ニトリHDの株価が大幅続落、9月度既存店売上の減少が影響
家具・インテリア業界を代表するニトリホールディングス(以下、ニトリHD)の株価が、2025年10月上旬にかけて大幅に続落しています。特に注目されているのが、9月度の既存店売上高が再び前年同月を下回り、「再マイナス転換」となったことです。短期間で大きく値を下げる展開について、なぜこのような動きになったのか、その原因や背景を分かりやすくまとめました。
9月既存店売上が前年割れ、連続した下落
- 2025年9月の既存店売上高が、2か月ぶりに前年同月比でマイナスに転じました。
- 既存店売上高が減少することは、ニトリHDにとって業績面でのリスク要因と見なされやすく、株式市場もこれを敏感に反映しています。
- このニュースが伝わった直後から株価は連続して下落。10月1日から3日まで3日続落となりました。
実際の株価の推移を見てみると、例えば10月3日は前日比で-2.70%、終値2,563円と大きく下落。年初来安値である2,417円(8月5日)には届かないものの、下落幅は大きく、投資家心理が大きく冷え込んだ様子が窺えます。
四半期決算でも減収減益、客数減少が響く
- 2025年第1四半期決算では、売上収益が前年比0.7%減、営業利益が0.5%減と、わずかながらも減収減益となりました。
- ニトリ主力事業で顧客数の減少が見られましたが、一方でグループ会社「島忠」事業ではプライベートブランド商品の開発・拡充が功を奏し増益に寄与しました。
- 通期予想は据え置きで据え置かれており、会社としては強気の姿勢も見受けられますが、足元の売上はやや苦戦しています。
アナリスト評価と今後の見通し
- 10月5日時点での証券アナリストの平均目標株価は3,153円と、現状の株価から約23%の上昇余地があるとされています。
- アナリスト内訳は「強気買い」が3人、「中立」が8人という状況で「売り」判断は出ていません。全体としては楽観的(買い推奨)な評価が維持されています。
- この1週間で目標株価が3,189円から3,153円に下方修正されましたが、依然として現行株価よりも高い水準です。
このアナリストレポートから読み取れるのは、短期的には業績・客足減少による不透明感で株価が売られているものの、中長期的にはもう一度業績が持ち直す可能性が評価されている点です。
業績推移と株価動向のポイント
- 2025年3月期の売上高は928,828百万円、純利益82,546百万円と前年をやや下回りました。
- 2026年3月期はアナリスト予想で売上高946,763百万円、純利益85,514百万円とやや回復基調の予想もありますが、伸びは緩やかなものに留まっています。
直近の株価の推移を日足で記録すると、9月29日に1株→5株の株式分割が実施され、取引単位のハードルが下がったことで個人投資家の参加も増えた可能性があります。
今後の注目点とまとめ
- 景気動向や住宅着工件数といった外部環境が、家具・インテリア業界全体の需要を左右する要因として引き続き注目されます。
- ニトリHDでは、既存店売上高がプラスに転じるかどうか、11月13日に予定されている決算発表でどのような今後の戦略が打ち出されるかが大きな関心事です。
- 「顧客数の回復」と「新たな商品展開」「国内外店舗の新規出店戦略」などが今後の業績回復の鍵を握ります。
今回の株価下落は、短期的には9月度既存店売上高のマイナス転換という実需の減速が直接的な要因となっています。しかしアナリスト評価は依然“買い”を維持しており、企業の中期的な競争力や市場拡大力については期待が残っています。投資家としては、今後の決算発表や既存店売上高の回復推移に注目することが重要だと言えるでしょう。
Q&A:ニトリHD株価動向についてよくある質問
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Q1:なぜニトリHDの株価はここ数日で大きく下がったのでしょうか?
A1:主な要因は、2025年9月の既存店売上高が2か月ぶりに前年割れとなったことです。投資家心理が慎重となり、株式の売却が広がりました。 -
Q2:2025年現在の業績はどのような状態ですか?
A2:2025年第1四半期は売上高・利益ともに前年より減少となり、決算短信でも減収減益が強調されています。客足減少が響き、成長ペースがやや鈍化しています。 -
Q3:アナリストの今後の見通しはどうなっていますか?
A3:アナリストのコンセンサスは買い(強気/中立)ですが、目標株価は若干下方修正されています。それでも現在の株価より高い水準で、回復期待も継続しています。
この記事で押さえておくべきポイント
- ニトリHD株価は9月末から3日続落し、大幅続落となっている
- 9月既存店売上が2ヶ月ぶりにマイナスとなり、業績懸念で投資家心理が悪化
- 2025年の業績も減収減益傾向がみられる一方、長期成長力やアナリスト評価には期待が残る
家具・インテリアで日本をリードするニトリHDですが、足元の業績と株価には課題も見えます。一方、企業体力やPB商品の進化、新規出店への取り組みも続けています。投資する際には、決算発表や既存店売上の動向・消費動向を慎重に見守る必要があるでしょう。