NTT東日本 固定電話サービスに大きな転換点──メタル回線終了と今後の展望

NTT固定電話 メタル回線終了の工程表発表、契約者1000万に案内状

NTT東日本は、長年社会インフラとして普及していた「メタル回線(銅線)」による固定電話加入サービスの終了に向け、具体的な工程表を策定し、その案内を2025年11月にも契約者約1000万世帯に通知する計画を発表しました。これは、通信施設の老朽化や維持の限界、そして光通信やモバイル回線の普及という時代の流れへの対応策として実施されるものです。

  • 発表によると、2025年11月から契約者へ順次案内状が送付され、代替サービスへの移行手続きについて分かりやすく説明されます。
  • 全国の契約者は、これまでと同じ電話番号での利用が可能な光回線サービス等への段階移行を求められることになります。
  • 工事の時期や費用負担等についても、契約者ごとに個別案内される予定です。

メタル回線は電話というサービスが始まった当初から100年以上使われてきましたが、近年は機器の老朽化のみならず利用者数自体も大幅に減少。NTT東日本によれば、現在のメタル設備の保守・運用は限界に近い状態にあり、これ以上の維持は困難と判断されたための措置となります。

固定電話の「維持限界」──電話線100年超の歴史に幕

固定電話のメタル回線(銅線設備)は、2025年を境に段階的廃止に向かいます。100年以上の歴史を誇り、いわゆる「黒電話」と呼ばれるレトロな電話機も長く親しまれてきましたが、これにより従来型の電話線利用は将来的に姿を消すこととなります。

  • 日本の固定電話網は、戦前の手動交換から自動化、デジタル化と段階的な技術革新を経て今日に至るまで、ライフラインとして欠かせないものとなってきました。
  • 近年はスマートフォンやモバイル回線の普及、家庭のインターネット接続需要の拡大により、固定電話の新規契約数は減少傾向が続いていました。
  • 老朽化した銅線設備の保守コストや資材確保の困難さ、技術者の高齢化なども廃止決定を後押ししています。

これにより、従来型の黒電話やダイヤル式電話機は、直接電話線につなぐ方法では使えなくなり、必要に応じてIP化や変換装置などの新たな対応が求められます。今後は光回線・IP電話網への移行を基本としつつ、利用者の負担を減らす支援策も検討されています。

NTT東西 加入電話基本料値上げへ

固定電話の経済環境にも大きな変化があります。NTT東日本・西日本は加入電話の基本料金値上げを2025年から段階的に実施する方針を示しました。これは、設備維持のコスト上昇や利用者減による収益構造の変化に対応するためとされています。

  • 基本料金の値上げ幅や新しい契約体系については、契約者ごとに詳細が案内されます。
  • 将来的な廃止・移行までの間も、契約者は電話番号を変えることなくサービスが利用可能ですが、料金体系変更には十分な注意が必要です。
  • 各社は、値上げにともなうサービス品質やサポート体制の維持、ならびに高齢層や法人向けの利用者配慮策も用意しています。

固定電話ユーザーへの今後の対応と注意点

もしかすると「固定電話廃止」と聞いて不安を抱く方も多いかもしれませんが、NTTは即時廃止は行わず、段階的な移行と丁寧な案内を約束しています。2024年1月以降、すでに従来の加入電話やINSネットはIP網へと移行を始めており、ユーザーの電話番号や使い方が直ちに大きく変わることはありません。

  • 工事や新しい機器の手配が必要となる場合もありますが、要請に応じて代替手段やサポートが提供されます。
  • 今後は光回線対応の電話機や転送サービス、IP電話サービスなども利用が広がる見込みです。
  • 既存の「電話加入権」が必ずしも必要とは限らず、ケースによっては初期費用が低減される新サービスも展開されています。

とくに高齢層や業務用途で固定電話を使い続ける方への配慮や、移行に伴う相談窓口も設けられています。自宅や事業所の電話用途について、NTTから届く案内状の内容をよく確認し、必要な手続きをあせらず進めていくことが肝心です。

電話100年史の転換点──今後の社会と通信インフラの展望

2025年のメタル回線廃止は、日本の通信インフラにとって極めて大きな転換点といえます。固定電話は災害時の信頼性や家庭の安心感を支えてきましたが、デジタル通信時代の到来と共に、その形が変わろうとしています。

  • メタル回線の終了は、新たな通信技術やサービス普及への第一歩であり、今後は光回線中心の安定・高速なインフラが主役となります。
  • IP網やブロードバンドを活用した新しいサービスは、音声通話のみならず多様なデータ通信や連携も可能となり、地域や家庭の安全・快適な生活にも貢献します。
  • 今後もNTT各社は、通信の「命綱」としての機能維持や、誰もが安心して使える仕組みの確立に取り組みます。

長きにわたり「黒電話」と共に歩んできた日本の家庭。新しい通信の時代に向けて、利用者それぞれが自分に合った形での移行や活用を進めていくことが大切です。NTT東日本の動向や各種案内内容をしっかり把握し、安心・安全な通信環境づくりを進めましょう。

よくある疑問と回答

  • Q:固定電話はもう使えなくなるの?

    A:サービス形態は変わりますが、光回線やIP網対応の機器で引き続き利用可能です。電話番号も原則そのままです。
  • Q:黒電話はどうなる?

    A:従来型の電話線には接続できなくなるため、変換機器の利用や新しい対応機種への切り替えが必要です。
  • Q:基本料金は今後も上がる?

    A:2025年より段階的に値上げが予定されているため、NTTからの案内内容をよく確認しましょう。
  • Q:工事や手続きは複雑?

    A:NTTが契約者ごとに具体的な案内状やサポート体制を用意しますので、案内に沿って進めれば大丈夫です。

まとめ:社会の安心と新たなコミュニケーション基盤へ

時代の流れの中で、固定電話の形は大きく変わろうとしています。NTT東日本のメタル回線サービス終了は「100年の歴史」に一区切りをつける大きな社会的イベントです。これからは光回線・IP網を活用したスマートで柔軟なコミュニケーションの時代が拡がります。利用者は案内内容をしっかり確認し、自分らしい新しい通信環境への移行を進めていきましょう。

参考元