楽天ふるさと納税と敦賀市 駆け込み寄付急増の背景
ふるさと納税は、自分の好きな自治体に寄付でき、そのお礼として地域の特産品などがもらえる仕組みとして日本全国で人気ですが、2025年9月末をもって「寄付ポイント還元」が禁止される動きを受け、多くの自治体で駆け込みの寄付が急増しています。特に、楽天ふるさと納税のような大手ポータルサイトを経由した寄付が多く見られ、福井県敦賀市ではその動きが顕著となっています。
駆け込み寄付が増加した理由
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これまで楽天ふるさと納税など一部のサイトでは、寄付額に応じて楽天ポイントなどがもらえるキャンペーンが展開されてきました。こうした「ポイント付与」が2025年9月30日で禁止されることが決まり、その直前になって駆け込みで寄付をする人が急増しています。
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値上げや物価高の影響で、生活者にとっては返礼品のほかポイント還元が家計の助けになるとの声が多く、「どうせ寄付するならポイントがもらえる間に」と考えた利用者が増えたことが背景です。
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さらに、ポイント付与禁止を前に「とりあえず寄付しておき、後から返礼品を選ぶ」手法が増加しており、寄付者は返礼品選びをじっくり考えたいというニーズも反映されています。
敦賀市のふるさと納税の特徴と実績
敦賀市は、豊かな自然と栄えた港町という特徴を生かし、ズワイガニやカットした生ズワイガニ、冷凍むきエビといった海の幸が返礼品として大変人気を集めています。また、2023年度の寄付額は約79億9千万円となり、全国16位という高い実績を記録しました。
- 寄付されたお金の使い道は、子育て支援や観光PR、地元の鉄道遺産の保存、北陸新幹線開業に向けたまちづくりなど多岐にわたっています。
- 全国約1千万人がふるさと納税を利用し、寄付総額は1兆円超。特に敦賀市の人気はここ数年で急上昇しており、全国でもトップクラスの寄付実績となっています。
ふるさと納税の収支・自治体の視点
寄付が増えることは自治体にとっても大きな収入源となりますが、その一方で寄付による返礼品や広報・事務経費などが発生します。総務省は経費率を寄付額の5割以下と規定しており、敦賀市の場合、2023年度は寄付額約79億9千万円に対して経費39億2千万円(49%)でした。
- 都市部では納税者が他の自治体に寄付することで住民税収が流出するため、赤字となる自治体もあり、制度見直しを求める声も根強くあります。
- 一方、敦賀市のような地方自治体は寄付が財政の安定や地域振興につながり、大きなメリットがあります。
返礼品のトレンド:「物価高の今」何を選ぶ?
話題となっているのは返礼品の内容です。最近の物価高騰で「少しでも家計の助けになるもの」が好まれる傾向にあり、金融のプロ(ファイナンシャルプランナー、FP)からは「米・調味料・日用品など生活必需品や“長く使えるもの”」のお勧めが紹介されています。
- 例えば、果物の中でも高価格帯となるシャインマスカットは人気でありながらコストパフォーマンスを考えるとお得感が薄れるとの指摘もあり、同じく肉・海鮮についても「選ぶなら大容量がお得」といった意見があります。
- 米や調味料、トイレットペーパーなど日用品は家計に直接役立つとされ、リピーターも多いようです。
- また、「普段なかなか手が届かない地元の高級食材」も記念や贅沢体験を求める人に人気です。
「楽天ふるさと納税」とネットポータルの強み
楽天ふるさと納税は、寄付額に応じた楽天スーパーポイントの付与が大きな魅力のひとつです。家計管理とポイントの合わせ技で“実質値引き感”が味わえるため、多くの家庭がこのキャンペーンを活用しています。しかし、2025年9月30日でポイント付与禁止が決まったことから、駆け込み需要がおき、サーバーダウンや問い合わせ集中も発生しました。
- 楽天のみならず、Yahoo!やふるさとチョイス、さとふるなど複数の大手ポータルサイトが対応しており、禁止直前はすべてのサイトで多くの自治体への寄付受付が殺到しました。
- 利用者にとっては、これまで受けられていた「ポイントによる追加還元」がなくなることで、今後寄付自体の動向・寄付額にも変化が生じる可能性があります。
敦賀市で受け取れる主な返礼品
敦賀市は新鮮な海産物のほか、「越前がに」「敦賀ふぐ」「甘エビ」「東浦みかん」など地元ブランドの食材や品物が多数ラインナップされています。2024年3月には北陸新幹線金沢~敦賀間の開業も重なり、アクセス向上による地域プロモーション効果も期待されています。
- ズワイガニや海鮮加工品、新鮮なフルーツ、伝統工芸品、日用品、地元でしか手に入らない限定グッズまでバリエーション豊か。
- 「ふるさと納税で思い出作り!」というキャッチコピーで家族旅行や体験型返礼品を用意した自治体も増えています。
ふるさと納税の課題と今後
ふるさと納税制度は地域振興の起爆剤となる一方、次のような課題も指摘されています。
- 都市部から地方への財源移転が進みすぎて都市自治体の財政圧迫に。
- 返礼品競争の過熱、経費率上昇によるコスト問題。
- 今後はポイント付与等の“二重の還元”が規制されるため、制度本来の趣旨である「寄付による地域貢献」がより問われるようになります。
まとめ:「賢く・楽しく」活用する時代へ
楽天ふるさと納税をはじめとした各種ポータルサイトの活用で、ふるさと納税は今や「家計を支える味方」として多くの生活者が利用しています。2025年9月末のルール改正を契機に、寄附の本質=地域への貢献・応援が再度注目されることでしょう。敦賀市のように返礼品内容や寄付金の活用先が明確な自治体は、今後も魅力的な選択肢となり続けるはずです。




