シズラー再興の軌跡――懐かしの90年代チェーンが「オールスターフェア」で日本に大復活

1990年代、多くの人々に親しまれたレストランチェーン「シズラー」。
近年、その姿を日本の街角で見かける機会が減っていました。しかし2025年、ブーム再来とともに、シズラーが鮮やかな復活を遂げています。その背景には、グルメ界の潮流と、顧客の強いリクエストに応える企業の戦略がありました。

シズラーの歴史と消えかけた名店の軌跡

シズラーは、アメリカ発祥のサラダバー&グリルレストランとして世界に広まり、1991年に日本に初上陸しました。長年にわたり、チーズトーストやサラダバー、新鮮な旬の食材をウリとし、多くのファンを獲得してきました。
しかし、グローバルな経済変動や生活スタイルの変化、コロナ禍による外食控えなどの影響もあり、閉店や事業整理が進み、「あのシズラーがもう手軽に味わえないのか」と惜しまれていました。

  • 1991年:日本上陸。新しいカジュアルダイニングのモデルとして人気に。
  • 2010年代:外食業界全体の競争激化と消費スタイルの変化により店舗数が徐々に減少。
  • 2020年前後:コロナ禍の直撃もあり、日本全国で見られるシズラーが希少な存在となる。

懐かしのチェーン復活――ブーム再来の背景

そんなシズラーが2025年、全国のグルメ・ニュースメディアを賑わせる再登場を果たしました。最大の話題は「ALL-STAR REVIVAL FAIR」や「DISCOVER AMERICA FAIR」など、懐かしくも新しいイベントの開催です。これらのフェアでは、創業当初からの人気メニューや、シズラー発祥のアメリカ各地の料理が、おなじみのスタイルと共に楽しめる仕掛けとなっています。

  • 2025年7月:「ハワイアンフェア」2年ぶりに復活。夏限定の人気メニューで話題に
  • 2025年10月8日:「DISCOVER AMERICA FAIR」も5年ぶりにリバイバル開催。アメリカ各地の伝統料理やオリジナルレシピが勢揃い
  • 「ALL-STAR REVIVAL FAIR」では、1991年からの34年間の歴代人気メニューが順次復活

共通するのは、「懐かしさ」と「新しさ」を両立させたメニューとサービスです。シズラーは消えかけた存在から、「90年代懐かしの名店」そして「現代グルメトレンドの代表」へと新たなポジションを築きました。

フェア開催の詳細と見どころ

  • DISCOVER AMERICA FAIR:アメリカを5つのエリアに分け、各地域の名物グルメを週替わり・月替わりで提供。イースタンシーボードの「アンガス牛ニューヨークカットステーキ」や、南西部の「チキン&シュリンプファヒータ」、南部の「シュリンプジャンバラヤサラダ」などが名物
  • ALL-STAR REVIVAL FAIR:日本初上陸当時の「オールドチーズトースト」や、創業メニュー、季節限定の名物レシピなど、時代を彩ったベストセラーが期間限定で復活
  • ハワイアンフェア:リゾート気分満点のハワイアン料理を、サラダバーやグリル料理として提供。人気のポケやトロピカルデザートが堪能できる

各イベントには、家族連れやかつてのファンだけでなく、若い世代や海外からの観光客も多く集まっています。SNSでは「懐かしい!」「親子で楽しめるのがうれしい」「本場の味が手軽に味わえる」と好意的な感想が溢れています。

店舗展開の戦略と進化

2025年には、新宿エリアでの2店舗同時オープンをはじめ、都市型店舗のリニューアルや新業態出店も積極的に進められています。特にビジネスマンやファミリー層に向けて、開放的な空間やサラダバーの充実、多彩なグリルメニューを武器に「シズラー流現代カジュアル」を再提案しています

  • 新宿三井ビル店(リニューアルOPEN)
  • 新宿東宝ビル店(新規出店)

これにより首都圏を中心に全11店舗体制を維持・拡大し、エリア限定メニューや季節フェア、週末イベントなど、ローカル色を活かした多様な集客施策も展開中です

サラダバーの進化とこだわり

シズラーの顔といえばやはりサラダバーです。定番の新鮮野菜や手作りデリサラダに加え、フルーツ、タコス、スープ、日替わりデザート、グルテンフリー対応やビーガンメニュー、アレルギー表記の徹底なども時代と共に進化しています。

ヘルシー志向や食の多様性が進む現代に合わせ、
「健康にも配慮した外食」や「安心安全な食材」への取り組みが一層強化されているのも特徴です。

失われた味への郷愁と、家族・地域コミュニティの場として

90年代のシズラーを知る世代にとって、今回の復活は「家族の思い出の味」や「地元の人気店」としての再会を意味するものでもあります。

時代や場所を超えて受け継がれる味。郷愁と新鮮な驚きは、大人にとってもこどもにとっても特別な体験です。
こうした復活劇は、単なる「懐かしのリバイバル」にとどまらず、新しい顧客層の獲得や、地域に根ざしたコミュニティ・スペースとしての役割も担い始めています。

倒産危機からの再起と「シズラーならでは」の価値提供

過去には経営破綻や事業整理の危機も伝えられたシズラー。しかし現在は、親会社ロイヤルホールディングスのもとでブランド力を再構築し、積極的な事業再生をはかっています

高級食材の調達力やスタッフ教育、グローバルレシピのアレンジ力、SDGs・地方食材の積極採用など、変化し続ける社会への適応力も高く評価されています。

  • ブランドロゴや店舗インテリアも現代風に刷新
  • スマートフォン予約、デジタル決済などIT化促進
  • リピーター・ポイント・ファミリー特典など会員制度強化

「懐かしく、でも新しい。」それが2025年、今のシズラーです。誕生から半世紀を迎え、新たな世代・ライフスタイルと手を携えながら、「おいしい食体験」を次世代へと繋いでいく大きな挑戦が続きます。

おわりに――再生を果たしたシズラーの今後

飲食業界は大きな時代の変わり目を迎えています。そのなかでシズラーが果敢な復活を遂げた背景には、「食文化を守る力」「懐かしさ」を商品価値に昇華させる技術、そして「今らしさ」を反映させる柔軟性があります。

これからもさまざまなフェアや限定企画、革新的なサービスが期待されるシズラー。家族や友人とともにテーブルを囲み、あの時代の思い出を語りつつ、新たな食との出会いを楽しめる場所として、さらなる発展が楽しみです。

参考元