日産「セレナ」マイナーチェンジ発表 上級グレードのデザイン刷新と最新安全装備で“家族ミニバン”が進化

日産自動車は、「セレナ」をマイナーチェンジし、2026年2月中旬より発売すると発表しました。価格帯は278万5200円〜499万8400円で、従来モデルと同様に幅広いユーザー層をカバーするラインナップとなっています。

今回の改良では、上級グレードである「LUXION(ルキシオン)」「ハイウェイスターV」のエクステリアデザインを中心に大幅な見直しが行われました。また、最新のインフォテインメントシステムや運転支援機能の進化により、“家族のためのミニバン”としての魅力を一段と高めています。

上級グレード「ルキシオン」「ハイウェイスターV」のエクステリアを刷新

今回のマイナーチェンジで最も大きなトピックとなっているのが、上級グレードのエクステリアデザイン刷新です。

  • 対象グレード:「LUXION(ルキシオン)」「ハイウェイスターV」
  • 変更ポイント:フロントグリルパターンの変更、新デザインのアルミホイール採用

フロント周りでは、顔つきの印象を決定づけるフロントグリルのパターンが変更され、より存在感のある造形となりました。グリル内部の意匠やメッキ加飾の使い方を見直すことで、従来の「家族的」「親しみやすい」イメージに加え、上質感や力強さをしっかりと打ち出したデザインとなっています。

また、ホイールについても新デザインが採用され、グレードごとにキャラクターを明確化。ルキシオンでは落ち着いた高級感、ハイウェイスターVではスポーティで精悍な印象を前面に出すスタイルとなっています。

ルキシオンは“上質・プレミアム”、ハイウェイスターVは“スポーティ”へ

同じセレナの上級グレードでありながら、ルキシオンとハイウェイスターVでは目指す方向性が異なる点も今回の特徴です。

  • ルキシオン:より上質でプレミアム感のある表情を強調
  • ハイウェイスターV:スポーティさを前面に出した力強いスタイルに刷新

ルキシオンは、フロントグリルやバンパーデザインに落ち着いた加飾を用い、高級感・静かな存在感を重視した仕立てとされています。ファミリーユースでありながら、長距離移動や送迎など、さまざまなシーンで“大人っぽい”雰囲気を求めるユーザーに応える方向性です。

一方でハイウェイスターVは、メタル調のフィニッシュやシャープなラインを強調した造形により、低重心でワイドなスタンスを強く印象付けるデザインへ。精悍なフロントマスクと相まって、ミニバンでありながらスポーティな雰囲気を楽しみたいユーザーに向けたキャラクターとなっています。

最新インフォテインメント:Googleビルトインを採用

内外装の見た目にとどまらず、車内のデジタル体験も大きく進化しています。

  • Googleビルトイン インフォテインメントシステムを採用
  • 対応アプリの利用や音声操作など、スマートフォンライクな操作性を実現

Googleビルトインは、車載システムにGoogleのサービスを統合したもので、Googleマップを用いたナビゲーションや、Googleアシスタントによる音声操作などが利用可能になるとされています。これにより、スマートフォンとの連携に慣れたユーザーでも違和感なく操作でき、日常の移動からロングドライブまで快適なドライブ体験を提供します。

家族で出かける際にも、目的地検索やルート案内がスムーズに行えるため、親世代から若い世代まで、幅広いユーザーにとって扱いやすいシステムとなることが期待されています。

進化した「インテリジェント アラウンドビューモニター」

安全・運転支援装備の分野では、カメラ技術を活用した新機能が追加されています。

  • 新しい表示機能を備えた「インテリジェント アラウンドビューモニター」を採用
  • 追加された主な機能:
    • 3Dビュー
    • フロントワイドビュー
    • 両サイドミラークローズドビュー

3Dビューは、車両を立体的に俯瞰した視点で表示することで、周囲の状況を直感的に把握しやすくする機能です。狭い駐車場や縁石の多い場所でも、クルマの位置関係をつかみやすくなり、車両感覚に不安があるドライバーのサポートにつながります。

