レアアース関連株に再び脚光 日経平均急落の陰で何が起きているのか

最近の日本株市場では、レアアース関連株が大きな注目を集めています。一方で、日経平均株価は大きく値を下げ、相場全体としては不安定な動きが続いています。この記事では、「需給相場でモンスター化する銘柄」「レアアース問題の棚上げ」「日経平均844円安で続落」という3つのニュースを手がかりに、レアアース関連株をめぐる最新の状況を、できるだけわかりやすく解説します。

日経平均は844円安で続落 背景に中国の輸出規制強化

まず、足元の日本株市場の全体像から整理します。日経平均株価は、前日比844円安の51,117円と大きく下落し、続落となりました。終盤には一時900円超安となる場面もあり、投資家心理の悪化がうかがえます。

下落の大きな要因とされているのが、中国による輸出規制強化への懸念です。特に、レアアース関連品目など「軍民両用品」に分類される物資について、日本への輸出管理を厳しくする動きが伝えられ、市場では供給不安が意識されています。このニュースを受けて、7日の取引では日経平均が値下がりして始まったと報じられています。

また、日中関係の悪化懸念から、ソフトバンクグループや東京エレクトロン、アドバンテストなどの主力ハイテク株が売られたことも、日経平均の重荷となりました。これにより、市場全体としてはリスク回避ムードが強まりやすい環境が続いています。

「レアアース問題棚上げ」と次期FRB議長への関心

一方で、週間ベースの株式市場の展望では、「レアアース問題の棚上げ」と、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長人事への関心がテーマとして取り上げられています。レアアースを巡っては、中国の輸出規制に関する報道や、外交・安全保障を背景とした緊張感が高まってきたものの、政策面での具体的な対立がいったん落ち着き、表立った対決が「棚上げ」状態になっている、という見方が出ています。

ただし、表面的に問題が小康状態となっても、供給リスクそのものが解消されたわけではないため、市場参加者は「いざという時の不安」を常に意識しています。その結果、「レアアースそのもの」だけでなく、レアアースを使わない代替材料(レアアースレス)や、レアアースの回収・代替技術に関連する企業にも物色の矛先が向かう展開になっています。

加えて、米国では次期FRB議長を誰が務めるのかという人事が注目されており、今後の金利政策を巡る思惑から、世界の株式市場にとって大きなテーマとなっています。利下げや金融緩和への期待が高まると、成長期待の高いセクターやテーマ株に資金が流れやすくなります。その一つとして、供給不安と技術革新の両面から注目されるレアアース関連株が、投資家の関心を引き寄せている状況です。

需給相場で「モンスター化」する銘柄とは

市況解説では、「明日の株式相場に向けて、需給相場でモンスター化する銘柄が相次いでいる」という表現も見られます。ここでいう「モンスター化」とは、企業の業績やファンダメンタルズだけでは説明しきれないほど、株価が急騰・急変動している状態を指します。

特定のテーマや材料に資金が集中すると、売買高が急増し、需給バランスが崩れやすくなります。買いが買いを呼ぶ展開になると、「テーマに乗っている」というだけで株価が大きく動く銘柄が出てきます。レアアース関連株も、この需給相場の主役のひとつになっていると考えられます。

例えば、「前日に動いた銘柄」としてまとめられた中では、レアアース関連、レアアースレス関連として次のような銘柄が挙げられています。

  • 第一稀元素化学工業(4082):レアアースを使わないジルコニア材料への期待から、株価が大きく上昇。
  • 洋エンジニアリング(6330):レアアース関連の代表銘柄として物色が続く。
  • 大阪チタニウムテクノロジーズ(5726):経産省のレアメタル・レアアース関連の開発事業への参画実績が材料視。
  • 東邦チタニウム(5727):大阪チタニウムとともに、レアアース関連として買いが向かう。
  • 大同特殊鋼(5471):レアアースを使わない磁石の開発企業として注目。
  • 五洋建設(1893):レアアース開発に関連する銘柄として関心が高まる。
  • 東亜建設工業(1885):レアアース関連としての物色が続く。
  • 古河機械金属(5715):レアアース回収機材などへの期待が材料に。
  • 三井E&S(7003):レアアース関連銘柄の一角として注目。
  • 石油資源開発(1662):レアアース関連株として再評価の動きが強まり、株価が急反発。

これらの銘柄の中には、中国の輸出規制をきっかけに、短期間で株価が大きく動いているものが少なくありません。こうした動きは、需給要因が主導する「モンスター化」の典型例といえます。

「レアアースレス」関連株にも資金流入

レアアースをめぐるもう一つの大きな流れが、「レアアースレス」関連株への注目です。中国の輸出規制や日中関係の悪化懸念を背景に、レアアースそのものの供給に依存しない技術や素材への期待が高まっています。

