12月15日の年金支給日に「年金生活者支援給付金」が振り込まれる人は?最新情報をわかりやすく解説
12月15日は、年内最後の公的年金の支給日です。この日にあわせて、条件を満たした方には、公的年金に上乗せされる形で「年金生活者支援給付金」も振り込まれます。
この記事では、「年金生活者支援給付金」とはどのような制度なのか、12月15日に支給される人の条件、1人あたり月いくらぐらい支給されるのか、そして申請が必要な点について、やさしく整理してご説明します。
年金生活者支援給付金とは?制度の基本をおさらい
「年金生活者支援給付金」は、物価や消費税の負担が重くなる中で、所得の少ない年金受給者の生活を支える目的で2019年にスタートした恒久的な制度です。
対象となるのは、基礎年金(老齢・障害・遺族)を受給している方のうち、所得が一定基準以下の方で、公的年金に「上乗せ」して支給されます。
給付金の種類は次の3つです。
- 老齢年金生活者支援給付金(老齢基礎年金を受給している方のうち一定の所得以下の方)
- 障害年金生活者支援給付金(障害基礎年金受給者で一定の所得以下の方)
- 遺族年金生活者支援給付金(遺族基礎年金受給者で一定の所得以下の方)
いずれも、偶数月の年金支給日(原則15日)に、2カ月分まとめて支払われます。
12月15日に支給されるのは「10月分+11月分」
年金生活者支援給付金は、支給対象期間が「月単位」で決まり、支払いは2カ月ごとに行われます。
12月15日に振り込まれるのは、10月分と11月分の2カ月分です。
日本年金機構の案内でも、10月分・11月分の給付金が「12月支払い」で振り込まれることが示されています。
そのため、10月から新たに支給が決定した方や、継続支給が認定された方には、12月15日に2カ月分まとめて入金されるしくみです。
「11月分+10月分の給付金」が支給される対象者とは
12月15日に「10月分+11月分」の年金生活者支援給付金を受け取れるのは、主に次のような方です。
- 年金生活者支援給付金の受給権がすでにある方で、前年所得等の審査により2025年度も継続支給と判断された方
- 2025年秋ごろまでに新たに請求を行い、10月分からの支給が決定した方
- 所得の変動などにより、2025年10月分から支給額が変更となり、その内容が12月支払いから反映される方
継続支給の判定は、毎年前年の所得情報に基づいて行われ、その結果は10月分(12月支払い)から1年間反映されます。今年の所得状況によっては、今回の12月支給分から給付額が増減する場合もあります。
支給される金額は「1人あたり月いくら」?
支給額は年ごとに見直される「給付基準額」に基づいており、物価や賃金の動きなどを踏まえて調整されています。
具体的な金額は給付の種類や加入期間によって異なりますが、老齢年金生活者支援給付金の場合は、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間+免除期間など)に応じて、満額給付か一部給付かが決まります。
また、所得が基準額を少しだけ上回る方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」として、通常より少ない額が支給される場合もあります。
いずれにしても、支給額は「1人あたり月いくら」と決まり、支払い時には2カ月分を合算した額が年金と同じ口座に振り込まれます。
通帳には、年金とは別の名称欄で印字されるため、入金後に明細を確認するとわかりやすいでしょう。
そもそも、どんな人が「年金生活者支援給付金」の対象になるの?
年金生活者支援給付金は、「基礎年金を受け取っていること」に加えて、「所得が一定以下」であることが大きな条件となります。
ここでは、多くの方が該当しうる老齢年金生活者支援給付金を例に、支給要件を整理します。
老齢年金生活者支援給付金の主な要件は、厚生労働省の案内によると次のとおりです。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計が、一定額以下であること
なお、障害・遺族の基礎年金を受けている方が対象となる給付金もあり、それぞれで所得基準や細かな条件が定められています。
対象者でも「申請が必要」なので要注意
制度上の対象となる条件を満たしていても、自動的に支給されるわけではありません。
厚生労働省・日本年金機構は、年金生活者支援給付金を受け取るには「年金生活者支援給付金請求書」の提出が必要だと明示しています。
年金を新たに受け取るタイミングで、年金請求書と一緒に案内・請求書が届くケースが多く、その書類を提出することで、原則として翌月分から給付金が支給されます。
一方、案内に気づかず請求をしていない場合、条件を満たしていても給付金は支給されません。心当たりのある方は、手元の書類や過去の通知、通帳の入金状況を一度確認してみることをおすすめします。
12月15日に初回振込となるケースも
一部の自治体では、「新たに年金生活者支援給付金の支給が決定した人」の初回振込が12月15日となる旨を案内しています。
この場合、初回は10月分~11月分の2カ月分が、年金と同じ口座にまとめて振り込まれますが、通帳には年金とは別の区分で印字されるため判別できます。
また、請求の時期によっては、10月分にさかのぼって支給対象となるものの、実際の初回振込は翌年以降になるケースもあります。
「いつから・何カ月分が支給されるのか」は、日本年金機構から届く通知書で確認することが大切です。
給付金を受け取っている人への「継続認定」と金額変更
すでに年金生活者支援給付金を受給している方については、毎年、前年の所得情報をもとに「継続して支給するか」「支給額をどうするか」の判定が行われます。
この継続支給の判定結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間反映されます。
そのため、所得が増えた場合には支給額が減ったり、支給停止になったりすることがありますし、逆に所得が減った場合には給付額が増える場合もあります。
支給額が変更となる方には、日本年金機構から「年金生活者支援給付金 支給金額変更通知書」が送付され、12月支払い分から新しい金額で振り込まれます。
公的年金だけで不安な人にとっての「支え」として
物価高や光熱費の負担増が続くなかで、「公的年金だけでは心もとない」と感じる方は少なくありません。
そのような状況の中、年金生活者支援給付金は、決して大きな額ではないものの、生活費の一部を補うための重要な制度となっています。
また、老後の生活を支える方法としては、公的年金+年金生活者支援給付金に加え、貯蓄や資産運用、個人向け国債などの活用も話題になっています。特に、最近は個人向け国債「変動10年」の利率が上昇し、発行から2年半で適用利率が約4倍になった債券もあるなど、低リスクで利息を受け取れる商品に関心が集まっています。
こうした情報も組み合わせて、公的な制度+自助努力の両輪で老後資金を考えることが大切になっています。
自分や家族が対象かどうか、今一度チェックを
ここまで見てきたように、年金生活者支援給付金は、
- 基礎年金を受け取っていること
- 所得が一定基準以下であること
- 市町村民税が非課税である世帯であること(老齢給付の場合)
- そして請求手続きを行っていること
といった条件を満たした方が対象となる制度です。
12月15日の年金支給日に、通帳に「年金生活者支援給付金」などの名目で入金があるかどうかを確認するとともに、案内や通知が届いているのに請求していない可能性がないか、一度見直してみると安心です。
もし「自分が対象かどうかわからない」「請求書を出したか記憶があいまい」という場合は、日本年金機構のねんきんダイヤルや、最寄りの年金事務所・市区町村の窓口に相談してみると、具体的な状況を確認できます。
制度を正しく理解し、受け取れるはずの給付金をきちんと活用することが、これからの生活を少しでも安定させるための一歩になります。
ぜひ、この機会に、ご自身やご家族の年金や給付金の状況をチェックしてみてください。



