楽天グループの株価動向と2025年第3四半期決算:営業黒字復帰とアナリスト評価の変化
はじめに
2025年11月13日、楽天グループが第3四半期(1-9月期)の決算を発表しました。本記事では、最新の株価動向、決算内容、その背景にある携帯事業や金融セグメントの動き、加えて主要証券会社による評価や今後の展望について、分かりやすく丁寧に解説します。
1. 楽天グループの株価推移
2025年11月13日午前11時時点で、楽天グループの株価(東証:4755)は1,035.5円となっています。直近の終値は1,040円(11月12日)、年初来の高値は1,068円(11月11日)、年初来の安値は695円(4月7日)です。10月下旬〜11月にかけて株価は急上昇し、その後も1,000円台で堅調に推移しています。出来高も多く、投資家からの注目度が高い状況が続いています。
- 11月11日:高値1,068円、終値1,048円
- 11月12日:始値1,051円、高値1,052円、安値1,033.5円、終値1,040円
- 11月13日午前:1,035.5円(下落幅-0.43%)
この動きの背景には、決算発表直前というタイミングと、同時に発表されたアナリスト評価や業績への注目があります。
2. 2025年第3四半期決算のポイント:営業黒字への復帰
楽天グループは11月13日、2025年第3四半期(1〜9月期)の累計連結決算を発表しました。最大の注目点は、6年ぶりの営業黒字回復です。売上収益は前年同期比10.9%増の6,286億円と四半期ベースで過去最高を記録しました。一方で最終損益は1,512億円の赤字と依然マイナスですが、前年同期と比べて赤字幅を縮小しています。
- 売上収益:6,286億円(前年同期比+10.9%、過去最高)
- 営業利益:非GAAPベースで197億円の黒字(前年同期は372億円の損失)
- 最終損益:1,512億円の赤字(前年同期は1,503億円の赤字、やや拡大)
この決算の特徴は、各事業セグメントが伸びている点です。特に、携帯事業の赤字縮小が全体の収益改善に大きく寄与しました。その他、ECを中心にしたインターネットサービス、金融関連サービス(楽天銀行・楽天証券)の拡大もあり、グループ全体の収益力が向上しています。
3. セグメント別の業績・携帯事業の動向
楽天グループは複数のセグメントで事業展開していますが、今回の決算でもっとも注目されたのが、携帯事業の赤字縮小です。これまでグループ全体の重荷となっていた携帯部門ですが、ここにきてコスト削減と顧客基盤の安定化が進み、赤字幅が大幅に縮小しました。
- インターネットサービス(EC・旅行・トラベルなど):引き続き堅調な成長
- フィンテック(楽天銀行・楽天証券など):新規口座増加と手数料収入増でプラス寄与
- 携帯事業:収益機会拡大、赤字幅大幅縮小
全セグメントが前年同期を上回る売上をあげ、グループ全体で安定した成長基調にあることが確認されます。
4. アナリストによる評価と株価目標の修正について
米系大手証券では楽天銀行のレーティング(推奨)は「強気」を維持しつつも、目標株価を8,800円に引き下げました。近年は楽天全体の業績に加え、金融関連子会社である楽天銀行への期待も高く、マーケットにおける評価は引き続き良好です。
- 楽天銀行の評価:レーティングは「強気」継続
- 目標株価:9,000円超から8,800円へ下方修正(慎重姿勢を見せつつ長期では成長期待)
こうしたレーティングの維持が、楽天グループ全体の株価安定に一定の心理的支えとなっています。
5. 投資家・市場参加者の視点
決算発表を受けて、市場の反応は比較的冷静です。過去には携帯投資による先行き不安が強く株価下落圧力となった時期もありましたが、2025年第3四半期決算では営業黒字回復と、全事業の増収が評価材料となっています。特に「赤字縮小」だけでなく、「営業黒字化」への転換が大きな分岐点と言えるでしょう。
- 短期的には利益確定売りが出やすいタイミング
- 中長期的には事業構造改革・金融成長を評価する投資家が増加
- 安定的な成長シナリオが見えることで、個人・機関投資家ともに関心を維持
一方、最終損益は依然として大きなマイナスであり、財務体質強化や今後の配当政策、携帯・フィンテック事業のさらなる収益化を注視する必要があります。
6. 今後の展望と課題
楽天グループは、携帯事業の黒字化とインターネットサービス・金融セグメントの伸長を武器に、中長期的な成長戦略を模索しています。
- 携帯事業のネットワーク構築とコスト効率化
- 楽天市場や金融サービスのクロスセル強化・デジタル会員基盤の拡大
- 赤字縮小基調の継続と、最終黒字化への道筋
市場は、引き続きキャッシュフロー動向、債務償還リスク、アライアンス戦略など、経営の「守り」と「攻め」のバランスを評価していきます。
まとめ
2025年第3四半期決算は楽天グループにとって大きな分岐点となりました。携帯事業の課題は残るものの、営業黒字の回復、全セグメントの増収、アナリストによる強気評価維持など、総じて前向きな評価が目立ちます。投資家・市場参加者は、今後の本格的な黒字転換と、成長分野でのさらなるシェア拡大に期待を寄せています。




