クラウドファンディングで救う、引退馬の未来 ― ノーザンレイク初の挑戦と新厩舎建設

1頭1頭と向き合い続けるために――新厩舎建設への想い

北海道新冠町の養老牧場「ノーザンレイク」で、感動的なプロジェクトが進行しています。現役を退き、静かな余生を送る馬たちのため、安全で快適な新厩舎建設を目指すクラウドファンディングが、2025年10月24日に初めて実施されました。
この牧場には、かつてGIレースで活躍したメイショウドトウや、日経賞を制したネコパンチなど、全国の競馬ファンに愛された5頭の功労馬が暮らしています。現場を支えるのは、元JRA厩務員であり、名馬ゼンノロブロイにも携わったことのある川越靖幸さんと、競馬ライターとして知られる佐々木祥恵さんご夫妻。
築40年以上を経た厩舎は、これまで修理しながら使われてきましたが、老朽化による雨漏りや設備の限界が進行。そこで「引退馬たちが安心して、自然な暮らしを保てる場所を作りたい」という強い想いから、クラウドファンディングに踏み出したのです。

クラウドファンディング初日から大きな反響――共感が生み出した2600万円超

10月24日午前11時にプロジェクトがスタートすると、わずか4時間で目標額1500万円を達成。そして、支援者は約2200人に達し、午後8時には2600万円を突破する熱烈な広がりを見せました。その背景には、牧場の「守り猫」メトという存在も大きく、SNSなどを通じて全国各地はもとより、世界的なウマ娘ブームの影響で海外からも応援の声が寄せられています。

  • 引退馬を守るための緊急性や共感を呼ぶストーリー
  • 遠隔地からも参加できるクラウドファンディングの特性
  • メトという「アイドル猫」や話題性の高い馬たちの存在
  • 返礼品として準備された牧場ゆかりのグッズ(ポストカードやTシャツなど)

こうした要素が重なり、ファン層が拡大。まさに、「皆様と一緒に楽しんで走り抜けていきたい」というノーザンレイクの想いが、国内外の多くの人々と強く響き合った結果だと言えるでしょう。

「うまのふるさと」設立と引退馬支援の波

また、2026年には北海道浦河町の「うらかわ優駿ビレッジAERU」内に、「うまのふるさと」という新たな拠点が誕生予定です。馬のセカンドキャリアや余生を支える動きが全国で活発化し始めています。
こうした動きを支えるのが、個人や企業による直接的な寄付やクラウドファンディング型のプロジェクトです。どんな状況でも1頭1頭と丁寧に向き合い、馬の健康や心の安らぎを最優先に考える施設運営者の姿勢に、多くの人が共感と信頼を寄せています。

ノーザンレイクにおける引退馬とスタッフの歩み

ノーザンレイクでは

  • 宝塚記念優勝馬「メイショウドトウ」が2021年から引退馬協会の預託馬として暮らしています
  • ネコパンチはアイドル的存在で長く愛されており、牧場猫メトの話題も絶えず注目されています
  • スタッフの川越靖幸さんは、有馬記念などGI3勝馬「ゼンノロブロイ」に厩務員として携わった大ベテランです

サラブレッドはデリケートな生き物です。特に高齢馬は体調変化が激しく、きめ細かな健康管理が欠かせません。道内の厳しい気候変動にも耐えられる構造の新厩舎、建物内部に洗い場整備、猛暑・寒冷対策も強化する計画が進行中です。

クラウドファンディングがもたらす変化と社会的意義

今回のクラウドファンディングは、高齢化が進む引退馬たちの今後の生活に必要不可欠な環境整備の大きな一歩となりました。
また、動物福祉や命の大切さを社会全体で考えるきっかけも与えてくれます。

  • 支援することで”自分も牧場運営の一員として馬を守っている”という参加体験
  • SNS発・オンラインでの寄付参加が広がり、地域や世代を超えて支援の輪が拡大
  • 競馬ファンだけでなく、動物好き・地元住民・新しい価値観を持つ若い世代にも注目されている

クラウドファンディングは、一部の善意や特定の資金力を持つ人々に課せられるのではなく、「みんなで支える」という新たな支援の形を示しました。

厩舎の老朽化と切実な現場の声

築40年以上の厩舎は、度重なる修繕と工夫でしのいできましたが、強風や豪雪、長雨のたびに馬やスタッフの負担は増え続けてきました。

「いくら手を施しても、老朽化だけは止められませんでした。馬がストレスなく過ごせる本当に良い環境を整えてあげたい」
オーナー夫妻のそんな真摯な言葉が、多くの共感を呼びました。

厩舎の新設にあたり、徹底した断熱・換気・安全構造を取り入れ、馬たちの健康を守ります。洗い場も屋内に新設し、厳寒時のケアや夏場の熱中症対策も強化されます。
今後は、当初目標を上回る支援の動きを受け、さらに進化した〈ネクストゴール〉への挑戦が始まる予定です。

返礼品と支援者との心温まる交流

クラウドファンディングの魅力のひとつは、返礼品を通じた「支援の可視化」です。

  • メトとネコパンチの特製ポストカードセット(尾崎修二カメラマン撮影)
  • メトの足跡入りTシャツ
  • サンクスレターなど、心のこもった限定グッズ

受け取った支援者からは、
「馬たちの健やかな毎日を想像できて嬉しい」「牧場スタッフの愛を感じる」
など、感謝の声が続々と届いています。

「皆様と一緒に」――つながる未来へ

ノーザンレイクのスタッフや馬たちだけでなく、クラウドファンディングは支援する人々の心をも一体化させる架け橋となりました。
「思いがけないスピードで目標に到達し、驚きと感謝でいっぱいです。これからも馬と猫、牧場全体を愛するたくさんの方々の想いを受け止めて、馬たちにとって最高の環境づくりに取り組み続けます」と運営スタッフも意気込みを語っています。

クラウドファンディングは12月22日午後11時まで継続中であり、まだまだ支援のチャンスはあります。新しい厩舎とともに、幸せな余生を送る馬たちの物語が、今も、多くの人の善意を乗せて走り続けています。

クラウドファンディング時代の引退馬支援――動物たちの未来を考える社会へ

今回のノーザンレイクの取り組みは、日本における引退馬支援の大きなステップアップと、クラウドファンディングによる共創社会の象徴です。見過ごされてきた〈いのち〉一つひとつに温かい眼差しと行動が注がれたとき、私たちの社会は新たな豊かさに包まれるでしょう。

今後も増えていくと予想される各地でのクラウドファンディング型プロジェクト。しかし、より多くの馬やスタッフが幸せな時間を過ごすためには、継続的な支援・関心・共感の輪が不可欠です。今、「一頭一頭と向き合い続ける」この意志が、日本の動物福祉の未来を照らしています。

参考元