楽天グループ株、アナリスト予想上昇で注目集まる~目標株価950円に引き上げ
楽天グループ(4755)の株価が市場で注目を集めています。11月30日のマーケット動向を受けて、複数のアナリストから前向きな評価が相次いでいます。特に2025年12月期の経常利益予想が対前週比で6.9%上昇し、米系大手証券がレーティングを据え置きながらも目標株価を950円に引き上げるなど、投資家の期待が高まっています。
経常利益予想が大幅上昇
11月28日時点の情報によると、楽天グループの2025年12月期における経常利益予想が対前週比6.9%上昇するという注目のコンセンサス変化が報告されました。この上昇は、アナリストらが同社の経営改善の進捗をどのように評価しているかを示す重要な指標となっています。
経常利益予想の上昇背景には、同社の複数のセグメントにおける好調な業績が影響していると考えられます。特に11月13日に発表された2025年度第3四半期決算では、売上収益が前年同期比10.5%増の1兆7,876億円となり、Non-GAAP営業利益が583億円の黒字に転換するなど大幅な改善を示しました。全セグメントで増収となった中でも、フィンテック事業の好調ぶりが目立っており、インターネットサービス、フィンテック、モバイルといった主要事業が堅調に推移しているとの評価が広がっています。
米系大手証券が目標株価を引き上げ
11月20日付のレーティング発表で、米系大手証券が楽天グループの目標株価を950円に引き上げたことが報告されました。同証券はレーティングを中立で据え置いていますが、この目標株価の引き上げは市場参加者に対して、今後の株価上昇の余地があることを示唆しています。
11月28日時点での楽天グループ株は954.5円で取引されており、この目標株価950円からはやや上回る水準となっています。年初来の高値は11月11日の1,068円で、年初来安値は4月7日の695円と、かなりの変動幅を記録しているため、目標株価の引き上げは投資家心理にも一定の安定感をもたらすと予想されます。
業績改善トレンドが継続
楽天グループの経営状況をみると、過去12四半期にわたって業績改善の傾向が見られています。特に純利益率のマイナス幅が前年同期比で縮小し、売上高も前年同期比で持ち直しているなど、経営の下げ止まりが明確になってきました。
収益性に関しても、営業利益率が前年同期比で持ち直しており、直近ではプラスに転じているという好材料があります。成長性についても、売上高は前年同期比で増加傾向を示しており、フリーキャッシュフローも改善の動きが見られています。こうした複数の指標の改善は、同社の経営改革が実を結びつつあることを示唆しています。
構造的な課題も存在
一方で、楽天グループには構造的な課題も残されています。自己資本比率が3.5%と極めて低い水準にとどまっており、これが企業の安定性に課題をもたらしている状況です。また、ROE(自己資本利益率)が-18.41%とマイナスの水準であることも、投資家の懸念事項となっています。
ただし、こうした課題の中でも経常利益予想の上昇やアナリストの目標株価引き上げが相次いでいることから、市場全体としては同社の中期的な改善を見込む声が増えているとも解釈できます。
投資家向けの見通し
楽天グループ株に対するレーティングは「やや強気」とされており、複数のアナリストからは割安という評価も示されています。PBR(株価純資産倍率)基準では妥当水準との判定がされているなど、現在の株価水準が合理的であると考えるアナリストが多いようです。
11月28日時点での時価総額は約2兆693億円となっており、市場からの評価も高まっている様子が伺えます。第3四半期決算の好調な結果に加え、AI機能を実装したサービスのリリースなど新たな取り組みも始まっており、今後の動向に注目が集まっています。
今後、12月期決算の本格的な発表に向けて、さらに詳細な業績情報が開示されることが予想されます。アナリスト予想の上昇基調と目標株価の引き上げが続く中、楽天グループ株の投資判断をめぐるコンセンサスの形成が進んでいくと考えられます。市場参加者にとっては、同社の経営改善がどこまで継続するのか、そして自己資本比率などの構造的課題にどう対処していくのかが、今後の見通しを判断する上で重要なポイントになるでしょう。
まとめ
楽天グループは、経常利益予想の上昇と目標株価の引き上げにより、市場からの期待が高まっています。第3四半期の良好な決算結果と複数セグメントでの増収が評価されており、経営改善の流れが継続していることが確認されました。ただし、自己資本比率の低さなど残された課題もあり、投資判断には注視が必要です。アナリストの評価動向と今後の業績発表を重視しながら、同社の中期的な成長性を見守っていく必要があるでしょう。




