2025年度 年金給付金の最新事情:厚生年金・国民年金の受給実態と分布
年金支給日と受給額の注目ポイント
2025年10月15日(水)は年金支給日となっています。毎年春と秋の年金支給日には、ご自身の受給額に関心が高まります。特に最近は、「厚生年金と国民年金の合計で月額15万円以上受給している人がどれくらいいるのか?」「月額10万円未満の人・20万円以上の人はどちらが多いのか?」など、具体的な受給分布が話題になっています。
厚生年金・国民年金の受給額データ(2025年度)
- 厚生年金(基礎年金含む):平均受給月額 14万6429円(2023年度実績)
- 国民年金:平均受給月額 5万7584円(2023年度実績)
- 国民年金満額受給:月額約6万9308円(2025年度)
厚生労働省の調査によると、厚生年金と国民年金を合わせた平均受給額は、おおむね上記の金額となっています。ただし、個人ごとに年金加入期間や納付状況が異なるため、受給額には大きな差が生じています。
受給額分布の実態:月額15万円以上・20万円以上は何人?
「厚生年金+国民年金」で月額15万円以上受給している人の割合は全体の約47.6%です。この水準以上を受け取っている人は半数未満となっています。一方、月額20万円以上受給している人はさらに少なくなり、特に年金のみで生活する世帯では高額受給者はかなり限られます。
- 16万円以上〜17万円未満:102万6399人
- 17万円以上〜18万円未満:105万3851人
- 18万円以上〜19万円未満:102万2699人
- 19万円以上〜20万円未満:93万6884人
- 20万円以上〜21万円未満:80万1770人
- 21万円以上〜22万円未満:62万6732人
- 22万円以上〜23万円未満:43万6137人
- 23万円以上〜24万円未満:28万6572人
- 24万円以上〜25万円未満:18万9132人
- 25万円以上〜26万円未満:11万9942人
- 26万円以上〜27万円未満:7万1648人
- 27万円以上〜28万円未満:4万268人
- 28万円以上〜29万円未満:2万1012人
- 29万円以上〜30万円未満:9652人
- 30万円以上:1万4292人
この分布から見ても、月額20万円を超える高額受給者はごくわずかであることがわかります。
性別による年金受給額の違い
男女で平均受給額に大きな差があることも指摘されています。厚生年金は雇用形態や就業歴による影響が大きく、
- 男性:平均受給額 16万6606円
- 女性:平均受給額 10万7200円
特に女性は正社員期間が短い、パート勤務などの事情から厚生年金加入期間が短く、月額10万円未満の人も約44%と高い割合となっています。
「月額10万円未満」と「月額20万円以上」どちらが多い?
- 男性年金受給者の場合、月額20万円以上受給者は24%
- 女性年金受給者の場合、月額10万円未満受給者は実に43.9%
現実には、月額20万円以上受給できる人よりも、月額10万円未満の人の方が全体としては圧倒的に多いのです。
40万円以上(月額20万円×2人以上)の世帯はどれくらい?
夫婦で両方とも厚生年金・国民年金を満額受給しているケースの場合、夫婦の合計が月額40万円を超えることもあります。ただし、各人が安定した厚生年金受給資格を持っている世帯はかなり限られているため、
- 「ひとりで月額40万円以上もらえる人」は非常に少数
- 年金世帯全体の数%にも満たない水準
実際には、月額30万円を超える層ですら1万人台であり、月額40万円超は極めて稀少です。
令和7年度の年金改定と給付金の動向
2025年度は年金額が1.9%増額となりました。さらに、年金生活者支援給付金も物価変動に合わせて2.7%増額されています。これは、物価上昇に対する年金受給者の生活安定を狙った施策ですが、根本的な生活保障には追加対策の必要性も議論されています。
国民年金の受給実態と「満額」受給者の割合
国民年金は誰もが加入義務を持つ公的年金の1階部分です。満額受給(40年間納付)では月額約69,308円ですが、実際には納付期間不足などで満額に届いていない人が多く、平均受給額は5万~6万円台となっています。
厚生年金の特徴と、企業年金との関係
- 厚生年金は会社員・公務員が対象
- 基礎年金(月額約6万9308円)+報酬比例部分が加算
- 企業年金(厚生年金基金・確定拠出年金)でさらに給付額アップも可
高額受給層は、企業年金や退職金も含め複合的な受給の場合が多くなります。特に大企業・公務員出身者ほど、受給額が高い傾向があります。
年金額の不安と今後の課題
平均受給額や分布を見ると、「年金だけで老後の生活は十分か」という不安の声も多くなっています。厚生年金加入期間の短い人や、正社員として長期間働かなかった人は年金額が低くなります。物価上昇や社会保険料の負担も含め、今後も安定した老後生活のための自助努力や各種支援の充実が課題とされています。
受給額の差と生活設計のヒント
受給額は就職歴・保険料納付期間・働き方で大きく変わるため、自分の年金記録をこまめにチェックし、将来受給額のシミュレーションや年金相談を活用しましょう。適切な収入設計で、老後の安心を備える工夫も大切です。
- 自分の「ねんきん定期便」で受給見込み額を常に確認
- 退職後の収入や保険・貯蓄も考慮して生活設計を行う
- 年金申請・相談は委任状でも代理人が可能
今後の年金制度と生活者支援施策
今後も年金額の見直しや物価連動の増減改定が行われる見込みです。その都度、社会の高齢化や労働環境の多様化に合わせた制度変更にも注目しましょう。生活者の安心と、個別事情に合わせた支援策が求められる時代です。
まとめ:2025年の年金給付金の現実と知っておきたいポイント
- 「厚生年金+国民年金」で月額15万円以上受給できるのは全体の約47%
- 高額受給層(20万円以上)は全体の一部に限られ、多くは月額10万円未満
- 平均受給額は男性の方が高く、女性は低めの傾向
- 物価上昇に合わせて年金額も少しずつ増加
- 自分の受給額を正確に把握し、将来の生活設計を今から始めることが重要
年金受給日を迎える皆さんにとって、正確なデータと分かりやすい情報が安心の一助となることを願っています。