シャープ、大幅な業績回復—今期業績予想を上方修正

シャープ株式会社(東証プライム:6753)は2025年8月8日、2026年3月期第1四半期(2025年4~6月)の決算を発表し、同時に今期の経常利益・営業利益見通しを大きく上方修正しました。最新の業績発表によると、主力であるパソコンや車載向けディスプレーの好調により、前年同期比で業績が大幅に改善し、純損益・経常損益ともに黒字転換を果たしました。

4~6月期決算、純利益272億円 黒字転換のポイント

  • 2025年4~6月期の純損益は272億円の黒字(前年同期は赤字)
  • パソコン事業の販売拡大とコスト改善が寄与
  • 売上営業損益率は前年同期の-1.1%から3.2%へ回復
  • 車載向けディスプレーなど主力製品の販売堅調

シャープは前年同期に101億円の赤字だった連結経常損益を185億円の黒字へと大幅に転換させました。パソコン出荷台数の増加や、ディスプレー事業の構造改革による事業費用の削減が功を奏し、営業利益率が大幅に改善しています。

通期業績予想、一転して53%増益へ

  • 従来50億円としていた
    通期経常利益予想を270億円へ上方修正(昨期比5.4倍)
  • 営業利益見通しも大幅上方修正
  • ディスプレー事業や新興国向けパソコン販売が牽引

発表時点では、2026年3月期通期の経常利益を当初の50億円から270億円(前期176億円)へ一転52.9%増益となる見通しへと修正しました。通期営業利益も200億円から273億円へ、増益方向の再修正となっています。この背景には、車載用やノートパソコン向けディスプレーの需要が想定以上に拡大していることが大きいとされています。

事業別業績:パソコン・車載ディスプレーが好調

  • 国内外のノートパソコン需要増加
  • 車載ディスプレイ関連の受注増
  • コスト構造改革による収益性向上

パソコン事業は、ビジネス用途や教育現場などさまざまな領域で需要が拡大し、前年同期比で大きく増収。加えて、車載ディスプレーも自動車産業の電動化や情報化の波に乗り、受注と売上が伸長しました。これらの好調な事業が、全社の利益を大きく押し上げる主要因となりました。

売上・利益の推移

決算期 売上高(億円) 営業利益(億円) 経常利益(億円) 純利益(億円)
2025年3月期(前期) 21,000 273 176
2026年3月期(今期予想・修正版) 18,000 270 270

今期の売上高は前年を下回る見通しですが、収益性の大幅向上により利益面では歴然とした改善が見込まれています。特にパソコンおよびディスプレー事業が全体をけん引する構図が鮮明になりました。

投資家向け情報・中期経営計画の動向

シャープは、収益基盤強化や新規事業創出による持続的成長を掲げており、2025~2027年度中期経営計画においては研究開発やサステナビリティへの投資も重視しています。今後も既存事業の競争力強化とともに、新たな成長戦略の実現を目指していく方針です。

株主・個人投資家へのメッセージ

経営陣からは「構造改革の成果が着実に現れ始めた。今後も収益体質の強化と中長期的成長を目指す」というメッセージが発信されています。直近の決算発表資料や株主総会などを通じて、財務体質の健全化と企業価値の向上にも注力していることが繰り返し強調されています。

まとめ:なぜシャープは黒字転換できたのか?

  • パソコン事業・車載ディスプレー事業の収益拡大
  • 赤字体質から脱却、経費削減の徹底
  • 通期業績予想の大幅上方修正による投資家信頼の回復

2025年のシャープは、一時期の業績不振を脱し、本業の黒字化とともに大幅な増益が見込まれる新たな成長フェーズに突入しました。今後も新分野への挑戦や既存事業の深化など、積極的な事業展開が期待されています。国内外の産業動向とともに、シャープの持続的な成長に注目が集まっています。

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