デイリーの相場解説では、「中国の輸出規制で『レアアースレス』関連銘柄に注目」との見出しが掲げられています。具体例として、

  • 第一稀元素化学工業:レアアースを使わないジルコニア材料の開発が期待され、株価が急伸。
  • 大同特殊鋼:レアアースを使わない磁石開発に取り組む企業として物色。

といった銘柄が挙げられています。これは、単純に「脱中国」を目指すというだけでなく、技術革新によってレアアース依存を減らそうとする動きへの投資とも言えます。

また、レアアースを使わないだけでなく、使用済み製品からのレアアース回収技術や、採掘・加工プロセスの効率化に関わる企業も、同じ文脈で市場の関心を集めています。古河機械金属などがその一例です。

レアアース関連株への関心が高まる背景

ここまで見てきたように、レアアース関連株に注目が集まる背景には、いくつかの要因が重なっています。

  • 中国の輸出規制強化:レアアース関連品目が輸出管理の対象となり、日本企業にとって供給リスクが意識されている。
  • 地政学リスクと日中関係の悪化懸念:外交・安全保障の不透明感が、資源・素材の安定確保というテーマを強く浮かび上がらせている。
  • 「レアアース問題」の棚上げ:大きな対立は表面上後退しても、中長期的なリスク認識は残り続け、その分テーマ株としての注目が続く。
  • 次期FRB議長人事と金利見通し:世界的な金融環境の変化が、成長期待分野やテーマ株への資金流入を後押ししている。
  • AI・EV・再エネなど成長産業との結びつき:レアアースはモーター、磁石、電池、電子部品などに欠かせず、成長産業と密接に関係している。

こうした要素が重なり、レアアースそのもの、レアアースレス、レアアース回収・開発関連など、周辺を含めた広い範囲で、関連株が物色される展開になっています。

注目されるレアアース関連銘柄の一例

個別銘柄に目を向けると、アナリストレポートなどで注目のレアアース関連銘柄として取り上げられるケースも増えています。例えば、東洋経済系のレポートでは、「日経平均の上放れの可能性」とともに、6つのレアアース関連銘柄が紹介されており、市場の関心の高さをうかがわせます。

また、新興株ウィークリーでは、2026年に注目期待のレアアース関連株として、資源開発や鉱山オペレーションに強みを持つ企業が取り上げられています。具体例としては、

  • 日鉄鉱業(1515):日本製鉄系の総合資源会社で、鉱石・金属・資源開発事業が売上の大半を占める。レアアース泥の商業化が本格化した際には、鉱山オペレーターとしての役割が期待されるとされています。
  • 古河機械金属(5715):南鳥島のレアアース泥に関するコンソーシアムへの参画実績があり、レアアース回収機材などへの期待もあるとされています。

これらの企業は、現在の業績も堅調で、配当の上方修正などポジティブな材料が株価を押し上げているケースもあります。単なるテーマ性だけでなく、実際の収益基盤や成長期待が伴っているかどうかも、投資家にとって重要なポイントになっています。

大引け後の決算発表と相場への影響

日経平均が844円安で続落した日の大引け後には、ファーストリテイリングイオンといった注目企業の決算発表が予定されていました。これらは指数寄与度の大きい銘柄であるため、決算内容によっては、翌日以降の相場全体の流れを左右する要因となり得ます。

特に、相場が大きく下げたタイミングでは、「決算を見極めたい」という思惑から、積極的な売買を控える投資家も増えます。その結果、個別の材料に資金が集中しやすく、テーマ株や需給要因の強い銘柄が一段と動きやすい環境になります。レアアース関連株の「モンスター化」が目立つのも、こうした相場環境が影響していると考えられます。

個人投資家が注意したいポイント

最後に、レアアース関連株に関心を持つ個人投資家にとっての注意点を、やさしく整理しておきます。

  • 材料の中身を確認する:レアアース関連といっても、「採掘」「開発」「回収」「代替材料」「レアアースレス」など、関わり方は様々です。ニュースや企業のIR資料を確認し、どの部分で関係しているのかを知ることが大切です。
  • 需給だけで動く局面に注意:短期的に株価が急騰している銘柄の中には、需給要因が主なケースもあります。値動きが激しい銘柄では、リスク管理を意識する必要があります。
  • 中長期の視点も忘れない:レアアースは、AI、EV、再生可能エネルギーなど、今後も成長が期待される産業と深く結びついています。一時的な相場の波だけでなく、中長期の事業戦略や技術力もあわせてチェックすると、より落ち着いた判断につながります。
  • 地政学リスクを理解する:中国の輸出規制や国際情勢は、企業努力だけではコントロールできない要因です。ニュースの動きに左右されやすいテーマであることも頭に入れておくと良いでしょう。

レアアース関連株は、世界の情勢や技術の進展がダイレクトに反映される、非常にダイナミックなテーマです。相場全体が不安定な局面であるからこそ、情報を丁寧に確認しながら、落ち着いて付き合っていきたい分野と言えます。

参考元