オムロン サイニックエックス、HCI分野の国際会議「UIST 2025」で画期的研究成果が採択

オムロン サイニックエックスとは

オムロン サイニックエックス株式会社(OSX)は、東京都文京区に本社を置き、オムロン株式会社の戦略拠点として設立された研究開発企業です。
AI、ロボティクス、IoT、センシングなど、未来社会を形作る技術の研究を進め、「近未来デザイン」の創出に注力しています。
OSXはオムロンが考える社会課題解決のための革新的なビジネスモデルや技術アーキテクチャの構築を推進しており、国内外の大学や研究機関との連携も積極的に行っています。

「UIST 2025」で採択された最新の研究成果

2025年9月28日から10月1日に釜山(韓国)で開催されるヒューマン・コンピューター・インタラクション(HCI)分野で最も権威ある国際会議のひとつ、「The ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST 2025)」において、オムロン サイニックエックスの研究成果が採択されました。
この会議には全世界から947件の研究論文が投稿され、そのうち210件(約22.2%)のみ採択されるという非常に競争率の高い場です。
今回OSXチームが発表するのは、「Cooperative Design Optimization through Natural Language Interaction(自然言語を用いた人とAIの協調によるデザイン最適化)」と題した研究です。

画期的な研究内容の詳細

この研究では、ユーザーが直感的な自然言語(日本語や英語など)でAIと対話しながら、アプリケーションやサービスのデザイン最適化を進められる新しい手法を開発しました。
従来、良いデザインをつくるには多数ある設定項目やパラメータを地道に調整しなければならず、最適解を得るまで手間がかかっていました。しかしこの手法では、例えば「もっとマップ上でレストランを見つけやすくしたい」といった要望をそのままAIに伝えることができます。AIは適切なパラメータを提案し、その理由まで丁寧に説明します。

ユーザーはAIの提案と自らの直感やアイデアを組み合わせることで、納得しやすい、また自分に合ったデザインの追求が可能となります。
この手法は従来型の「AIが全て自動で最適化してしまう」アプローチに比べユーザーの意図や希望を柔軟に反映しやすく、「操作の負担(認知負荷)が少ない」という点でも実験で高評価を獲得しました。

技術の今後と期待される応用分野

現在はWebアプリケーションのデザイン最適化を主な適用対象としていますが、OSXは今後この手法をさらに幅広い分野へと応用していく構想を持っています。
例えば

  • ゲームのユーザーインターフェイス最適化
  • ロボット操作アルゴリズムの調整
  • 触覚デバイスや福祉機器などのユーザー適応型設定

など、人とAIが自然なコミュニケーションを通じて新しい価値を創出できるシーンは拡大すると見込まれています。

社会的意義とオムロンのビジョン

オムロングループは「よりよい社会」の実現を目指した研究開発を続けてきました。サイニックエックスが持つ「近未来デザイン」に対する独自のビジョンと技術力は、社会課題の解決や人々の生活の質向上に直結するものです。
今回のような国際的な研究成果の発表は、日本発のイノベーションとしても大きな誇りと期待が寄せられています。

国際共同研究体制と今後の展望

今回の研究チームには、オムロン サイニックエックスの研究者に加えて、筑波大学、産業技術総合研究所(AIST)、東京大学といった国内トップレベルの大学、研究機関の専門家が名を連ねています。
このような産学連携・共創を通じ、より高度な知見を積み重ね、世界の技術トレンドをリードしていく意気込みが感じられます。さらに、今後は社外の研究機関とも積極的に連携し、継続的なイノベーション創出を目指しています。

プロバスケットボール「京都ハンナリーズ」とのパートナー契約 継続

オムロン サイニックエックスは社会・地域との「共創」にも積極的です。
プロバスケットボールリーグ B.LEAGUE(Bリーグ)に所属する「京都ハンナリーズ」とのパートナー契約を継続し、スポーツ産業の発展や地域振興に貢献しています。
この契約継続を通じて、スポーツ分野のデータ活用や選手サポート技術の推進にも寄与し、企業としての多面的な社会貢献の姿勢がうかがえます。

オムロン サイニックエックスの今後に期待

今回の「UIST 2025」採択という世界で認められた研究成果や、地域・スポーツ支援などを通じて、オムロン サイニックエックスは今後も研究と社会活動の両面で発展していくことが期待されます。
人間とAIが互いに理解しあい、協力できる社会の実現に向け、「技術」と「人間性」を兼ね備えた挑戦をこれからも続けていくことでしょう。

参考元