マイナ保険証への完全移行まであと3日、利用者の不安と現状の課題
2025年12月2日、日本の医療保険制度が大きく変わろうとしています。従来の健康保険証が使用できなくなり、マイナ保険証への完全移行が実施されるまで、あと3日となりました。この歴史的な転換点を控え、国民からは「情報漏洩が怖い」「手続きが面倒」といった困惑の声が上がっています。移行間近となった今、マイナ保険証の現状と課題について、詳しく解説します。
何が変わるのか?12月2日からの新しい仕組み
11月28日現在、従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限を迎えます。12月2日からは、医療機関や薬局での受診時に、従来の保険証ではなく、マイナ保険証か資格確認書のいずれかを提示する必要があります。
マイナ保険証とは、健康保険証の利用登録がされたマイナンバーカードのことを指します。これまで紙の保険証で行っていた医療保険の資格確認を、マイナンバーカードで実施する仕組みへの転換です。マイナンバーカードをまだ取得していない方や、保険証の登録がお済みでない方には、資格確認書が発行される予定です。
マイナ保険証のメリット:医療現場での効率化と質の向上
医療機関側から見ると、マイナ保険証導入によるメリットは大きいと指摘されています。眼科クリニックなどでは既にマイナ保険証の利用率が8割を超えており、その効果が実感されています。
まず挙げられるのが、受付業務の効率化と正確性の向上です。従来の保険証では、受付担当者が保険情報を手作業で入力していたため、入力ミスが発生することがありました。マイナ保険証の場合、本人確認と同時に住所・名前・保険証番号が自動的に入力されるため、より端的かつ正確な受付が実現します。
第二のメリットは、医療情報の一元管理と診療の質向上です。マイナ保険証を利用することで、患者の同意のもと、医師が薬剤情報や特定健診の結果、その他の医療情報を確認できるようになります。これにより、医師が患者に薬の情報や受診歴などを逐一確認する手間が削減され、より診療や検査に時間を充てることができます。
さらに、医薬品の安全性確保にも役立ちます。他の医療機関で処方されている医薬品との併用禁忌の確認や、重複処方を防ぐことができるため、より正確で質の高い医療提供につながるとされています。
利用率の低迷:国民の不安と懸念事項
こうしたメリットがある一方で、国民の間では利用率の低迷が問題となっています。テレビ朝日系の報道によれば、まだマイナ保険証への移行を完了していない利用者から「情報漏洩が怖い」「手続きが面倒」といった声が挙がっています。
情報漏洩への懸念は、マイナンバー制度全体に対する根強い不信感から生まれています。薬剤情報や診療情報といった、プライバシー性の高い医療情報がマイナンバーと紐づけられることに対して、多くの国民が不安を感じているのです。
ただし、公式には重要な安心材料も示されています。マイナンバーカード自体には、薬剤情報や医療情報といったプライバシー性の高い情報は入っていません。また、医療機関に提供される医療情報は、必ず患者の同意のもとで共有されることになっており、同意のない情報が勝手に共有されることはありません。
現場で報告される課題:顔認証システムの不具合
利用率の低迷だけでなく、医療現場では実際の運用に関する課題も報告されています。患者からは「困惑の声」が上がっており、その背景にはマイナ保険証の窓口での顔認証がされづらいケースが存在することが挙げられます。
マイナ保険証による受付には、顔認証付きカードリーダーが必要となります。しかし、すべての医療機関がこの機器を導入しているわけではなく、導入時期にも差があります。さらに、機器の動作不具合が発生することもあります。
こうしたトラブルが発生した場合でも、患者は安心できる措置が講じられています。顔認証付きカードリーダーの不具合など、何らかの事情でマイナ保険証による受付が上手くいかなくても、医療費が全額自己負担になることはありません。医療機関側も、トラブル時の対応方法について事前に準備することが求められています。
スマートフォンでの利用も可能に:新しい選択肢
マイナ保険証の利便性をさらに高める取り組みも進んでいます。2025年9月19日からは、健康保険証の利用登録がされたマイナンバーカードをスマートフォンに追加することで、スマートフォンをマイナ保険証として利用できるようになりました。
ただし、スマートフォン対応の汎用カードリーダーを設置した医療機関でしか利用できず、設置は任意のため、現段階では利用可能な医療機関は限定的です。今後の普及拡大が期待される段階にあります。
移行に向けた準備:マイナンバーカードの取得と登録
12月2日の完全移行まで、やることがまだ残っている方も多いでしょう。マイナンバーカードをまだ取得していない方は、すみやかに申請を行う必要があります。申請から交付までには一定の時間がかかるため、早めの手続きが重要です。
また、既にマイナンバーカードを持っている方でも、健康保険証の利用登録を完了していなければ、その手続きを行う必要があります。登録がお済みでない方は、マイナポータルから簡単に登録できます。
マイナンバーカードを取得していない方やマイナ保険証の登録がお済みでない方には、自動的に資格確認書が発行されます。この資格確認書でも、従来の保険証と同じように医療を受けることができるため、焦らず必要な手続きを進めることが大切です。
今後の展望:制度の周知と現場での対応
完全移行まで、わずかな時間しか残されていません。政府と医療機関側には、国民の不安を払拭し、円滑な移行を実現するための継続的な取り組みが求められています。
特に重要なのは、個人情報保護に関する正確な情報提供と、現場でのトラブル防止に向けた注意喚起です。受診時のさらなるトラブル防止に向けて、医療機関側も患者側も、制度の仕組みと具体的な対応方法について理解を深める必要があります。
マイナ保険証への移行は、日本の医療保険制度における重要な転換点です。医療現場での効率化と医療の質向上というメリットがある一方で、国民の不安や現場の課題も存在します。政府、医療機関、そして国民が一体となって、この移行を成功させることが重要です。12月2日以降、新しい医療保険制度が本格始動することになります。
