清水建設、海洋土木大手あおみ建設を250億円で買収へ 完全子会社化を発表

大手ゼネコンの清水建設は2026年1月29日、海洋土木工事や地盤改良工事を主力とするマリコン大手のあおみ建設を約250億円で買収し、完全子会社化することを発表しました。この買収は、清水建設が成長分野と位置づける海洋土木工事、特に洋上風力発電などの事業基盤を強化することを目的としています。

買収の概要とスケジュール

今回の買収は、第三者割当増資の引き受けを通じた段階的な株式取得という形で実施されます。具体的なスケジュールは以下の通りです。

  • 第一回第三者割当増資(2026年3月30日):清水建設があおみ建設の過半数にあたる53.36%の株式を取得し、この時点であおみ建設は清水建設の連結子会社となります
  • 第二回第三者割当増資(2026年6月下旬予定):清水建設が残りの株式を取得して、あおみ建設は完全子会社化となる予定です

あおみ建設が2回に分けて新株引受権利を割り当てた株式を発行し、清水建設が引き受けることで、段階的に所有比率を高めていくという手法が採用されています。

あおみ建設の事業概要

あおみ建設は、東京都千代田区に本社を置き、海洋土木・陸上土木・地盤改良を主力事業としている建設企業です。2025年3月期の経営成績は、売上高314億円、営業利益13億6000万円、純資産272億円となっており、海洋・港湾工事事業での高い技術力と評価を得ています。

買収の背景と戦略的意義

近年、日本の大手建設業では土木売上が好調で増進が続いており、大型M&Aによる経営統合の動きも活発化しています。2025年には大成建設による海洋土木大手の東洋建設買収や、インフロニア・ホールディングスによる三井住友建設の完全子会社化などが実施されており、業界全体でこうした動きが活発化しているのです。

清水建設はプレスリリースの中で、「あおみ建設の建設事業者としての経営ノウハウ・経営資源について、土木事業分野及び今後市場の成長が期待される洋上風力事業分野における協働・融合を図り、グループ一体で更なるシナジーを実現し事業拡大を推進することにより、一層の企業価値向上を目指して」いくとしています。

特に、洋上風力発電への対応が重要です。清水建設にとって、あおみ建設が持つ洋上風力発電施設関連工事の定評ある技術力をグループに統合することにより、大型プロジェクト参画を狙うという戦略的な要因が存在しています。

シミズグループの経営基本方針との合致

清水建設は、中期経営計画の基本方針である「持続的成長に向けた経営基盤の強化」に向けて、建設事業の収益力向上、技術・品質の追求及び各事業戦略を強力に推進しています。本件M&Aにより、土木事業や洋上風力事業の事業拡大を図ることが明確な目的として設定されているのです。

第三者割当増資の完了後、あおみ建設の資本金の額が清水建設の資本金の額の100分の10以上に相当し、清水建設の特定子会社に該当することになります。

あおみ建設にとってのメリット

この買収はあおみ建設にとっても大きなメリットがあります。土木専業で海洋・港湾工事事業に強みをもつあおみ建設が、大手ゼネコングループに入ることで、以下のような利点が期待されます。

  • 大規模案件への参画機会の拡大
  • 安定した受注基盤の確保
  • 経営の安定化と人材確保が容易化
  • 設備投資・人材育成への投資余力の増加
  • 大型プロジェクト受注へのつながり

特に、人材確保という観点は建設業界全体における重要な課題となており、大手ゼネコングループの一員となることで、専門技術者の雇用と育成がより充実することが期待されています。

建設業界全体への影響

清水建設によるあおみ建設の買収は、単なる個別の企業買収ではなく、建設業界の構造転換を象徴するM&Aとして注目されています。洋上風力・海洋土木という成長分野への本格的な対応と、専門技術の内製化による競争力強化が、今後の建設業界全体のトレンドになると予想されるのです。

清水建設は2023年に札幌市の地場建設会社である丸彦渡辺建設の買収も行っており、今後もM&Aを通した競争力強化に注力していく方針を示しています。こうした積極的なM&A戦略により、清水建設は急速に変化する建設市場における競争力強化を図っているのです。

今後の展開

2026年3月30日の第一回第三者割当増資により、清水建設はあおみ建設の過半数株式を取得し、連結子会社化します。その後、6月下旬の第二回第三者割当増資を経て、完全子会社化が完成する予定です。

この買収により、清水建設は土木事業や洋上風力事業における競争力が大幅に強化されることになり、今後の事業展開が注目されています。あおみ建設も、大手ゼネコングループの一員として、より大きなプロジェクトへの参画が期待されるなど、両社にとって大きな転機となる買収といえるでしょう。

参考元