BMW M3次期型、革新的デザインで2027年登場へ
BMWの高性能スポーツセダン「M3」の次期型に関する情報が続々と明らかになってきました。2027年の発売が予定されているこの新型M3は、従来のモデルとは大きく異なるデザインコンセプトを採用し、同時にガソリンエンジン版と電気自動車版の両方が展開される見込みです。
賛否両論だった巨大グリルから決別
次期M3における最大の変更点は、フロントデザインの刷新です。現行モデル(G80型)で採用され、賛否両論を呼んでいた巨大なキドニーグリルが廃止される見込みとなっています。代わりに、BMWが推進する新しいデザイン言語「ノイエ・クラッセ」に基づいた、スリムで照明付きのキドニーグリルが採用される予定です。
このデザイン変更により、シャープなヘッドライトとすっきりと一体化した洗練されたフロントフェイスが実現されます。さらに、ブラック仕上げの大型セカンドロアグリルが装着され、アグレッシブな印象を保ちながらも、より現代的で洗練されたルックスになると予想されています。
電気自動車版「iM3」の登場
次期M3では、従来のガソリンエンジン搭載モデルに加えて、完全電気自動車版となる「iM3」の投入が計画されています。この電動版M3は、BMWのM部門が新たな未来へと踏み出す象徴的なモデルとなります。
圧倒的なパワーを誇る4モーター構成
iM3は4基のモーターを搭載する革新的な構成が採用される見込みです。理論上の最高出力は1341馬力(1メガワット相当)に達する可能性がありますが、量産時には実用性とバランスを考慮して700~800馬力程度に抑えられると予想されています。それでも、この出力値であればiM3は史上最もパワフルなM3となり、最速モデルになることは間違いないでしょう。
別の情報源では、市販モデルは約700馬力級となり、瞬発力と安定性のバランスを重視した設計になるとされています。開発車両では1300馬力超のポテンシャルも確認されているようですが、量産モデルではより実用的な設定が選ばれる方向です。
ニュルブルクリンクでのテスト走行から見えた姿
2027年発売予定のBMW M3 EV「ZA0」(開発コード名)は、ドイツのニュルブルクリンクサーキットで試験走行を行っており、その姿が目撃されています。厚いカモフラージュで覆われた状態ではありますが、新世代の「ノイエ・クラッセ」デザインの特徴や、冷却を意識した開口部、低い車高とワイドなスタンスが確認できます。
量産に近い完成度を示す外観
カモフラージュ越しでも、閉じたグリル(EVならではの特徴)、ワイドフェンダー、20インチホイールの装着など、外観の要点が確認できます。低重心のシルエット、大きく張り出したフェンダーが生む力強いスタンスは、EV化によって失われるのではないかと懸念されていた「Mらしさ」をむしろ強調しています。
リアセクションには控えめながらも機能的なトランクリッドスポイラーが備わっており、これは現行M3(G80)にも通じるデザインです。直線高速域やニュルブルクリンクの長いストレートで安定性を高める狙いがあると考えられます。また、マフラーエンドが存在しないため、従来のM3と比べてすっきりとした後ろ姿となっており、これはEVならではの特徴です。
サイドビューとリアデザインの進化
サイドビューも現行のG80型M3とは大きく異なり、最新の5シリーズのデザイン要素をより多く取り入れたものになると予想されています。具体的には、ボディワークと面一に配置されたドアハンドルや、よりシンプルなキャラクターラインが採用される見込みです。
リアセクションについては、今年公開された「Vision Driving Experience」プロトタイプのデザインと類似していますが、若干小型化されスリム化されるとみられています。彫刻的なバンパーと際立ったディフューザーが、リアに力強い印象を与える設計となっています。
テールライトは現在仮仕様のユニットが取り付けられており、点灯パターンや内部構造は量産時に刷新される見込みです。最近のBMWコンセプトから推測すると、横一文字のLEDが採用される可能性が高く、夜間の視認性とブランドらしい存在感を両立するでしょう。
先進技術の搭載
次期M3には、BMWの統合制御システム「Heart of Joy」が採用される見込みです。この技術により、4つのモーターを最適に制御し、優れた走行性能と安定性を実現します。
さらに、環境配慮の観点から、天然繊維ルーフなどのサステナブルな素材の導入可能性も示唆されています。これらの技術は、高性能スポーツカーでありながら環境への配慮も両立させるというBMWの姿勢を示しています。
EVでも失わない「M」のDNA
カモフラージュで覆われた姿にもかかわらず、M3 EV「ZA0」の外観はすでに量産に近い完成度を示しています。フロントからリアまでの一貫した造形は、次世代Mモデルが単なる電動セダンではなく、ブランドの象徴として仕上げられていることを示しています。
BMWはEV時代においても走りとデザインの両立を妥協しない姿勢を明確にしており、その狙いはニュルブルクリンクのテスト車両からも伝わってきます。電動化しても「Mらしさ」を強く主張する設計思想が貫かれています。
今後の展開
次期M3のハンドルを握るまでにはまだしばらく時間がかかるとみられていますが、これまで捉えられたスパイショットは、その未来を詳細に垣間見せてくれており、期待が持てる内容となっています。
2027年の発売に向けて、BMWは最終調整を進めています。ノイエ・クラッセというまったく新しいデザイン言語の採用により、M3は新たな時代へと進化を遂げようとしています。ガソリンエンジン版と電気自動車版の両方が用意されることで、幅広いユーザーのニーズに応えることができるでしょう。
巨大グリルからの決別、電動化への対応、そして「M」のDNAの継承という、一見相反するような課題に対して、BMWがどのような解答を示すのか。2027年の正式発表が待ち遠しいところです。



