AIアシスタントの新時代が到来――モバイルでの急成長と生活への影響

2025年、AI技術が私たちの生活に深く浸透し始めています。とりわけ注目を集めているのが、モバイルAIアシスタントの普及とそれに伴う利用動向の変化です。莫大な成長とともに、AIが私たちの働き方や暮らし方にどのように影響を及ぼしつつあるのか、最新の調査データから詳しく見ていきます。

爆発的に拡大するモバイルAI市場

モバイルAI市場は2023年に281.1億ドルと評価され、2024年には356.7億ドル、そして2032年には2,398.9億ドルに拡大する見込みです。年平均成長率(CAGR)は26.9%と予測されており、その成長速度は他のテクノロジー分野と比較しても際立っています。スマートフォンやタブレットにAIが搭載されることで、従来以上に身近でリアルタイムなサービスが実現し、エッジコンピューティングや機械学習がユーザー体験を大きく変革しています。

  • 顔認識や音声アシスタントによる利便性の向上
  • 写真加工や拡張現実(AR)アプリでの活用
  • モバイルセキュリティ分野での活躍

これらの技術進化が、消費者の「AIとのつきあい方」を根本から変えています。

AIアプリ利用率の著しい増加――ChatGPTが牽引

AIアシスタント市場の急成長を象徴するのが、ChatGPTをはじめとする生成系AIツールの一般層への普及拡大です。ChatGPTは2025年7月、iOSとGoogle Playで累計10億ダウンロードという驚異的な数字を達成しました。これはプリインストールアプリを除くと、かつてない速さでの到達です。さらに、月間アクティブユーザー数5億人を突破し、それまでのフリーランサーや学生、プログラマーの枠を超えて、より幅広いユーザー層に利用が広がっています。

また、平日・休日を問わず利用される傾向が強まっており、かつては業務ツールと見なされていたAIアプリが、「Google検索」と同じように生活インフラのひとつになりつつあることを示しています。

利用実態――AIアシスタントはどこまで普及したのか

2025年3月時点の調査によると、生成AIアシスタントで最も多く利用されているのは断トツでChatGPT(月間931万人利用)、その後にGoogle Gemini、Microsoft Copilotが続いています。それぞれの平均利用時間も注目されており、ChatGPTは1ユーザーあたり1か月で91分34秒と、他のサービスの追随を許さない使われ方をしています。

  • ChatGPT:月間利用者931万人、平均利用時間91分34秒
  • Google Gemini:261万人
  • Microsoft Copilot:190万人

このことから、多くの人が単なる検索用途を超えて、日常的な相談や情報整理、文章作成、学習支援など多面的にAIアシスタントを活用している現状がうかがえます。

モバイル利用増加の背景――82%の成長という劇的なシフト

AI利用のプラットフォームも大きく変化しています。従来、AIはパソコン(デスクトップ)で使われることが一般的でしたが、モバイルAIアシスタントの利用が82%増加し、急激にデスクトップからスマートフォンやタブレットへと主役の座が移りつつあります。これは、AIの利便性を最大限に生かすには、いつでもどこでも使えるモバイル性が重要であることを、多くのユーザーが実感しているためです。

  • 移動中や外出先で手軽に問い合わせ・作業が可能
  • カメラやマイクなどモバイル固有の機能をAI活用に直結できる
  • やり取りのレスポンスがリアルタイムで得られるため効率的

この流れは、IoT家電やウェアラブルデバイスとの連携、また今後登場する新たなモバイル端末に拡大していくと予想されます。

世界と日本のAI利用率のギャップ

全世界的に見れば、生成系AIを「日常的に使う」と答えた人の割合は72%に達しています。しかし、日本ではこの数字が51%と依然として低迷しています。これは、インド(92%)、中東諸国(87%)といったAI利用率が非常に高い国々との対比で顕著です。また、業務でのAI利用も日本では一般従業員層において51%と、世界平均より遅れ気味の状況です。

  • 世界平均:72%が生成AIを日常的に利用
  • 日本:51%が日常的に生成AIを利用
  • インド:92%、中東諸国:87%と高水準

このギャップの要因には、日本独自の働き方やIT導入文化、AIに対する不安感の根強さなどが挙げられています。同時に、AIによる自動化・効率化を実感する機会がまだ十分に普及していないことも課題として指摘されています。

AI利用がもたらす期待と懸念

AIの普及は多くのポジティブな変化とともに、一部で課題や懸念も顕在化しています。たとえば、AIによる業務自動化や意思決定の高速化、情報のパーソナライズは大きなメリットです。しかし同時に、回答者のおよそ41%が「今後10年以内に自分の仕事がなくなるかもしれない」と感じているという調査結果もあります。

以下は、2025年現時点で特に注目されている期待と懸念点です。

  • 業務効率化やイノベーション創出への期待
  • AIとの協働による新しい働き方・生き方
  • セキュリティやプライバシーに関する懸念
  • 雇用構造の変化、従業員の不安感

AIアシスタントがもたらす日常の変化

AIアシスタントの登場により、ユーザーの「能動的な検索」から「受動的な提案」への流れが強まっています。日々の予定管理、学習支援、健康アドバイス、さらには買い物やエンターテインメントまで、多様な生活シーンでAIが自然に溶け込む世界がすぐそばにあります。

  • 仕事:議事録作成、スケジュール調整、資料要約
  • 学習:質問応答、問題解決、情報整理のサポート
  • プライベート:趣味の提案、旅行や買い物のアドバイス

こうした流れは今後さらに加速し、AIアシスタントは「いつでもそばにいる、頼れるパートナー」として私たちの日常生活に欠かせない存在となっています。

今後の課題と展望

AI技術が一層普及するなかで、公平性や倫理性、セキュリティ確保、ユーザービリティの最適化といった新たな社会的課題への対応も不可欠です。また、AI利用の恩恵を全ての人が等しく享受できるよう、教育やリテラシー向上、法制度の整備が急務となっています。

今やAIアシスタントは「限られた一部の人」のツールではなく、老若男女問わず多くの人が使いこなす時代が本格的に始まりました。その中心にモバイルAIがあること、そして日常生活のあらゆる場面でAIが新しい選択肢をもたらしている現実を、今後も注視していく必要があります。

参考元