NHK新会長に井上樹彦副会長が昇格=18年ぶりの内部起用
日本放送協会(NHK)は、2026年1月25日付で次期会長に現副会長の井上樹彦氏を昇格させることを決定しました。NHK出身者からの会長選出は2005年以来、18年ぶりとなる内部起用です。現会長の稲葉延雄氏は任期満了に伴い、2026年1月24日をもって退任します。
井上樹彦氏のプロフィール
井上氏は現在68歳で、NHKの報道局で政治部長や編成局長などの要職を歴任してきました。昨年2月から副会長として稲葉会長を補佐し、組織内での信頼を築いてきました。長年にわたるNHK内での経験と知見を有する人物として、経営委員会から評価されました。
経営委員会での決定プロセス
NHKの経営委員会は12人の委員で構成されており、今回の人事決定にあたり3人の委員が反対票を投じたと明かされました。ただし、古賀委員長は「チームを編成して課題に取り組んでほしい」との考えを強調し、新体制への期待を示しています。
山積する課題への対応が急務
NHKは現在、複数の重要課題を抱えています。その中でも、受信料収入の下げ止まりは喫緊の課題です。視聴者の受信料支払い拒否が増加する中、収入減少に歯止めをかけることが経営の重要なポイントとなっています。井上新会長は、受信料収入の安定化に向けた具体的な施策を展開することが期待されています。
メディア環境の変化への対応
デジタル化やストリーミングサービスの普及など、メディア環境は急速に変わっています。井上新会長は、「新しい環境に合う届け方」を実現する必要があります。従来のテレビ放送に加え、インターネットやスマートフォンなどの多様なプラットフォームを活用し、視聴者のニーズに対応したコンテンツ配信を進めることが求められています。
政治との距離が問われる
NHK会長には常に、政治からの独立性と公共性の維持が強く求められます。公共放送として、政治的中立性を保ち、視聴者からの信頼を得ることが重要です。井上新会長の下では、こうした公共放送の基本的使命がより一層厳しく問われることになるでしょう。
内部昇格の意義
外部からの人材登用ではなく、NHK内部からの会長昇格は、組織の連続性と安定性をもたらします。一方で、新しい視点やイノベーションを求める声もあります。井上新会長は、内部の経験と知見を活かしつつ、時代の変化に対応した経営姿勢を示す必要があります。
視聴者の期待と課題
NHKの改革を求める視聴者からは、様々な期待と懸念が寄せられています。受信料制度の在り方、番組の質の向上、インターネット配信の充実など、検討すべき課題は数多くあります。井上新会長は、こうした多面的な課題に正面から取り組み、視聴者との信頼関係を深める必要があります。
新体制への期待
2026年1月25日の就任に向けて、井上新会長の下での新しいNHK経営がスタートします。受信料収入の安定化、メディア環境への対応、政治との適切な距離の保持など、様々な課題に立ち向かう覚悟が問われています。公共放送として、社会における重要な役割を果たし、視聴者からの信頼を獲得することが、新会長の最大のミッションとなるでしょう。



