パランティア、「AI本命」企業として快進撃――2025年第3四半期決算とAIブームで評価高まる米データ分析大手の現在地

パランティア・テクノロジーズとは?

パランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies, PLTR)は、AI(人工知能)とビッグデータ解析を強みとする米国発のソフトウェア企業です。
創業当初から米国防総省や政府機関向けにデータ統合・分析基盤を供給してきたことで知られていますが、近年は商用(企業向け)AIサービスも爆発的な成長を遂げ、「AIの本命」として市場関係者や投資家から非常に高い注目を集める存在へと進化しています。

2025年第3四半期決算――売上高前年比63%増、純利益3倍の圧倒的な成長

  • 売上高:11億8,109万ドル(前年同期比+62.8%/前年同期7億2,526万ドル)
  • 純利益(調整後):3億9,325万ドル(前年同期比約3.5倍)
  • 営業利益率:33.3%(前年同期は15.6%)
  • 1株利益(EPS・調整後):0.21ドル(予想0.17ドル・前年同期0.10ドル)
  • 調整後フリーキャッシュフロー:5億4,000万ドル(前年同期比+24%)

今回の決算では、売上・利益・キャッシュフローといった重要指標がすべて予想や過去を大きく上回りました。「AIの本命」らしい異次元の成長ぶりが示された形です。特に純利益は前年同期の約3倍に跳ね上がり、営業利益率も一気に2倍以上の水準へと急上昇しています。

AIブームを牽引する「AIP」プラットフォームと民間向け大型契約の急拡大

近年のパランティアの成長を語る上で欠かせないのが、AI統合プラットフォーム「AIP」の存在です。2023年から本格的にリリースされたAIPは、政府機関・軍事分野のみならず、民間企業がAIを自社の全業務に統合するための「OS」として機能しています。

  • 2025年3Q、商用部門(企業向けAI)の売上高は3億9,700万ドル。前年同期比121%という異例の急拡大。
  • 米国商用部門では、売上が前年同期比で93%増、前期比でも20%増という伸び。
  • 政府(主に米国防省など)向けも依然として柱で、同期売上高は4億8,600万ドル、52%増。

商用AIプラットフォームの普及が劇的に進んだことで、「国防AIの雄」から「民間でも通用するデータ×AIのグローバルリーダー」へと変貌したことが、今回の業績を後押ししています。

ChatGPT超え?投資家・市場が驚く「超高収益」ビジネスモデル

パランティアの強さの背景には、ソフトウェアサービスの超高収益構造があります。OpenAIなど従来のAI企業とも異なる点は「長期・超大型契約」が中心であることです。AIPというプラットフォームの「OS化」が特定企業への依存を減らし、より安定的かつ収益性の高いビジネスモデルへと進化しています。

  • 収益率・フリーキャッシュフロー率が極めて高く、エンタープライズAIの事業モデルとして世界的な注目を集めています。
  • ライバルであるOpenAI(ChatGPT)も、最近はパランティアのモデルを参考にプラットフォーム型へ転換の動きを加速させているとみられます。

日本企業でも注目度が高い分野であり、国内ベンチャー層から「パランティア型成長モデル」を目指す動きが続々登場しています。

株価変動と「高バリュエーション」への市場の反応――株価は踊り場も、投資家の期待続く

これだけの好決算にもかかわらず、決算発表後の株価は一時下落しました。理由は「高バリュエーション(割高評価)」に対する利益確定売りや、急激な成長に対する将来の成長余地への懸念が一部で指摘されたためです。

  • 2025年初から株価は約170%急騰
  • 発表直後、株価は198.85ドル(-4.02%)/前日比で下落し、一服感も見られた。
  • アナリストの中には「売上が米国中心で、海外展開はやや停滞」「商用AI契約に偏重し需要の先食いリスク」と警戒する声も。

ただし、多くの市場参加者は「パランティアの成長性はまだ十分に期待できる」と見ています。アメリカ発のAI関連株の「象徴」ともいえるパランティアは、今後も注目度が極めて高いことに変わりはありません。

会社の今後の見通し――さらなる「大型AI契約」とグローバル展開へ

  • 2025年第4四半期(10~12月)会社ガイダンス:売上高見通し13.27~13.31億ドル、調整後営業利益見通し6.95~6.99億ドル。いずれも市場予想を大幅に上回る水準。
  • 国内外のエンタープライズAI市場の拡大、そして国防・政府向けAIの高度化が同社の追い風となる可能性も。
  • 過度な米国依存からの脱却、グローバル市場でのプレゼンス向上が今後の主な焦点。

「AIの本命」「軍事・民間両輪の成長エンジン」を掲げるパランティアは、世界のAI産業中心を走る巨人の一社となっています。今後もAI領域での新たなイノベーションと大型契約が、同社の高成長をどこまで加速させるかが注目されます。

パランティアの特徴と日本企業への示唆

  • 堅牢なセキュリティ:政府・防衛が認めるレベルの安全性。
  • 巨額・長期契約中心:企業の業務基盤そのものとしてAIを提供。
  • 超高収益モデル:SaaS型×高単価×低解約率で安定収益。
  • 製品の柔軟性と拡張性:業種・業界問わずカスタマイズ可能。

AIやデータを本格活用したい日本企業にとっても、パランティアのモデルは大きな学びと示唆をもたらしています。「データ×AI×セキュリティ×プラットフォーム」という組み合わせの重要性、そして短期契約よりも顧客ごとに長期で伴走するビジネスモデルの有効性は、今後日本発スタートアップにも求められる姿勢といえるでしょう。

まとめ

パランティア・テクノロジーズの2025年第3四半期は、米国を中心とした民間企業向けAI契約の爆発的な増加を背景に、売上・利益が前年比で大幅増となり、話題のAI株として他社を圧倒しました。米国・世界のAI需要拡大とともに、データ活用・意思決定の高精度化を牽引し続けています。

今後もAI本命企業としてパランティアの動きから目が離せません。

参考元