日本の大手衣料品チェーン「しまむら」がタイに初上陸
日本国内で2200店舗を展開する衣料品チェーン大手の「しまむらグループ」が、タイの首都バンコクへの進出を果たしました。2025年12月2日(火)、バンコク中心部の大型商業施設「サイアムパラゴン」の5階に、新業態「SHIMA Park(しまパーク)」のポップアップストアをグランドオープンさせたのです。これはしまむらにとってタイへの初進出となる、大きな歴史的一歩です。
今回のタイ進出には、日本ブランドの海外事業展開を支援する企業「GDX」がサポート企業として関わっており、現地への適切な市場参入を実現させました。バンコクは東南アジアを代表する経済都市であり、ファッション消費も活発な地域として知られています。
「バンコクの渋谷」への出店戦略
サイアムパラゴンは、バンコクの繁華街に立地する大型ショッピングモールで、現地の大手デベロッパーにより運営されています。グランドフロアなどにはラグジュアリーブランドも多数出店しており、バンコクにおける高級商業施設として認識されています。このような立地を選ぶことで、しまむらは日本で培った「ポップで親しみやすい」というブランドイメージを、タイの消費者にも効果的に伝える戦略を採用したのです。
「バンコクの渋谷」と呼ばれるこの地域での出店により、地元の若年層をはじめとする消費者に対して、しまむらの魅力を直接発信することができます。店舗のポップで開放的な雰囲気は、タイの消費者にも好意的に受け入れられ、訪問者からは高い関心が寄せられています。
充実した商品ラインナップでタイの消費者を魅了
「SHIMA Park」では、日本で販売されている主要な商品を中心に、ウィメンズ、キッズアイテムなど多彩なラインナップが揃えられています。特に注目を集めているのが、しまむらのオリジナルマスコットキャラクター「しまうさ」のグッズです。赤ちゃんから大人まで、幅広い世代がこのキャラクターに反応し、親子連れでの来店が増えているとのこと。
取り扱い商品には、「しまうさ」アイテムやキャラクターIPコラボ商品のほか、しまむらのプライベートブランドとして知られる「クロッシー(CLOSSHI)」「ファイバードライ(FIBER DRY)」も含まれています。さらに、取り組み先メーカーとの共同開発ブランドである「シュリーブ(SUREVE)」「マジョレッティ(Majoretty)」といった複数ブランドが揃備されており、幅広い価格帯と品質の商品を提供しています。
グランドオープンイベントで話題沸騰
12月2日(火)の17時からは、店内でグランドオープンイベントが開催されました。このイベントには、タイの人気インフルエンサーであるChompoo&Abigailをアンバサダーとして起用し、現地の消費者に対して強力なPR効果を発揮しています。インフルエンサーを活用することで、SNS時代における効果的な認知拡大が期待されており、実際に多くのタイ人来客者がイベントに参加し、しまむらのブランドに興味を示しています。
営業時間は午前10時から午後10時(現地時間)までで、終了日は現時点では未定となっています。この開放的な営業時間設定により、仕事帰りの消費者やショッピングを楽しむ家族連れなど、様々なシーンでの利用が可能になっています。
リアル店舗だけにとどまらないオンライン展開戦略
しまむらグループの海外戦略は、バンコクのポップアップストアだけにとどまりません。2025年11月19日(水)には、タイ王国向けの自社運営オンラインストア「SHIMA Park」を開設しており、バンコクに住んでいない地方のタイ人消費者にも商品を提供する体制が整えられています。
さらに、東南アジア最大級のECマーケットプレイスである「Lazada(ラザダ)」にも、11月25日(火)に出店しました。この戦略により、タイ全域の消費者がしまむらの商品にアクセス可能となり、タイ進出の効果を最大化する工夫がなされています。オンラインとオフラインの連携により、顧客接点を大幅に拡大し、ブランド認知度の向上が期待されているのです。
海外での知名度アップ戦略とタイ選定の理由
しまむらがなぜタイをターゲットに選んだのか、その背景には戦略的な判断があります。タイは東南アジアでも有数の経済規模を持ち、ファッション消費が活発な国です。また、日本文化への関心が高く、日本ブランドの受け入れ環境が整っている点も重要な要素となっています。
海外での知名度を着実に高めることは、しまむらにとって長期的な事業拡大の第一歩です。タイでの成功事例を積み重ねることで、その後の東南アジア域内での展開や、さらには他地域への進出の足掛かりになると予想されます。実際に、店内での顧客反応は良好であり、タイの消費者がしまむらのポップで親しみやすいブランドイメージを高く評価していることが明らかになっています。
日本国内2200店舗のノウハウをタイに展開
日本国内で2200店舗という圧倒的な数のネットワークを有するしまむらグループにとって、海外進出は多くのノウハウを活かせる好機です。日本で確立された店舗運営システム、商品企画力、顧客サービスといった強みを、タイの市場に適応させながら展開することで、現地での競争力を確保しています。
シーズンごとの商品展開や、消費者ニーズに迅速に対応する体制も、日本での実績があるからこそ実現可能となっています。サイアムパラゴンでのポップアップストアは、こうした日本でのノウハウを国際的な舞台で実証するための重要な実験場になっているのです。
今後の展開への期待と課題
現在のところ、バンコクのポップアップストアは終了日が未定となっており、現地での反応や売上状況に応じて柔軟に対応する姿勢が見られます。この慎重で段階的なアプローチは、海外事業展開におけるリスク管理の観点からも合理的です。
今後、ポップアップストアでの試験運用データを分析し、永続的な実店舗展開への移行を検討する可能性も考えられます。また、オンラインストアとLazadaでの販売実績も重要な指標となり、タイ市場における本格的な事業拡大への判断材料となるでしょう。
しまむらのタイ進出は、日本の衣料品チェーンが東南アジア市場に本格進出する象徴的な事例となりつつあります。バンコクの消費者からの好意的な反応を受けて、今後のしまむらグループの海外事業展開に大きな期待が寄せられているのです。



