AI相場が加速、Nasdaqが急騰――Nvidia好決算が市場全体を牽引

米国株式市場は11月20日、AI関連企業の好業績と金利引き下げ期待を背景に、Nasdaq100を含む主要指数が大きく値上がりしました。特に注目されるのは、AI半導体大手のNvidiaが発表した第3四半期決算です。同社の売上は市場予想を大きく上回り、AI向けチップの需要が「オフザチャーツ」(記録的な水準)であることが改めて確認されました。

Nvidiaの好決算がトリガーに

Nvidiaが公表した第3四半期の決算は、市場の期待を大幅に上回る結果となりました。同社のAI向け半導体の売上は記録的な水準に達し、この好調さが米国株全体の上昇を牽引する格好となっています。AI技術への投資がいまだ加速段階にあることが、決算数字によって改めて実証されたわけです。

Nvidiaのような大型AI関連企業の好調ぶりは、単なる個別企業の成功にとどまりません。同社が手掛けるAIデータセンター関連の事業拡大に伴い、OpenAIやOracleといった他のIT大手企業にも好影響が波及しています。特にNvidiaは、OpenAIに対して段階的に最大1,000億ドルを出資することを発表しており、こうした巨額投資を通じた「循環投資」の構図が、AI相場全体を下支えしている状況です。

金利引き下げ期待も相場を支援

ウォール街では、AI関連の好業績に加えて、米国の金利引き下げ期待も相場の上昇要因として作用しています。また、9月の雇用統計が市場予想を上回り、米国経済の底堅さが確認されたことも、投資家心理を前向きにしました。こうした複数の好材料が重なることで、Nasdaq100を含む成長株中心のハイテク指数が急騰しているのです。

ウォール街全体では、こうした前向きな動きを支持する声が広がっています。金利が高い水準にあることは、成長企業の割引現在価値を圧迫する要因となってきました。しかし金利引き下げが現実味を帯びることで、将来の利益をより高く評価できるようになり、成長株への買い意欲が高まっているわけです。

AI相場2.0への転換が本格化

2022年11月のChatGPT公開以降、AI関連企業の株価上昇を牽引してきたのはNvidiaなど限定的な企業でした。これを「AI相場1.0」と呼ぶとすれば、市場は現在、より広範なAI関連企業が上昇を牽引する「AI相場2.0」への転換点を迎えているとも言えます。

実際、OpenAIがクラウド契約を通じてOracleと協業し、Microsoftが経営支援を行うなど、AI技術の活用が産業全体に広がっています。これに伴い、AI向けのデータセンター建設やクラウドインフラ投資も急速に増加しており、こうした周辺産業の成長も投資家の関心を集めています。

中小型のAI関連企業にも注目

大型のIT企業だけでなく、音声AIの専門企業であるSoundHound AIなど、特定の領域でAI技術を活用する中小型企業にも投資家の目が向き始めています。同社の四半期売上高は2,900万ドルに急成長しており、音声AI市場全体の規模が1,400億ドルと予想される中で、大きな成長の可能性を秘めています。

こうした中小型銘柄が注目を集めるようになったのは、市場が「AI相場2.0」への移行を認識し始めたことの表れでもあります。これまではNvidiaなど限定的な企業への投資集中が目立ちましたが、今後はAI技術を活用するより多くの企業が投資対象として検討されるようになるでしょう。

今後の見通し

ガートナーの調査によれば、世界のAI関連支出は2024年の9,879億ドルから2025年に1兆5,000億ドル、2026年には2兆ドルに達する見通しとなっています。こうした規模の拡大が続く限り、AI関連企業全体の業績向上と株価上昇が期待されます。

もっとも、市場には「AIブームに対する過度な期待」や「投資の集中による潜在的リスク」を指摘する声もあります。ただ短期的には、AIデータセンターへの設備投資需要がなお増加段階にあり、Nvidiaを中心とした半導体メーカーや関連インフラ企業の好調ぶりが続く可能性が高いと考えられます。

本日のNasdaq100の急騰は、こうした中期的な成長期待を反映したものとも言えるでしょう。投資家は引き続き、AI関連企業の決算動向と業界全体の投資トレンドに注視する必要があります。

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