エヌビディア株に再び注目集まる理由――AIブームを映す3つの最新トピック

エヌビディア(Nvidia, ティッカー:NVDA)の株価が、AIブームの象徴として再び大きな注目を集めています。
最近の報道では、オプション市場での投資機会驚異的成長にもかかわらず「巨大企業ゆえの伸び鈍化」がまだ本格化していないこと、そして「2026年に持つべきAI銘柄の本命か?」といった観点から、投資家やアナリストの関心が高まっています。

この記事では、エヌビディアに関する最新の3つのニュース内容をもとに、株価動向・業績・AI市場での立ち位置を、投資初心者の方にも分かりやすい言葉で整理していきます。
なお、ここで紹介するのは、すでに公表・報道されている事実やデータに基づく内容です。将来の株価水準など、根拠のない予想や架空のストーリーは含めません。

1. エヌビディア株が上昇、JPモルガンが見る「オプションのチャンス」とは

まず話題になっているのが、「Nvidia Stock Rises. J.P. Morgan Sees an Options Opportunity.」と報じられたニュースです。ここでは、
エヌビディア株の上昇とともに、オプション取引を使った投資機会に注目が集まったとされています。

オプションとは、「あらかじめ決めた価格で株を売買する権利を取引する金融商品」で、株価の変動を利用して利益を狙ったり、リスクをヘッジしたりする際に使われます。
エヌビディアのように値動きが大きく、投資家の関心が高い銘柄は、オプション市場も活況になりやすいという特徴があります。

  • 株価上昇により、「これ以上上がるのか、それとも一度調整するのか」を巡って投資家の思惑が交錯
  • 価格変動が大きい銘柄ほど、オプションのプレミアム(価格)も厚くなりやすい
  • JPモルガンのような大手金融機関は、こうした状況を踏まえて「戦略的なオプション取引の機会がある」と指摘

実際、エヌビディア株は2025年末時点で170ドル台〜180ドル台で推移しており、依然として高い水準を維持しています。
例えば2025年12月12日の終値は175.02ドルと記録されており、高ボラティリティ(値動きの大きさ)も相まって、オプション市場で積極的に取引されています。

もちろん、オプション取引はリスクも高く、仕組みがやや難しいため、初心者は株式の現物取引から慣れていくのが一般的です。
しかし、「エヌビディア株が市場全体のセンチメント(投資家心理)を映す存在になっている」という点は、オプション市場の活況からも読み取ることができます。

2. 「巨大企業の伸び鈍化」はまだ先?――エヌビディアの驚異的な業績

2つ目のニュースは、「Nvidia: The Law Of Large Numbers Has Been Delayed」という内容です。
ここでいう「Law of Large Numbers(大数の法則)」は、本来は統計学の用語ですが、投資の世界ではよく「企業が巨大化すると、成長率は鈍化しやすい」という意味合いで使われます。

しかしエヌビディアの場合、この「巨大企業ゆえの成長鈍化」が目に見えて遅れている、というのがニュースのポイントです。
実際の業績データを見ると、その背景がよく分かります。

  • 2023年度(FY23)の売上高は609億ドルで、前年比約126%増
  • 2024年度(FY24)の売上高は1,305億ドルで、さらに前年比約114%増
  • わずか2年で売上高は約5倍という、極めて異例の成長ペース

さらに、利益面の伸びは売上以上です。

  • 営業利益は2022年度(FY22)で55億ドルだったのが、2023年度には329億ドル、前年比約4.9倍
  • 2024年度には814億ドルと、さらに前年比約147%増
  • 営業利益率も、2022年度の20.7%から、2023年度54.1%、2024年度62.4%へと急上昇

通常、企業規模が大きくなればなるほど、ここまでの高成長を維持するのは困難になります。
しかしエヌビディアは、AI向けGPUという高収益な分野で圧倒的なシェアと価格決定力を持っているため、売上も利益も「常識外れ」と呼べるペースで拡大しているのです。

2025年度(FY25)に入ってからも勢いは続いており、第2四半期(2Q)の売上高は467億ドル、前年同期比55.6%増となりました。
営業利益も284億ドルと、こちらも大幅な増加です。

また、2025年度上半期(1Q+2Q)の売上高合計は908億ドルに達し、2024年度通期売上(1,305億ドル)の約70%にあたる水準まで、すでに到達しています。
このようなデータを見ると、「巨大企業だから成長率は落ちていくだろう」という一般的なイメージとは、少なくとも現時点では大きく異なる状況にあるといえます。

3. 「2026年に持つべきAI株」候補としてのエヌビディア

3つ目のニュースは、「Is Nvidia the Top Artificial Intelligence Stock to Own in 2026?」という論点です。
ここでは、2026年時点でもエヌビディアがAI関連銘柄の“本命”であり続けるのかという点が議論されています。

