日産が切り拓くAI自動運転の未来――銀座の交差点も安全に走行できる次世代プロパイロットとは

日産自動車は、2027年度にこれまでで最も進んだ自動運転技術「次世代プロパイロット」を市販車に導入することを発表しました。複雑な市街地――例えば銀座のような雑多な交通環境でもスムーズな自動運転が可能になり、これまで以上に多くの人が安心して革新的なモビリティ体験を楽しめる時代が到来しつつあります。

誰もが待ち望んだ、日常の「手放し運転」が実現へ

新しいプロパイロットの最大の特徴は、従来は難しかった市街地での自動運転――つまり「ハンズオフ(手放し運転)」が、より多くのシーンで使えるようになる点です。日産の運転支援技術は2019年に「プロパイロット2.0」で高速道路などでのハンズオフ運転を実現してきましたが、さらなる技術革新により、今度は歩行者や自転車、自動車などが入り交じる都市部でも安定した運転をサポートすることが可能となります。

英国AI企業「Wayve」とのタッグで実現する新時代の自動運転

この進化を支えるのは、英国のAIスタートアップ企業「Wayve(ウェイブ)」との共同開発による最先端のAIソフトウェアです。Wayve AI Driverは、人間のドライバーと同じように映像や実際の交通データから「どう動けばよいか」を自ら学び、徐々に適応していきます。強化学習と呼ばれる方式で多様な路面状況や不測の事態に柔軟に対応できるのが特徴で、既に欧州などのリアルな都市環境で大量の走行データを蓄積しています。

技術の要――LiDARとGround Truth Perception

日産のグラウンド・トゥルース・パーセプション(Ground Truth Perception)技術は、AIの「目」となる部分で、最新のLiDAR(ライダー/レーザースキャナー)を活用します。これにより、車両周辺の歩行者、自転車、自動車、標識などを高精度で立体的に認識し、状況の変化を即座に検出。複雑な街中でもスムーズかつ安全に自動運転が作動し、突発的な危険もいち早く回避できるのです。

  • 車線変更や合流、横断歩道の歩行者への対応もAIが自律的に判断
  • 予測不能な「飛び出し」や悪条件下でも瞬時に反応
  • 信号や標識を正確に認識し、安全かつ効率的に目的地へ誘導

プロパイロット最新世代でめざす「ドア to ドア」自動運転

従来の運転支援システムでは、主に高速道路や限定された範囲でハンズオフ運転が提供されてきました。しかし次世代プロパイロットは、「ドア to ドア」、つまり家の玄関から目的地までフルに自動運転をサポートできる技術として開発が進められています。今後は市街地・高速道路・駐車場など多様なシーンでAIが最適な運転プランを考え、ドライバーの安全と快適を両立します。

進化し続けるレベル2運転支援、安全性へのこだわり

今回の日産次世代プロパイロットは、いわゆる「自動運転レベル2」――高度な運転支援の枠組みを持ちつつ、より複雑なケースでも作動するという点で大きな進歩です。つまり、運転の主体はあくまで人間のドライバーですが、AIが積極的にアシストし、事故の芽を的確に取り除く設計です。

  • ドライバーが操作を続ける必要はあるが、AIがリスクを先回りして管理
  • 意図しない挙動や誤操作もAIがサポートし安全性を担保
  • 国際的な安全基準や日本の法規制にも適合

新型エルグランドでデビューの可能性も?

話題を集めているのは、この次世代プロパイロットが新型エルグランドとともにデビューするのではないかという期待です。大型ミニバンとして人気のモデルに運転負担軽減と安全性が大幅に向上した自動運転機能が加われば、家族でのドライブや都市部の移動も一層快適になるでしょう。現時点では車種名への公式な明言はありませんが、市販車への本格導入が約束されたことで、今後の新型車開発にも期待が高まります。

社会が求める「誰もが使える」自動運転を目指して

日産の目標は、「誰にでも直感的で簡単に使える自動運転」です。高齢者や運転が苦手な方、長距離移動や渋滞時のストレスを減らしたい方など、幅広いユーザーが使いやすい機能設計が重視されています。音声アシスタントや簡単なタッチパネル操作だけで目的地を設定でき、不安な状況下ではAIがドライバーに積極的にアドバイスを行うなど、利便性と安全性を両立したユーザー体験を目指しています。

AI時代の自動車産業における日産の挑戦

世界中の自動車メーカーがAIや自動運転技術にしのぎを削る中、日産は海外先進企業との連携を通して独自の進化を加速させています。「クルマは単なる移動手段ではなく、人と社会を繋ぐライフパートナーである」という信念のもと、安全と持続可能なモビリティ社会実現に向けた投資を今後も積極的に行う方針です。今やAI自動運転は欠かせない産業競争力の源泉であり、日本発のグローバルイノベーションとしてますます注目されています。

まとめ:日産AI自動運転のこれからと私たちのくらし

2027年度に始まる日産の次世代プロパイロット搭載車は、都市部から郊外、高速道路に至るまで、かつてない安心と快適を届けてくれそうです。銀座のような大都市を手放しでスイスイ走れる日常がもうすぐ手に届く未来。命を守る衝突回避の高度化、そして誰もが心地良く移動できる社会――日産が描くビジョンは、これからのクルマの在り方を大きく変えていくことでしょう。

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