ニュージーランド政府観光局、新キャンペーン「アクティブ・エスケープ」始動

ニュージーランド政府観光局は、自然の中でアクティビティとリフレッシュを同時に楽しめる新キャンペーン「アクティブ・エスケープ」を開始しました。ニュージーランドならではの雄大な景観の中で、ランニングやハイキング、サイクリングなどを通じて心と身体を整える旅を提案する取り組みで、日本の旅行者にも注目が集まっています。

キャンペーン「アクティブ・エスケープ」とは

「アクティブ・エスケープ」は、その名の通り「アクティブ(能動的)に動きながら、日常からエスケープ(脱出)する旅」をテーマにしたキャンペーンです。ニュージーランド各地のランニングイベントやトレイルコース、サイクルトレイルなどを軸に、旅先でのウェルネス体験や地域文化との触れ合いを組み合わせることで、単なる観光を超えた“体験型の滞在”を促しています。

日常生活で運動不足やストレスを感じている人でも、旅行の中で無理なく体を動かしながらリフレッシュできるよう、初心者から上級者まで参加しやすいプログラムが用意されている点も特徴です。観光局は「自然・アクティビティ・ウェルネス」という3つの柱を掲げ、滞在全体を通して心身の回復を支える旅のスタイルを広げたい考えです。

ニュージーランドの大自然が舞台

キャンペーンの大きな魅力は、何といっても舞台となるニュージーランドの大自然です。南北に細長く伸びる国土には、険しい山々、澄んだ湖、太古の森、ドラマチックな海岸線など、多彩な風景がコンパクトにまとまっており、短い日程でも変化に富んだ景観を楽しめるのが特長です。

山岳地帯を縫うトレッキングコースでは、氷河をいただく峰々や、原生林に囲まれた遊歩道を歩くことができ、海沿いのルートでは、波しぶきが上がる断崖や白い砂浜を眺めながらランニングやサイクリングを楽しめます。都市から自然へのアクセスも良く、朝は街のカフェで朝食をとり、昼には国立公園でハイキング、夕方は港町でシーフードを味わうといったメリハリのある過ごし方も可能です。

ランニングイベントやマラソンで楽しむ旅

「アクティブ・エスケープ」では、ニュージーランド各地で開催されるランニングイベントやマラソンも重要な柱となっています。沿道に広がるブドウ畑や牧草地、湖畔や海岸線など、コースごとに異なる景色を楽しめるのが大きな魅力で、国内外から多くのランナーが参加しています。

フルマラソンやハーフマラソンに加え、5kmや10kmなど、初心者でもチャレンジしやすい距離を用意する大会も多く、旅の一日を「走る体験」に当てることで、土地の起伏や空気感を全身で感じることができます。ゴール後には、ローカルフードの屋台や音楽イベントが開かれるケースもあり、「走る」ことと「地域に触れる」ことが自然につながる設計になっています。

トレイルランニングとハイキングの魅力

舗装路だけでなく、山や森を駆け抜けるトレイルランニングや、のんびりと歩くハイキングも、「アクティブ・エスケープ」が推しているアクティビティです。ニュージーランドには、世界的にも評価の高いロングトレイルから、半日ほどで往復できるファミリー向けのコースまで、さまざまなレベルのトレイルが整備されています。

標高差の大きいルートでは、スタート地点では牧草地の風景、途中でブナ林や滝、頂上付近では氷河湖といったように、短い距離の中で劇的に変わる景観を楽しめることも少なくありません。一方で、湖畔沿いのなだらかなルートや、展望台までの整備された遊歩道など、初心者や家族連れでも安心して楽しめるコースも多く、自分の体力に合わせて選べるのも嬉しいポイントです。

サイクリングで巡るワイナリーと海岸線

キャンペーンでは、サイクリングを通して地域をゆっくり巡る旅のスタイルも紹介されています。かつての鉄道跡を利用したサイクリングトレイルや、ワイン産地をつなぐゆるやかな自転車道などが整備されており、車よりもゆっくりしたスピードで、景色や香り、風の感触を味わえるのが魅力です。