あらためて整理すると、エヌビディアは現在、次のような特徴を持っています。

  • AI向けGPU市場で圧倒的シェアを持ち、主要クラウド事業者や大手テック企業のほとんどが同社製品を採用
  • AIサーバー向けの需要が売上・利益拡大の主な原動力となっている
  • 営業利益率が60%超と、半導体企業としては異例の高水準
  • 内部留保(利益剰余金)も急増し、財務体質が年々強化されている

こうした状況から、多くのアナリストはエヌビディアに対して強気の評価を維持しています。
例えば、バーンスタインは2025年12月時点でもエヌビディア株に「アウトパフォーム(市場平均を上回る)」評価を付与し、現在株価175ドル前後に対してさらなる上昇余地がある目標株価を提示しています。

アナリストのコンセンサス(平均的な見方)では、エヌビディアは「AI革命の中心にいる企業」として位置づけられ、

  • AIインフラ投資が継続する限り、中長期的な成長ストーリーは維持される
  • 競合他社の追い上げはあるものの、技術・エコシステム・ソフトウェア面での優位性が当面は続く

と見る向きが多くなっています。

もちろん、これが「必ず2026年に最も良い投資対象になる」という意味ではありません。
株価は、業績だけでなく、金利動向や景気、市場全体のリスクオフムードなど、さまざまな要因で変動します。
ただし、「AI時代を象徴する銘柄」としてエヅビディアが2026年を見据えた議論の中心にいること自体は、現時点の報道やアナリスト評価からも明らかです。

4. 株価評価とアナリストの見方――「割高」か「まだ割安」か

エヌビディアのように急成長してきた銘柄については、必ずと言ってよいほど「株価はすでに織り込み済みなのか」という議論が起こります。

一部のアナリストや市場参加者は、

  • 短期的には「買われ過ぎ」状態になりやすい
  • 決算発表後に「材料出尽くし」で株価が一時的に下落することもある

といった点を指摘しています。

一方で、バーンスタインなどは、エヌビディアがややフェアバリュー(適正価値)を下回る水準で取引されていると分析し、「アウトパフォーム」評価を維持しています。
また、多数のアナリストが近時、エヌビディアの収益予想を引き上げていることも報告されています。

このように、短期的な株価の過熱感と、中長期的な成長期待の両方が入り混じっているのが、今のエヌビディア株を巡る基本的な構図です。
投資を検討する際には、

  • 「数カ月〜1年程度の値動き」に着目するのか
  • 「数年先のAI市場の拡大」を前提に長期投資を考えるのか

といった、自分自身の投資スタンスを明確にしておくことが大切だといえるでしょう。

5. 個人投資家が押さえておきたいポイント

最後に、今回取り上げたニュース内容を踏まえ、個人投資家がエヌビディアを見るときのポイントを、やさしい言葉で整理します。

  • AI向けGPUで世界をリード
    エヌビディアは、AI学習・推論に欠かせないGPUの分野で圧倒的なシェアを誇ります。主要クラウド企業が同社製品を採用しており、AIインフラ投資の増加が今後も収益の柱になると見られています。
  • 売上も利益も桁違いの伸び
    2023年度〜2024年度にかけて売上は約5倍、営業利益はさらにそれ以上のペースで増加しました。営業利益率も60%を超え、半導体企業としては異例の高収益体質です。
  • 巨大企業なのに「成長鈍化」がまだ目立たない
    通常は企業が大きくなると成長率は落ち着きますが、エヌビディアはAIブームの追い風を受け、その「常識」が今のところ当てはまっていません。これが「Law of Large Numbers が遅れている」と表現されている理由です。
  • アナリストは総じて強気
    多くのアナリストが「買い」「アウトパフォーム」評価を維持し、目標株価も現在値からの上昇余地を見込むものが多くなっています。 ただし、これは将来の株価を保証するものではなく、相場の変動リスクは常に存在します。
  • オプション市場でも主役級
    株価の値動きが大きく、取引参加者も多いため、オプション市場での取引も活発です。大手機関が「オプションのチャンス」と指摘するのは、その高い注目度とボラティリティの裏返しでもあります。

エヌビディアは、AI時代を象徴する企業として、今後もニュースの中心で語られ続ける可能性が高い銘柄です。
一方で、どれほど注目度が高くても、株価は上がり続けるわけではなく、調整局面やボラティリティの高まりも避けて通れません。

投資を検討する場合は、

  • 最新の決算内容(売上・利益・ガイダンス)
  • 主要クラウド企業やビッグテックの設備投資動向
  • 金利や景気など、マクロ環境

といった複数の要素を総合的にチェックしつつ、自分のリスク許容度や投資期間に合った判断を心がけることが重要です。

参考元