パランティア、第3四半期決算発表:AI本命銘柄の成長に陰り?
パランティア・テクノロジーズ(NYSE:PLTR)は2025年11月3日に2025年度第3四半期(7-9月期)決算を発表しました。米国や世界のAI銘柄を牽引する存在として、業界から「AIの本命」との声も多いパランティア。その決算は予想を大きく上回る好調な内容となりましたが、株価については一服感も見られ、マーケット関係者の間でその今後に注目が集まっています。
AI関連事業の圧巻の成長
今回の第3四半期決算で特筆すべきは売上高の伸びです。売上高は前年同期比で63%増となり、同社史上最高額となる11.8億ドルに到達しました。中でも米国の商業部門におけるAI関連の大型契約が倍増し、商業部門売上は前年同期比121%増の3.97億ドル、政府部門も52%増の4.86億ドルとなりました。調整後営業利益は6.01億ドル(予想4.99億ドル)と、こちらも大きく予想を上回る数字です。フリーキャッシュフローも5.40億ドルと着実に伸長しています。
- 売上高:11.8億ドル(前年同期比63%増/予想10.9億ドル)
- 商業部門売上:3.97億ドル(121%増)
- 政府部門売上:4.86億ドル(52%増)
- 調整後営業利益:6.01億ドル(予想4.99億ドル)
- EBITDA(調整後):6.07億ドル(予想5.02億ドル)
- フリーキャッシュフロー:5.40億ドル(24%増)
CEOのアレックス・カープ氏は「圧倒的な成長は、民間向けAI事業での大型契約の倍増によるものだ」とコメントしており、パランティアのAI製品が米国内の民間企業に急速に浸透している現状が明らかになりました。
株価推移と市場の反応
しかし、好決算の発表にもかかわらず、株価は下落する展開となりました。発表翌日の時間外取引(11月4日NY時間)では、終値188.58ドル、前日比で-8.98%安となっています。株価は2025年に入り170%超の大幅上昇を遂げてきましたが、好材料による利益確定売りも重なり、結果的に「高バリュエーション(割高感)」が意識される状況となっています。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025/10/31 | 199.20 | 204.18 | 197.92 | 200.47 | 52,697,644 |
| 2025/11/3 | 205.05 | 207.52 | 201.82 | 207.18 | 81,016,835 |
| 2025/11/4(時間外) | – | – | – | 188.58 | – |
直近では最高値207.52ドル(2025年11月3日)を記録しており、1年でおよそ5倍近い上昇となっています。しかし好業績でも株価が上がらなかった理由について、市場関係者は「バリュエーションが高止まりしていること」「今後の成長のけん引役が米国内民間事業に偏っていること」を挙げています。
市場やアナリストの見方
- 過去半年の急騰に対し、利益確定売りによる値戻しの調整局面にある
- 米国商業部門へのAI需要集中が「需要の先食い」になっている可能性の指摘
- 海外事業は停滞気味で、成長が特定分野に偏っている点を懸念
- 「バリュエーションが高い」として中立〜やや弱気な投資判断を継続する意見
一部アナリストのコメントによれば、「成長が特定分野に過度に集中していること」「バリュエーションの高止まり」「先行きの見通しが限られていること」から、売り推奨を継続としています。
投資家心理・実際の掲示板感情
投資家のリアルタイムな心理は、掲示板などでも話題となっています。2025年11月4日12:52時点のリアルタイム感情では、「強く買いたい」76.19%、「買いたい」8.33%、「様子見」5.95%、「売りたい・強く売りたい」合わせて約10%となっており、熱量は依然として高いものの、短期的には利食い売り意欲も膨らんでいる印象です。
- 株価は直近で一時200ドル台を突破し、その後下落
- 好決算直後でも「割高」との評価で一服感が優勢
- 中長期的なAI市場やパランティア事業への期待は依然強い
- ただし、成長の限界・米国依存への警戒や海外事業の低迷が課題
第4四半期・今後の見通し
パランティアは第4四半期(10-12月)も売上高13.3億ドル(予想11.9億ドル)の強気なガイダンスを発表しています。営業利益(調整後)も6.95~6.99億ドルとさらなる成長を想定しています。しかし、需要の「先食い」や海外事業の停滞、そして割高感がどこまで株価に影響するかが今後の焦点となります。
パランティア株の今後を左右する論点
- AI事業拡大の持続性
パランティアのAI基盤やソリューションが商業部門で受け入れられている一方、政府部門や海外事業の拡大余地は未知数です。 - バリュエーション(企業価値評価)の調整
急騰後の割高感が調整されるか、今後の成長への期待が維持できるかは市場マインド次第です。 - 米国内偏重のビジネス構造
商業部門は米国内に集中していて、これが短期的な業績を押し上げる一方、長期成長の持続性に疑問符もついています。 - 海外事業の成長加速
海外展開の進捗や新規分野への進出が決算以上のサプライズとなれるか、市場は注目しています。
まとめ
パランティア(PLTR)は圧倒的な成長を遂げ、「AIの本命」として世界中から注目されています。2025年第3四半期決算で業績の力強さを改めて示しましたが、株価は急騰後の利益確定売りや割高感の意識から一服感も見られます。今後はAI市場の拡大とともに米国商業部門以外の成長、そしてバリュエーション調整への投資家心理の変化が、大きな論点となるでしょう。
投資や市場への注目が集まるパランティアですが、AI業界の成長を実力でリードするのか、あるいは企業価値の調整局面に立たされるのか、市場の動向に目が離せません。