ワイナリーが点在するエリアでは、サイクリングで畑を走り抜けながら、途中のワイナリーで試飲やランチを楽しむプランも人気です。サイクリング後にはシャトルバスで宿に戻れるサービスを提供している地域もあり、「しっかり運動したあとに、地域の食とワインでゆったりくつろぐ」という理想的な1日を過ごすことができます。

ウェルネス体験とリトリートの広がり

「アクティブ・エスケープ」が目指すのは、単に体を動かすだけではなく、「心身のウェルビーイング(健やかさ)」全体を高める旅です。そのため、ヨガや瞑想、温泉やスパ、マッサージなどのウェルネス体験と、アウトドア・アクティビティを組み合わせた宿泊プランも数多く紹介されています。

早朝のヨガセッションのあとに湖畔を散歩し、昼間はハイキングやサイクリングで汗を流し、夕方には地元食材を使ったヘルシーな食事と温泉でゆっくり疲れを癒やす、といった一日の流れを提案する施設も増えています。デジタルデトックスをテーマに、滞在中はスマートフォンの利用を最小限に抑え、自然や人との対話に集中するリトリートプログラムも、心のリセットを求める旅行者から関心を集めています。

マオリ文化との出会い

ニュージーランドの魅力を語る上で欠かせないのが、先住民族マオリの文化です。キャンペーンでは、自然の中でのアクティビティと合わせて、マオリの人々の歴史や価値観、伝統芸能、食文化などに触れるプログラムも紹介されています。

マオリ語の地名が多く残る地域では、ガイドが土地の物語や神話を織り交ぜながらトレイルを案内してくれるツアーもあり、山や川、森を単なる「景色」としてではなく、「物語を持つ存在」として捉えるきっかけになります。集会場を訪ねて伝統的な歌や踊りに触れたり、先祖代々受け継がれてきた料理を味わったりすることで、旅の体験は一層深いものになります。

日本からのアクセスと旅行者へのメッセージ

日本とニュージーランドの間には直行便を含む航空路線があり、南半球に位置するため、日本とは季節が逆になります。日本の冬にニュージーランドの夏を楽しむ「季節を入れ替える旅」は、寒さから離れて外で思い切り体を動かしたい人にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。

ニュージーランド政府観光局は、今回のキャンペーンを通じて、日本の旅行者に対し「特別なスキルや装備がなくても、自然の中で体を動かす小さなアクションから始めてほしい」と呼びかけています。短い散歩や軽いハイキングでも、雄大な景色や人々の温かさに触れることで、旅が心に残る「アクティブ・エスケープ」へと変わっていくというメッセージを発信しています。

安心・安全なアクティビティ参加に向けて

アウトドア・アクティビティを楽しむうえで重要なのが、安全面への配慮です。ニュージーランドでは、トレイル整備やコースの難易度表示、気象情報の提供などが進められており、初めて訪れる人でも事前に情報を得ながら計画を立てやすい環境が整いつつあります。

観光局や地方の観光機関は、公式サイトなどで装備の目安や注意点も案内しており、初心者には現地ガイド同行のツアーを推奨しています。また、自然環境を守るためのマナーやルールも発信しており、「自然を楽しみながら、次の世代に美しい景観を引き継ぐ」という意識づくりにも力を入れています。

「アクティブ・エスケープ」がもたらす新しい旅のかたち

今回のキャンペーンは、ニュージーランド観光の魅力をあらためて発信するとともに、ポストコロナ時代に求められる「心身の回復」をテーマに据えた取り組みとしても注目されています。観光客の数を追い求めるのではなく、一人ひとりの体験の質を高めることに重きを置く姿勢は、持続可能な観光を模索する世界的な流れとも重なります。

ニュージーランド政府観光局は、長年にわたり「100%ピュア・ニュージーランド」というブランドメッセージのもと、自然と人とのつながりを大切にした発信を続けてきました。「アクティブ・エスケープ」はその最新章とも言えるキャンペーンであり、これからニュージーランドを訪れる人々に、新しい旅のスタイルを提案していくことになりそうです。

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