ソニーグループ、第1四半期決算で税引前利益が予想を上回る好調なスタート
2025年8月7日、ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、2026年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表しました。税引前利益は3,566億円と前年同期比24.3%増加し、アナリストの予想を上回る好調なスタートを切りました。売上高は2兆6,216億円で前年同期比2.2%増となり、営業利益は3,399億円で36.5%の大幅増加となりました。最終利益は2,590億円で23.3%の増加を示しています。
決算数値の詳細
- 売上高:2兆6,216億1,500万円(前年同期比2.2%増)
- 営業利益:3,399億5,500万円(同36.5%増)
- 税引前利益:3,566億100万円(同24.3%増)
- 最終利益:2,590億2,700万円(同23.3%増)
これらの結果は、堅調な事業運営と効率的なコスト管理が奏功したことを示しています。
2026年3月期通期業績予想を上方修正
ソニーは同日に、2026年3月期の通期業績予想も発表し、純利益を9700億円に上方修正しました。これは、5月の従来予想である9300億円から約4.3%の増加となり、減益幅も18.5%減から15.0%減へ縮小しました。最終利益の上方修正は、米国の関税影響が想定よりも小さくなったことが背景にあります。
通期予想の主な数値は以下の通りです。
- 売上高:11兆7000億円(前年同期比2.8%減)
- 営業利益:1兆3300億円(同4.2%増)
- 税引前利益:1兆3500億円(同0.5%増)
- 最終利益:9700億円(同9.1%減)
営業利益に関しては、前年を上回る着実な成長を見込みつつ、売上高は微減の見通しです。
米関税の影響縮小がもたらした利益押し上げ
ソニーは、2026年3月期の営業利益見通しを1兆2800億円から1兆3300億円へ上方修正しました。この背景には、米国が課していた関税による営業利益への影響額が従来想定の1000億円から700億円へと大幅に縮小したことがあります。関税負担の軽減は約300億円の増益要因となり、利益見通しの引き上げに寄与しました。
四半期ごとの営業利益率も大幅に改善
2025年度第1四半期の売上営業利益率は前年同期の9.7%から13.0%へと大幅に改善しています。この改善は利益率の高い事業分野の伸長やコスト効率化の成果を反映しており、今後の業績拡大への期待を高めています。
ソニーの事業環境と今後の展望
ソニーグループはゲーム&ネットワークサービス、エレクトロニクス、音楽、映画など多様な事業を展開しています。今回の決算で明らかになったとおり、各分野での収益拡大とコスト管理の効果が顕著です。特に、米国の貿易政策変更により関税負担が軽減されたことは、ソニーにとってプラス要因となりました。
ただし、通期売上高がやや減少見込みであることからもわかるように、世界経済や市場環境の不透明感は依然存在します。為替の変動や競合環境の変化などに対応しながら、ソニーは高付加価値製品の開発や新規事業の拡大を進める必要があります。
アナリストや投資家は、引き続きソニーの利益構造の改善やキャッシュフローの強化に注目しています。また、今後発表される各事業部門の詳細業績も重要な指標となるでしょう。
まとめ
2026年3月期第1四半期決算において、ソニーグループは売上・利益面で前年を上回る好成績を残しました。特に税引前利益が予想を超え、米関税影響の縮小による利益上振れが通期の利益予想引き上げにつながりました。利益率の改善や関税影響の軽微化が見られ、今後の業績に対する期待が高まっていますが、売上高減少リスクや市場環境の変動にも注意が必要です。引き続き、ソニーの動向に注目が集まります。