羽鳥慎一アナ『モーニングショー』の快進撃――“シニアの楽園”が支える長寿人気ワケ

関東エリアでの“視聴率独走”を続けるテレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』。2025年9月29日からは、番組スタート10周年を記念したリニューアルも実施され、さらなる進化を遂げています。同日放送分から番組内容や出演者を一新することで、今まで以上に“気になるニュース”をわかりやすく伝えることを目指しています。

圧倒的な視聴率トップ――その理由とは

年間平均視聴率は5.5%、世帯では9.9%と、NHKを含む他局の朝ニュースを大きく引き離し、5年連続で同時間帯トップを獲得しています。民放単体でも8年連続1位と、まさに“独走”の状況です。この快進撃を支えるのが、MC・羽鳥慎一キャスターの存在です。

テレビ朝日は「羽鳥キャスターのわかりやすい説明とコメンテーターの活発な議論が圧倒的な支持につながった」と分析しています。チーフプロデューサーの小川覚司氏は、「5年連続で年間視聴率トップを獲得できたのは、気になるニュースをしっかり伝えようというスタッフとキャスターの努力の証」と、番組作りに対する“熱量”を強調しています。

“引き立て役”の名MC――羽鳥慎一のキャスター力

漫画家・テレビウォッチャーのカトリーヌあやこさんは、この番組の強みとして羽鳥キャスターの“バランス感覚の良さ”を指摘します。日テレ時代に培ったバラエティー経験を活かし、コメンテーターやゲストをうまく立て、自分は引き立て役に回るのが本当に上手だと評価されています。例えば、同じ時間帯の他局番組・宮根誠司さんとの違いも際立っているようです。

  • 宮根誠司さんは自分が前に出た“ウザ絡み”のスタイルが特徴ですが、羽鳥キャスターはコメンテーターを“立てる”のがうまい
  • 羽鳥キャスターは、自分の意見をしつこく主張せず、参加者全員の発言を引き出していく
  • “コメンテーターの議論を見守る名MC”として、視聴者にも親しみやすく好印象を与えている

“シニアの楽園”――ターゲットと番組の強み

午前中の情報番組を見ているのは、“専業主婦”か“リタイアしたシニア層”が中心です。他局の朝番組と比較すると、その差はより鮮明です。

番組名 特徴
NHK『あさイチ』 主婦向けの家事術や健康ネタが中心。日常の悩みに寄り添う内容。
日テレ『ZIP!』 エンタメ色が強い。Snow Man・阿部亮平さんら若手タレントが多く出演。
TBS『ラヴィット!』 お笑い要素が豊富。バラエティー志向が強い。
フジテレビ『サン!シャイン』 話題の“うっかり発言”や歴史のうんちくなど、ギャップを楽しむ作り。
テレ朝『羽鳥慎一モーニングショー』 主婦ネタ・エンタメ・バラエティーに興味が薄い層を全て受け止める“シニアの楽園”。

『モーニングショー』は、他の番組では扱われない“シニアならではの関心事”を積極的に特集しています。町内会トラブルや火葬場の料金値上げ、ゴミ出しルールなど“自分ごと”として語りたくなるテーマが多いのも特徴です。SNS上でもハッシュタグを付けて、ご近所の話題で盛り上がる視聴者が多いようです。

また、“人気やブームに簡単に乗らない”姿勢も大きな特徴です。例えば、大谷翔平選手が世界的な人気を誇るなか、番組では“大谷嫌い”の視聴者も取り込むような独自路線をとっています。他の番組では大谷選手の活躍にスポットが当たるところ、『モーニングショー』では「なぜ大谷ばかり?もっと他の話題も!」という声に応える構成がされています。ある意味“アンチ大谷”的な側面もありますが、特定の話題に偏らないバランス感覚が、幅広い世代・層の支持を集める理由となっています。

キーパーソン・玉川徹氏の存在と“シニア層向け”の作り

「モーニングショー」の人気を支えているのは、コメンテーターとして長く出演している玉川徹氏の存在も見逃せません。「テレ朝はシニア層の心を捕らえるのがうまい」という指摘もあり、ドラマ『相棒』や『科捜研の女』など、同局のコンテンツ全体が“シニア向け”である傾向が強い背景にも注目されます。玉川氏は政治や社会問題にも詳しく、視聴者から“語りたい”意欲を刺激する話題を多く提供しています。

今後の展望――10周年リニューアルと“独自路線”の継続

2025年9月末のリニューアルで、出演者やコーナーの入れ替えが行われたことで新鮮味も増しています。番組の根本的なスタンスは、これまで通り“無理に話題に乗らず、独自の切り口でニュースを伝える”というもので、今後もさらに“シニアの楽園”としての路線は続きそうです。

一方で、羽鳥キャスターの再婚(美人脚本家との話題)や、プライベートなエピソードがメディアで取り上げられることも増えています。これが番組の人気アップに直結しているとは言えませんが、“親近感”や“キャラクター性”にはプラス効果があると考えられます。

まとめ――“視聴者の知りたい”に応え続ける真骨頂

『羽鳥慎一モーニングショー』の成功は、“誰もが知りたい、でもどこにも取り上げられていない”話題を、羽鳥慎一キャスターの絶妙なMC力で丁寧に伝える姿勢にあります。バラエティーでもなく、硬派な討論でもない“絶妙なバランス”が視聴者をひきつけているのです。

SNSや視聴者アンケートでも「自分の町内会問題を話題にして欲しい」「ほかの番組では聞けない話が聞ける」という声が多く、一種の“コミュニティー感”も生まれているようです。今後も、朝のテレビニュースのスタンダードであり続けるために、羽鳥慎一キャスターとスタッフの挑戦は続きそうです。

羽鳥慎一キャスターから見る今後の展望

コロナ禍以降、特にシニア層のテレビ離れが加速していましたが、『モーニングショー』はその“最後の砦”とも言える存在です。今後も、“視聴者の知りたい”に寄り添いながら、朝の情報番組をリードし続けることが期待されています。

羽鳥キャスター本人も、「これからも視聴者の“知りたい”に応えていきたい」と、番組での発言で度々語っています。このキャスターの謙虚さと分かりやすさこそが、長寿番組の“秘訣”と言えるでしょう。

朝の情報番組界隈はこれからも激しい視聴率争いが続きますが、『羽鳥慎一モーニングショー』は“自分たちだけの居場所”を感じるシニア層を中心に、今後も堅調な視聴率を維持し続ける可能性が高いと言えます。

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