シャープが純利益大幅増、パソコン好調で業績回復へ
シャープ2025年9月中間決算 ― パソコン事業が牽引し純利益98%増
2025年11月10日、シャープ株式会社が2025年度9月中間連結決算を発表しました。純利益は前年同期比98.1%増の454億円と大幅に拡大し、業績が大きく回復したことが明らかになりました。売上高は13.3%減の9,503億円と減少しているにもかかわらず、利益面では予想以上の伸びを見せています。その原動力となったのがパソコン事業です。市場では「シャープのパソコンが非常に好調」との声が高まっており、同社にとって明るいニュースとなっています。
要因1:パソコン需要の高まりと市場の変化
- Windows11への切り替え需要:企業や教育機関を中心に、古いOSから新しいOSへの移行が進み、パソコンの買い替えや新規購入が活発になりました。これにより、シャープのパソコン出荷台数が大きく増加しました。
- 米国関税政策による駆け込み需要:米中の関税問題が再燃する中、日本メーカーによるパソコン調達にも影響が出ました。その結果、駆け込み的な需要が発生し、パソコン販売が急増しました。
- 多様なニーズに対応した製品展開:在宅勤務やオンライン学習の定着を背景に、個人用からビジネス用まで幅広いラインナップを強化したことも、販売好調を後押ししました。
要因2:事業構造改革とコスト削減の効果
- デバイス事業の見直し:かつて主力だった堺ディスプレイプロダクト(SDP)の終息や、アセットライト(資産軽量化)戦略の推進で、赤字事業の縮小と効率化を進めました。その結果、全体の営業赤字縮小に寄与しています。
- 利益重視の経営方針:売上高は減少しつつも、利益率が向上しました。これは、売上拡大よりも収益性を優先し、低収益事業から高収益事業へのシフトや経費の徹底的な見直しによるものです。
部門別の業績動向 ― パソコン部門が際立つ成長
- ブランド事業(主にパソコンなど):前年同期比で売上はやや減少しましたが、営業利益は1.5倍の462億円と大幅に伸びました。
- スマートワークプレイス(主にB2B関連とPC):PC事業が大幅な増収を記録し、事業全体では5.7%増の2,191億円となっています。
- デバイス事業:SDPの業務終了や構造改革で売上高は減少していますが、営業赤字は大きく縮小しています。
業績の上方修正と今後の見通し
2026年3月期の通期連結純利益予想は、これまでの320億円から530億円へ約65%上方修正されました。パソコン事業のさらなる拡大と、アメリカの高関税政策の影響低減がこの見通しを支えています。なお、通期の売上高見通しは1兆8,700億円で据え置きとなっており、今後はパソコン需要の持続性とグローバル経済環境に注目が集まっています。
シャープ社長コメント ― パソコン事業を中心に成長加速
シャープ代表取締役社長執行役員 CEO の沖津雅浩氏は決算説明会で、「今期はパソコン事業の大幅な拡大により、全社収益構造が大きく改善した。競争環境は依然として厳しいが、付加価値の高い商品開発と収益性重視の経営で持続的成長を目指す」と語りました。
市場環境とシャープパソコンのこれから
- パソコン需要の動向:働き方や学び方の多様化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、セキュリティ強化など、パソコンに求められる役割は近年ますます多様になっています。その中で、シャープは顧客ニーズを的確にとらえ、新製品のタイムリーな導入を進めています。
- 今後のリスク要因:為替市場の変動、半導体や部品調達のひっ迫、世界的な景気減速など外部環境の変化には引き続き注意が必要ですが、現時点ではパソコン事業の好調が全社業績をけん引する状況が続きそうです。
まとめ ― シャープにとってパソコンは希望の星
近年、家電大手として苦境も伝えられていたシャープですが、パソコン事業の飛躍的な伸長により、再び存在感を増しています。2025年9月の中間決算で純利益はほぼ倍増、今後も需要の高止まりが期待されるなか、シャープは変革の渦中で新しい成長ストーリーを描き始めています。




