新千歳空港、駐車料金が最大3倍に値上げへ――混雑解消と利便性向上をめざして
北海道・新千歳空港は2025年10月10日から、空港駐車場の料金を大幅に改定し、24時間の最大料金をこれまでの1,200円から3,500円(通常期)、多客期は最大4,500円まで引き上げることを発表しました。この決定は長年の「安価すぎる駐車料金」が招いた慢性的な混雑を解消し、より快適で円滑な空港利用環境を目指すものです。
背景:駐車場の慢性的な混雑と値上げの必要性
新千歳空港は、北海道の空の玄関口として年間多くの利用客を迎えています。空港の駐車場きんの台数は約5,500台分にものぼりますが、特にコロナ禍を経て自家用車利用が急増し、ピーク時には満車で駐車待ちの車の長蛇の列が発生するほどの混雑が続いていました。
その要因の一つは「1日あたり1,200円」というこれまでの料金設定が、札幌市内から空港へのJR、空港バスの往復より安価であったこと、さらに24時間利用者が全体の約3割を占めていたことにあります。
空港側はこれを「安すぎる料金が長時間駐車を招き、回転率の低下や混雑を助長していた」と説明しています。
新料金体系の詳細――最大3倍、混雑期は4,500円まで
- A・B駐車場(ターミナル直結):24時間最大1,200円 → 3,500円(通常期)(多客期は最大4,500円)
- A・B駐車場(2時間まで):300円 → 1,000円(ターミナルに近い区画)
- C駐車場:24時間500円 → 2,500円(通常期)(5倍)
- 時間貸し料金や長期利用割引の廃止
- 新たなD駐車場(札幌側)の供用(2025年12月から)も予定、一時的に無料運用
割引サービスの拡充と利用者への配慮
値上げによる利用者負担の増加を緩和するため、割引サービスの拡充も併せて導入されます。
- 空港内店舗で一定額以上利用した場合、A・B駐車場で最大8時間まで無料となるサービス。
- 入庫から1時間無料のサービスは今後も継続。
これにより、短時間の送迎や買い物利用者に対しては従来通り、またはそれ以上の利便性が維持されます。また、駐車場予約サービスも拡充され、混雑緩和と利便性向上の両立を図っています。
なぜこれほどの大幅値上げ?
空港運営側が「これまでの料金は安すぎて、車利用者が集中しすぎてしまった」という認識に加え、空港近隣の交通インフラ(JR千歳線、バス)との価格差も指摘されています。今回の値上げは、
- 交通機関との適正な価格バランス実現
- 近隣地区への駐車流出防止
- 短時間・本来の空港利用者が使いやすい環境の整備
- 混雑回避による円滑な空港利用
などの狙いがあります。運営会社は「料金値上げ分を駐車場設備の整備やサービス向上に活用し、新たな需要や稼ぐ力の強化にもつなげたい」と説明しています。
利用者・周辺社会への影響
今回の値上げにより、空港利用者の「混雑ストレス」は大きく緩和されると期待される一方で、「価格上昇が家族や長期旅行者の負担につながる」「公共交通機関の利用が増えるのでは」といった声も聞かれます。
また、札幌市内からのアクセスは本来JRや空港バスが優勢となるため、今後は公共交通機関へのシフトや、海外・国内の他空港同様に「予約制」「ダイナミックプライシング」の導入なども検討される可能性があります。
今後の見通し――機能強化と持続的運営に向けて
新千歳空港は今回の値上げと並行し、新たな平面・立体駐車場の整備や機能強化計画にも着手。アクセス道路や誘導サインの改修、予約利便性の向上など「おもてなし力アップ」へと投資を進める方針です。
北海道の成長を支えるゲートウェイとして、多様なニーズに対応し、長期的なサービス持続と効率的な運営を両立させることが課題となっています。空の旅をさらに快適なものにするため、空港側も利用者と社会の声を反映しながら柔軟に対応していくことが期待されています。
まとめ:利用予定者へのアドバイス
- 2025年10月10日以降は駐車料金が大幅に上がります。空港駐車場を利用される方は事前の料金確認を忘れずに。
- 買い物や短時間利用の場合、割引サービスも積極的に活用しましょう。
- 長時間・長期駐車の場合は、公共交通機関や周辺駐車場、パーク&ライド方式も検討すると良いでしょう。
- 最新情報やサービス内容は、新千歳空港公式サイトでこまめにチェックを。