2025年10月、マイナンバーカードは国民生活の新たな“定番”に
2025年10月、日本ではマイナンバーカードの普及と利用が急速に進んでいます。特に「マイナ保険証」として健康保険証がマイナンバーカードに一体化される流れは、この秋から年末にかけて本格的な転換期を迎えています。この記事では、最近よく寄せられる疑問や不安、実際の利用率の推移、そして「いまさら聞けない」具体的な体験談を交えながら、最新の動向をわかりやすくご紹介します。
「年収がバレるからマイナ保険証は持ちたくない」——本当に大丈夫?
たとえば、9月末で健康保険証の有効期限が切れるご家族がいらっしゃる場合、マイナンバーカードの健康保険証機能(マイナ保険証)への切り替えが必須になります。しかし、中には「マイナ保険証を使うと年収がバレるのでは?」と不安を感じる方も少なくありません。
結論からお伝えすると、マイナ保険証を提示しても医療機関や薬局のスタッフに年収などの収入情報が伝わることはありません。これは、紙の健康保険証と同じ仕組みです。マイナ保険証に表示されるのは「氏名」「生年月日」「性別」「保険者名(加入している保険の種類)」など、これまで通りの基本的な情報のみ。医療機関側で確認できるのは「本人の保険資格があるかどうか」だけで、収入や家族構成などのプライベートな情報は一切見えません。
また、カードの「色」に関するご質問もよくあります。紙の健康保険証には、職域保険(会社員など)と地域保険(自営業者など)で色分けがありますが、マイナ保険証はすべて同じデザイン。つまり、職業や年収でカードの見た目が変わることはありません。色で区別される心配もなく、安心して利用いただけます。
ただし、マイナ保険証を利用するには「健康保険証としての利用登録」が必要です。マイナンバーカードを持っていても、この登録をしていないとマイナ保険証として使えません。登録漏れがないか、必ずご自身でご確認ください。
マイナ保険証「8月の利用率34.32%」——普及は着実に進んでいる
政府の公表によると、2025年8月時点でマイナ保険証の利用率は34.32%と、前月よりさらに上昇しています。特に後期高齢者医療制度や国民健康保険(市町村国保)の加入者を中心に、7月末から8月にかけて健康保険証の有効期限が順次切れているため、マイナ保険証への切り替えが進んでいます。
一方で、まだまだ紙の健康保険証に慣れている方や、マイナンバーカード自体を持っていない方も多く、完全移行までは時間がかかりそうです。実際、2025年7月31日には後期高齢者医療制度の被保険者の健康保険証が一斉に期限切れとなり、全国の医療現場で混乱も一部見られました。
今後は、会社員や公務員が加入する被用者保険(健保組合、協会けんぽ、共済)の加入者の健康保険証も2025年12月1日をもって有効期限を迎えます。そのため、同年12月2日以降は原則としてマイナ保険証(または資格確認書)しか使えなくなるという大きな節目を迎えます。現行の健康保険証の新規発行はすでに停止されており、有効期限内のみの利用となっています。
マイナ保険証が使えない場合(カード未所持や紛失、電子証明書の期限切れなど)は、保険者から「資格確認書」が交付される仕組みです。ただし、資格確認書を再発行する際に手数料を徴収する健康保険組合も出てきているため、できるだけ早めにマイナンバーカードの取得とマイナ保険証登録を済ませておくことが推奨されます。
「いまさら聞けない!?」マイナンバーカードの体験談——新生児の発行にジレンマ
マイナンバーカードの取得や利用には、思いがけない“壁”にぶつかることもあります。たとえば、新生児のマイナンバーカード新規発行についての体験談が話題になっています。
赤ちゃんが生まれたら、まずは「住民票の届出」を行う必要があります。その際、マイナンバー(個人番号)が自動的に割り振られますが、カードの発行は任意です。しかし、前述のように健康保険証がマイナ保険証に一本化される流れの中、乳幼児の受診時にもマイナ保険証や資格確認書の提示が必要になります。
ここで問題になるのが、「赤ちゃんの顔写真」です。マイナンバーカードの発行には本人確認写真が必須。生後間もない赤ちゃんの場合は、自宅で写真を撮るのも手間がかかりますし、窓口で「この写真で本人確認できるのか?」と不安になるケースも少なくありません。実際、窓口職員から「もう少し大きくなってから申請したほうがよい」とアドバイスされることもあるようです。
新生児のマイナ保険証利用を希望する場合、当面の間は資格確認書の交付を受ける方法もありますが、やはり慣れない手続きに戸惑う声が多いのが現状です。マイナンバーカードの普及が進む一方で、まだまだ制度や手続き面での課題が残されています。
マイナ保険証への移行、私たちはどう備えるべき?
今後、健康保険証は完全に「マイナ保険証」に一本化される見通しです。そのため、今のうちにしっかり準備しておくことが大切です。以下に、具体的なポイントをまとめました。
- マイナンバーカードを持っていない方は、早めに申請・取得しましょう。申請から交付まで時間がかかる場合もあります。
- マイナ保険証としての利用登録を忘れずに。マイナンバーカードを持っているだけでは使えません。市区町村の窓口やオンラインで登録が必要です。
- 電子証明書の有効期限にも注意。期限が切れているとマイナ保険証として使えません。期限が近づいたら、あらかじめ更新手続きを。
- 資格確認書についても知っておきましょう。マイナンバーカードが使えない場合は、保険者から資格確認書が交付されます。ただし、再発行に手数料がかかる場合もあります。
- 家族全員の状況を把握しましょう。高齢者や乳幼児など、自分で手続きが難しい家族がいる場合は、代わりに手続きをサポートしてあげてください。
マイナ保険証は、医療機関で顔認証付きカードリーダーを使えば、よりスムーズな受診が可能になるなど、便利な面もあります。一方で、デジタル化による情報セキュリティへの不安や、手続きの煩雑さを感じる声も根強くあります。
まとめ——安心と便利の両立を目指して
2025年秋、マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、国民生活のデジタル化を象徴する大きな変化です。利用が進むにつれ、「年収がバレるのでは?」といった誤解や不安も出ていますが、実際には紙の健康保険証と同様、収入などの個人情報が医療機関に伝わることはありません。カードの色による区別もありませんので、安心してご利用いただけます。
一方で、制度移行の途中で生じる“戸惑い”や“不便”も確かにあります。特に高齢者や赤ちゃんのいるご家庭、カードの取得・登録が難しい事情を抱える方にとっては、まだまだサポートが必要な状況です。
マイナンバーカードの普及率は着実に上がっており、今後もさらなる利便性向上と、誰もが使いやすい環境づくりが求められています。皆さんも、ご家族やご自身の状況に合わせて、できることから少しずつ準備を進めてみてください。何か困ったことがあれば、市区町村の窓口やかかりつけの医療機関にも相談しながら、より安心してマイナ保険証を活用できる社会を目指していきましょう。