NHKラジオ第2放送が2026年3月末で廃止へ、総務省が認可を発表

日本放送協会(NHK)が進める経営改善の一環として、ラジオ第2放送の廃止が大きな話題となっています。総務省は2025年11月28日、NHKから申請されていたラジオ第2放送の廃止について認可したことを発表しました。これにより、1931年の開始以来94年の歴史を持つラジオ第2は、2026年3月31日をもって放送を終了することが正式に決まりました。

ラジオ第2廃止の背景

NHKがラジオ第2の廃止を決断した理由は、経営改革にあります。NHKの経営計画では、「事業支出改革」の一環として、コンテンツの総量削減と設備投資の大幅削減による収支改善が掲げられており、ラジオ第2の廃止はこの方針に沿った「メディアの整理・削減」として位置付けられています。現在のラジオ第1、ラジオ第2、NHK-FMの3波体制から、2026年度以降はAM波1波とFM波1波の2波体制へと再編される予定です。

現在のラジオ第2の役割

ラジオ第2放送は、教育・語学・講座番組を全国一律の内容で放送してきました。放送内容としては、外国語の語学講座、高校講座、大学の遠隔講義など、教育的価値の高い番組が中心となっていました。多くのリスナーにとって、語学学習や教養を深める貴重なメディアとして親しまれてきた放送局です。

廃止後の番組移行計画

NHKが廃止後に検討している対応として、ラジオ第2で放送されていた語学番組や教育番組の多くはFM放送(NHK-FM)への移行が予定されています。具体的には、NHK高校講座や一部の語学講座がFMで継続放送される見込みです。ただし、すべての番組が移行するわけではなく、一部の教育番組については廃止される可能性もあります。

新しいラジオ体制の展望

2026年4月以降のNHKラジオ体制は、大きく二つの方針に分かれます。まず、AM波(新 NHK AM)は、「安全・安心を担う音声基幹波」として位置付けられ、生放送中心のニュース、生活情報、福祉番組に重点を置きます。命と暮らしを守る情報をいち早く届けることが根幹となり、防災・災害対応の役割がより強化されることになります。

一方、FM波(新 NHK FM)は、「高品質な音楽・芸能番組と学びの機会を届く音声波」として機能します。音楽、伝統芸能、語学・教育番組を中心に編成され、リスナーの興味・関心に深く応える音楽番組と、多様な学びに役立つ教育番組の提供に力が注がれます。

災害時の対応について

重要な点として、災害発生時には新しいラジオ体制においても、これまでと同様に「新 NHK AM」と「新 NHK FM」の両波が、災害の規模や状況に応じてニュース、ライフライン情報、帰宅困難者向け情報などを放送することが保証されています。そのため、国民の安全確保に関する放送機能は維持されることになります。

既に始まっている番組変更

実は、この廃止決定に先立ち、既に一部の番組が変更されています。例えば、2025年9月28日までNHK-FMで放送されていた「ラジオ深夜便」は、翌29日からラジオ第1での放送に変わっています。このように、廃止に向けた段階的な準備が進められているのです。

NHKの情報発信計画

NHKでは、この大きな変更について、テレビ、ラジオ、デジタルプラットフォーム、番組テキスト、イベント会場など、あらゆる手段を通じて視聴者に情報を提供していくと表明しています。2026年の放送終了までの間に、多くのリスナーが円滑に新しいラジオ体制へ移行できるよう、丁寧な情報提供が行われる予定です。

視聴者への影響

この廃止決定は、特にラジオ第2の教育・語学番組を日常的に利用していたリスナーに大きな影響を与えることが予想されます。受験生や語学学習者にとって、NHKの語学講座は質の高い学習教材として重宝されてきました。FMへの移行により、聴取方法や放送時間が変わる可能性があり、利用者の利便性がどう変わるかが注目されています。

経営改善とメディア戦略の転換

NHKのラジオ第2廃止は、単なる経営削減ではなく、放送局全体の戦略転換を意味しています。限られた資源をより効率的に活用し、デジタル化が進む時代に対応したメディア提供を目指しているのです。今後、インターネット配信などのデジタルプラットフォームでの教育・語学コンテンツの充実も期待されるところです。

まとめ

NHKラジオ第2の廃止は、2026年3月31日で決定されました。94年の歴史に幕を閉じることになるこの決定は、NHKの経営改善と、変化する時代への適応を示すものです。教育・語学番組はFMへと移行予定であり、新しいラジオ体制では、安全・安心の情報発信と質の高い音楽・学び番組提供の二本立てでサービスが提供されます。視聴者にとっては、放送終了までの間に新しい聴取方法への移行準備が必要になってくるでしょう。

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