ニチレイ、2025年4~6月期決算で営業減益:加工食品事業の影響で株価は半年ぶり安値に

食品大手のニチレイ株式会社(証券コード:2871)は2025年8月5日に発表した2026年3月期第1四半期(4月~6月)の連結決算において、前年同期比で経常利益が約11%減少したことが明らかになりました。これにより、同社の株価は半年ぶりに年初来安値を更新し、市場では失望感が広がりました。

決算概要:売上高はほぼ横ばいも利益減少が顕著に

  • 売上高は前年同期比で0.2%減の約1707億6500万円を記録し、ほぼ横ばいの水準となりました。
  • 営業利益は前年同期比8.9%減の約86億8800万円に減少。
  • 経常利益は前年同期から10.8%減の約92億2000万円に落ち込みました。
  • 売上営業利益率は前年同期の5.6%から5.1%に悪化しています。

ニチレイは売上高こそ前年並みを確保しましたが、加工食品事業での利益減少が全体の利益を押し下げる結果となりました。これにより、投資家の間で失望売りが起き、株価は大幅に下落して約半年ぶりの安値水準に達しました。

加工食品事業の苦戦と経営の課題

加工食品事業はニチレイの中核をなす部門ですが、今回の四半期決算で利益が減少したことが市場の注目を集めました。具体的な要因としては、原材料費の高騰や需要構造の変化、新たな消費者ニーズへの対応の遅れなどが考えられますが、詳細は開示されていません。

経営陣は通期では増益計画を維持しているものの、今後の事業構造の見直しや効率化、また成長分野への積極的な取り組みが求められる状況です。

ニチレイフーズの個食用米飯商品の取り組み

一方、ニチレイグループの食品子会社であるニチレイフーズは、個人向けの米飯カテゴリーに注力しており、パーソナルユースの商品拡充に力を入れています。昨今の生活様式の変化から手軽に食事を完結できる「個食」需要が拡大しており、この分野での勝機を見出しています。

2025年7月28日に発表された取り組みでは、冷凍米飯の商品ラインナップを多様化し、忙しい消費者のニーズを満たす商品展開を強化。これにより、競合他社との差別化と新たな市場拡大を目指しています。

投資家への影響と今後の見通し

今回の決算発表直後、ニチレイの株価は約9%近い大幅下落となり、2025年初頭以来の安値を更新しました。利益減少のニュースが市場心理にネガティブに働き、短期的な投資判断に影響を与えています。

ただし、通期の業績計画は依然として大幅な増益を見込んでおり、経営は将来的な回復と成長に向けた戦略を展開中です。加工食品事業の収益性改善策や個食市場への積極的なアプローチが成功すれば、中長期的には業績回復の期待も十分にあると見られます。

まとめ

  • ニチレイの2025年4~6月期決算は経常利益が前年同期比約11%減と減益。
  • 加工食品事業の利益減少が主因で、売上はほぼ前年並み。
  • 発表直後に株価は約9%下落し、半年ぶりの安値を更新。
  • ニチレイフーズは個食向け米飯商品を拡充し、新たな成長分野を模索。
  • 今後は事業構造改革と新商品展開により、通期増益計画の実現が課題。

引き続きニチレイの動向に注目が集まる中、グループ全体の収益改善と新たな市場開拓の成否が重要なポイントとなりそうです。

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