2026年春闘:UAゼンセン過去最高水準の賃上げ妥結、パート社員の待遇改善が加速
国内最大級の産業別労働組合UAゼンセンが展開する2026年春闘で、過去最高水準の賃上げ妥結が相次いでいます。正社員の平均賃上げ率が5.89%、パート社員が8.04%に達するなど、物価上昇を上回る実質賃金の上昇を目指す取り組みが着実に進展しています。
過去最高の要求基準と妥結状況
UAゼンセンは2026年の労働条件闘争において、日本全体に「物価上昇を1%程度上回る実質賃金の上昇」を定着させることを目標に掲げています。この目標達成に向けて、正社員と非正規労働者それぞれに対し、過去最高水準の賃上げ要求基準を設定しました。
具体的には、正社員組合員について、賃金体系が維持されている組合では賃金体系維持分に加えて4%、賃金体系が維持されていない組合では6%に格差是正分として1%程度を加えた7%の賃上げを要求しています。また、要求額としては、賃金体系維持分に加え1万3500円、賃金体系が維持されていない組合は1万8000円に達するよう積極的に取り組む方針を示しています。
2026年1月の記者会見で、永島智子会長は春闘について「実質賃金下落の流れを何としても反転させる戦い」と強調し、政府が骨太方針2025で掲げる目標達成に向けて「単なる方針で終わらせることなく、先頭に立って取り組みを進めていく」と述べました。
パート社員の待遇改善が加速
注目すべきは、今春闘におけるパート社員への大幅な賃上げです。3月3日時点で妥結した組合のパート社員の平均賃上げ率は8.04%に達し、正社員の5.89%を上回っています。
短時間組合員に対する要求基準は、制度昇給分に加え65円、5%基準で引き上げるとし、制度昇給分が明確でない場合は制度昇給分を含めて85円、7%基準で引き上げるというものです。この取り組みは、正規・非正規雇用者間の格差是正を目指す労働運動の方針を反映しており、働き方改革と待遇改善の推進を象徴しています。
満額回答が相次ぐ業界
3月3日までの段階で、自動車、外食、流通業界など複数の業界で8つの組合が満額回答で妥結しています。中東情勢やトランプ関税などの国際的な経済不安定要因がある中にもかかわらず、企業側が労働者への処遇改善に積極的に応じている背景には、人材確保競争の激化と生産性向上への投資という経営課題があります。
過去最高水準の要求規模
今次闘争における要求規模も過去最高水準に達しています。正社員組合員466組合、短時間組合員229組合、契約社員組合員72組合が要求書を提出し、合計118万名強の組合員要求となっています。正社員組合員、短時間組合員の要求ともに前年を上回り、UAゼンセン結成以来、最高水準の要求となっています。
実質賃金向上への継続的な取り組み
UAゼンセンは2023年から2025年の闘争において、大幅な賃上げを継続して獲得してきました。しかし依然として物価上昇が続いており、実質賃金の引き上げを社会全体に定着させることが喫緊の課題となっています。
永島智子中央闘争委員長は「組合員一人ひとりが生活向上を実感できる賃上げの実現に向けて、精いっぱい労使交渉を展開していく」と述べ、今春闘の重要性を強調しています。政府方針との連携も進みつつあり、労使協調による実質賃金向上の取り組みが今後の日本経済に大きな影響を与えることが期待されています。
労働条件改善の波及効果
UAゼンセンの取り組みは、単に組合員の待遇改善にとどまりません。人材確保に向けた積極的な人への投資や、生産性向上に見合った労働者への適切な配分を企業に求めており、中小企業の賃上げ環境の整備を継続しながら、個別支援にも力を入れる方針を示しています。
このように、2026年春闘は正規・非正規を問わず、労働者全体の処遇改善と実質賃金向上を目指す、歴史的に重要な局面を迎えています。妥結内容がその後の産業や地域における賃金・労働条件設定の基準となることから、社会経済全体への波及効果が注視されています。



