ローム、AIサーバー向けに小型かつ高SOA耐量を実現したパワーMOSFET「RS7P200BM」を発表
ローム株式会社(本社:京都市)は、2025年10月23日にAIサーバー向けの高SOA耐量MOSFET「RS7P200BM」を発表しました。
本製品の大きな特徴は、小型5.0mm×6.0mmパッケージ(DFN5060-8S)に業界トップクラスの広いSOA(安全動作領域)耐量を実現した点にあります。コンパクトさと高い性能を両立したこの新モデルは、AIサーバーをはじめ、バッテリー保護が必要な産業機器電源など幅広い用途に最適です。
背景:AIサーバー市場の急成長と高性能半導体の必要性
近年、AIやIoT技術の進展とともに、データ処理能力が飛躍的に高まったAIサーバーの市場規模は拡大を続けています。AIサーバーは膨大なデータを高速・高精度で処理するため、安定した電源供給と高効率化、省スペース化、高信頼性が強く求められています。このような背景下、サーバー内部の電源回路技術は進化し続けており、パワーMOSFETなどの半導体部品には一層の性能向上が期待されています。
新製品「RS7P200BM」の特徴
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新パッケージ「DFN5060-8S」に5.0×6.0mmサイズを採用
RS7P200BMは小型ながら高出力を要するAIサーバーのホットスワップ回路やバッテリー保護用途で高密度実装が可能です。従来のDFN8080-8Sパッケージ(8.0×8.0mm)を大幅に小型化しました。
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業界トップクラスのSOA耐量を実現
新製品は100V耐圧で、VDS=48V時・パルス幅10msで7.5A、1msで25Aという優れたSOA耐量を持ち、突発的な高電流状態でも信頼性を確保します。
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低オン抵抗で高効率
MOSFETにはスイッチング時の電力損失を抑える「オン抵抗(RDS(on))」の低減が重要です。RS7P200BMはチップ面積や内部構造の最適化ほか、最新設計を採用し極めて低いオン抵抗を実現。これにより消費電力低減と高効率化に寄与します。
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発熱や信頼性にも配慮
パッケージ設計の工夫によって放熱性も向上し、電子機器の小型化・高出力化に伴う発熱トラブルを抑制、製品全体の長寿命化に寄与しています。
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多様なアプリケーションに対応
AIサーバーの48V系ホットスワップ回路・バッテリー保護回路・産業機器の電源保護回路など、幅広い分野で最適なパフォーマンスを発揮します。
製品仕様と技術的詳細
- 品名:RS7P200BM
- パッケージ:DFN5060-8S(5.0mm × 6.0mm)
- 耐圧:100V
- 定格電流:200A
- SOA(安全動作領域)耐量
- パルス幅10ms時:7.5A(VDS=48V)
- パルス幅1ms時:25A(VDS=48V)
- 低オン抵抗設計
- 生産体制:月産100万個体制
- 用途例:AIサーバー、産業機器、バッテリー保護回路など
過去製品との違い:高密度・小型化とラインアップ拡充
ロームは2025年5月にもAIサーバー向けパワーMOSFET「RY7P250BM」(パッケージサイズ8.0mm×8.0mm)をリリースしてきましたが、今回のRS7P200BMは高密度化ニーズに対応し、さらに面積を大幅縮小。サーバーのスペース効率や設計自由度の向上を実現しています。
また、すでに30V~100Vクラスで複数のラインアップを展開しており、サーバー電源のさまざまな回路構成、電圧要件に応じて製品展開を強化しています。これにより顧客側の設計選択肢が広がり、更なる高効率化・高信頼化が期待されています。
AIサーバー市場・業界へのインパクト
AIサーバーの普及が進むなか、このように小型かつ高性能なパワーMOSFETの投入は、省スペース化や消費電力削減だけでなく、回路設計やシステム全体の最適化にも寄与します。
サーバーの消費電力増加や発熱・信頼性への対応、高密度実装技術の進化には、今後ますますパワーデバイスの高性能化が重要となります。
今後の展望とロームの取組み
ロームはAIサーバーや高性能サーバー向けに、今後もパワーMOSFETの高性能化と省スペース化を進め、多様な電源構成やホットスワップコントローラ向けの新型製品を順次展開する方針です。また、今回の新製品も月産100万個規模での量産体制を実現するなど、需要拡大に対応した供給体制も整えています。
なお、ローム製品は大手電子部品商社を通じてインターネット販売にも対応しており、研究開発や量産現場で迅速かつ安定した調達が可能です。
まとめ
RS7P200BMは、ロームの技術力と市場ニーズに応える形で生まれた、AIサーバーや産業機器向けの新世代パワーMOSFETです。小型・高SOA耐量・低オン抵抗の三拍子を揃え、サーバー電源の高効率化や設計自由度の拡大を実現します。
今後もロームの製品群が、AIの社会実装や産業のデジタル化を支える重要な役割を果たしていくでしょう。


