対応を急いでいます。特に米やダイズなど、重要な農作物への影響が懸念されており、各地でさまざまな予防策や防除活動が展開されています。

滋賀県 ― 10年で最悪規模のミナミアオカメムシ大量発生

 滋賀県病害虫防除所は、2025年8月25日付で病害虫発生予察注意報を発表しました。県内の複数地点でミナミアオカメムシ成虫の平均誘殺数が平年の6.4倍に達し、特に近江八幡市安土町大中では過去10年間で最多となる10.8倍の数値が観測されました

  • 大津市里・守山市矢島町・近江八幡市安土町大中・長浜市難波町・高島市今津町日置前
    ― 県内5カ所で予察灯による発生量調査を実施
  • 8月初旬の水稲ほ場調査で、ミナミアオカメムシの平均生息数は過去10年で最多(1.2頭、平年の0.03頭)

 主にダイズへの被害が懸念されていますが、水稲でも収穫前・収穫後のタイミングで、水田からダイズ畑へのカメムシ類の移動が報告されています

なぜ今年、カメムシ被害が多いのか

 カメムシ、特にミナミアオカメムシは吸汁性の害虫で、イネやダイズの実に針状の口を刺し入れ、内部の液を吸い取ります。このため、被害を受けた粒は「斑点」や変色、実入り不良、品質低下といった問題が発生します。
 今年のような高温多湿な気象条件や、収穫期の作物が多い年は、カメムシ発生が大規模になる傾向があり、特に予察灯に集まる夜行性昆虫として監視されています。滋賀県では、連年の観測で増加傾向が続き、2025年は最大規模となりました

農家とJAの苦悩と対策 ― 長野県飯田下伊那の動き

 長野県飯田下伊那地域でも、水田では稲の穂が出て花が咲く今の時期、カメムシ被害のリスクが最高潮に高まります。JAを中心に、カメムシ対策のためドローン防除の導入が進められています。これにより効率的かつ広範囲での薬剤散布が可能となり、労力軽減と迅速な防除が実現できるようになりました。

  • 農薬ドローンは短時間で広い面積に均一な農薬散布が可能。
  • 水田や大規模大豆畑の複雑な地形や入り組んだ場所にも対応しやすい。
  • 高齢化が進む農家にとって、省力化・人手不足対策としても役立つ。

 JAでは防除のタイミング指導や、地域ごとの発生状況に応じた防除回数・薬剤成分のアドバイスなども提供。被害最小化への先進的な取り組みが広がっています。

カメムシ被害が及ぼす農業への影響

  • 品質低下…米、大豆の「黒斑粒」や実入り不良、商品価値の大きな低下。
  • 収量減少…生産者の所得や生産計画に大きな打撃。
  • 農薬コスト増…防除費用が増え、経営負担も増加。
  • 食味悪化・市場流通への影響…カメムシ被害の米・豆は規格外として流通できないケースもあり、生産地全体のブランド低下を招くおそれがある。

予察灯×現場目視の徹底―近年進化する監視体制

 滋賀県や長野県などでは、「予察灯」とよばれる夜間の昆虫誘殺灯でモニタリングを強化。現場農家が捕虫網を使って水田や畑の雑草地帯を定期的に目視し、両者のデータをもとに注意報や警報の発令、緊急防除が指示されています

  • 病害虫防除所による警報や防除情報の発信
  • 地域の定点観測調査に基づく細やかな情報提供
  • 発生がみられた場合の迅速な防除徹底

注意報・防除の徹底呼びかけ

 滋賀県では8月25日に「令和7年度病害虫発生予察注意報第4号(ミナミアオカメムシ)」を発令し、被害多発が予測されるため、農家に早期発見と対策の徹底を強く求めています。

  • 観察と調査をこまめに実施し、カメムシの発生状況を見逃さない
  • 推奨される農薬の適切な時期・方法での使用
  • 除草や水管理など、圃場環境を整えることでカメムシの発生源抑制
  • ドローンや防除機の活用による効率的処理

農業現場の声 ― さらなる知恵と協力が必要

 「年々カメムシ被害が増えている。現場には新たな防除方法やスマート農業の導入が欠かせない」「春や夏の雑草管理も、カメムシの発生を減らすために重要」といった農家の声も寄せられています。

 最近では、AIやIoT技術による害虫予想や、地域ごとの早期警戒ネットワークも活発化。今後も大学や研究機関、地域JAの知見を活用し、生産現場が一体となった総合的なカメムシ対策が求められています。

おわりに―消費者も知っておきたい「カメムシ問題」

 このような農業被害は、消費者が日常で目にするお米や豆製品の品質や価格にも直結します。食の安全や安定供給の面からも、全国での被害動向や農家の工夫について関心を持つことが大切です。地元農産物やJAの取り組みに目を向け、みなさんができる応援や理解にもつなげていきましょう。

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