フロントワイドビューは、交差点などで運転席から死角になりやすい前方左右の状況を映し出し、飛び出しや見落としのリスク低減に寄与します。

さらに、両サイドミラークローズドビューでは、ミラーをたたんだ状態でもサイドの状況をモニターで確認でき、狭い場所での駐車や通過時の安心感を高めます。これらの機能は、日常でありがちな“ヒヤリ”とするシーンを減らし、家族を乗せるミニバンとしての安心感を大きく高めるポイントとなっています。

家族に寄り添う新装備:e-Pedal Step記憶機能や後席リマインダー

運転支援・安全装備では、日々の使い勝手に直結する細かな改良も加えられています。

  • 「e-Pedal Step 前回モード記憶」機能を追加
  • 後席リマインダー機能を採用

「e-Pedal Step」は、アクセルペダルの操作だけで加減速をある程度コントロールできる機能で、渋滞時などの疲労軽減に役立つとして好評を得ています。今回新たに追加された「前回モード記憶」機能により、エンジン停止前に使っていた設定を次回始動時にも自動で復元。毎回スイッチ操作を行う必要がなくなり、日常的に使いやすいシステムとなりました。

また、後席リマインダーは、クルマを降りる際に後席の荷物や乗員の存在をドライバーに知らせる機能です。小さな子どもやペット、荷物の置き忘れを防ぐためのもので、ファミリーカーとしてのセレナのコンセプトに非常に合った装備と言えます。

カスタムモデルも同時に拡充:「AUTECH LINE」「マルチボックス」など

日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)によるカスタムモデルの展開も、今回のマイナーチェンジにあわせて強化されています。

  • 新シリーズ「AUTECH LINE」を追加設定
  • 車中泊にも対応した「マルチボックス」仕様などを設定

「AUTECH LINE」は、専用の外装パーツや内装加飾を施したモデルで、標準モデルとはひと味違う個性と上質感を求めるユーザーに向けたグレードです。

さらに、「マルチボックス」などの車中泊・アウトドア志向のモデルでは、2列・5人乗りのシート構成に加え、荷室に大容量の収納ボックスを装備。テーブルやベンチとしても使えるよう配慮されており、キャンプや長距離旅行など、クルマを“もう一つの部屋”のように使いたいユーザーにとって魅力的な仕様となっています。

また、既存の「AUTECH」「AUTECH SPORTS SPEC」、車中泊仕様の「マルチベッド」、バリアフリー仕様の「ライフケアビークル(LV)」シリーズなども、それぞれマイナーチェンジが行われる予定です。これにより、セレナシリーズ全体として、ライフスタイルに合わせた多彩な選択肢が用意されています。

発売時期と価格帯

マイナーチェンジした新型セレナは、2026年2月中旬から発売される予定です。価格は、エントリーグレードから上級グレードまで、278万5200円〜499万8400円のレンジに設定されています。

従来から評価の高いe-POWERハイブリッドや、部分自動運転技術「プロパイロット」などの基本的な魅力はそのままに、デザインや安全・快適装備を刷新した今回のモデルは、「家族のためのミニバン」としてさらに成熟した一台になったと言えそうです。

セレナが担う“家族ミニバン”としての役割

1991年の初代登場以来、セレナは長年にわたり、日産を代表するファミリーミニバンとして多くのユーザーに支持されてきました。現行モデルは2022年にフルモデルチェンジを受け、その後も4WDハイブリッド「e-4ORCE」の追加など、継続的な改良が重ねられています。

今回のマイナーチェンジでは、

  • 上質感とスポーティさを両立したデザインの進化
  • Googleビルトインなどによるインフォテインメントの最新化
  • アラウンドビューモニターの強化や後席リマインダーなど、家族を守る安全・安心装備の拡充
  • 「AUTECH LINE」や車中泊仕様モデルなど、多彩なライフスタイルに応えるバリエーション

といったポイントが盛り込まれており、「移動のためのクルマ」から「家族の時間を支える空間」へと、役割が一段と広がった印象です。

送迎や通勤だけでなく、週末のレジャー、長期休暇の旅行、さらには車中泊を伴うアウトドアまで、家族の毎日の生活と楽しみをトータルで支える一台として、今回の新しいセレナは大きな注目を集めそうです。

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