2025年の住宅ローン減税が延長決定。子育て世帯への優遇措置も継続
与党の税制調査会は2024年12月に2025年度の税制改正大綱を発表し、住宅ローン減税の制度を2025年12月31日まで延長することを決定しました。この決定により、マイホーム取得を検討している多くの人たちにとって重要な変化がもたらされることになります。
延長される住宅ローン減税とは
住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高に一律0.7%の控除率を乗じた金額を所得税や住民税から控除する制度です。この制度により、マイホームの購入者は大きな税務上のメリットを受けることができます。本来は2021年で終了予定でしたが、新型コロナウイルスの影響などを受けて延長され、現在は2025年12月31日までの入居を対象として継続されています。
現行の制度では、控除対象借入限度額や控除期間が住宅の種類によって異なります。例えば、長期優良住宅や一定の省エネ基準を満たした新築住宅の場合、借入限度額が高く設定され、より大きな減税効果が期待できます。
2025年度の主な改正内容
子育て世帯と若者夫婦世帯への優遇措置が継続されることが決定しました。これは2024年度に導入された改正内容を2025年度も延長するもので、対象となるのは「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の夫婦世帯」です。これらの世帯が新築住宅を取得した場合、通常よりも高い借入限度額が適用されるため、より大きな控除を受けることが可能になります。
例えば、2025年度中に省エネ基準を満たす新築住宅を購入し、年末時点で7,000万円の借入残高がある子育て世帯の場合、控除対象借入限度額である5,000万円に0.7%を乗じた35万円が所得税から控除されます。10年間の通常控除期間に加えて、3年間の延長控除期間で最大210万円の減税効果が期待できるのです。
床面積基準の緩和措置も延長
都市部のマンション価格が高騰する中で、限られた面積での住宅取得を検討している若者世帯にとって、床面積基準の緩和措置は極めて重要です。本来、住宅ローン減税の対象となるには50㎡以上の床面積が必要とされていますが、40㎡以上50㎡未満の新築住宅については特例措置が設けられています。
この緩和措置について、「2024年12月31日まで」に建築確認を受ける住宅が対象とされていましたが、2025年12月31日までに変更されました。これにより、小ぶりな住宅でも住宅ローン減税の恩恵を受けられる期間が1年間延長されたことになります。ただし、この場合は所得要件が合計所得金額1,000万円以下に限定される点に注意が必要です。
省エネ基準への対応が重要
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、原則として省エネ基準に適合する必要があることが要件とされています。これは環境への配慮と、長期的なエネルギーコスト削減を重視する政策方針を反映したものです。
省エネ基準に適合する住宅としては、「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」といったカテゴリーが設けられており、これらに該当する住宅は借入限度額が3,000万円に引き上げられます。一方、2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅や、登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅(その他の住宅)については、借入限度額2,000万円、控除期間10年間の条件が適用されます。
中古住宅の取得サポート拡充
与党の税制改正では、新築住宅だけでなく、中古住宅市場のサポートも拡充されています。買取再販住宅(不動産会社などが築10年以上の中古住宅を購入し、リノベーション工事を施した住宅)の取得についても、住宅ローン減税の対象とされています。
特に省エネ改修工事により所定の省エネ水準であることが確認されたリノベーション物件については、より有利な条件で住宅ローン減税を受けることができるようになっています。これにより、既存住宅の活用と、より多くの選択肢の中からマイホームを検討できる環境が整備されています。
入居期限に注意が必要
住宅ローン減税の現行制度を受けるためには、2025年12月31日までに実際に入居する必要があることに注意が必要です。この期限までに入居すれば、現行の制度内容が適用されます。新築住宅や買取再販住宅の場合、契約締結日によって適用される制度が異なるケースもあるため、契約前に十分な確認を取ることが重要です。
2026年以降の展望
2025年度は現行の住宅ローン控除が利用できる最終年になる見込みです。2026年以降の延長や内容変更については、現在のところ正式な発表はありません。もちろん、今後の税制改正によって同様の制度が延長される可能性もありますが、控除対象借入限度額や控除率が変更になる可能性も否定できません。
マイホームの取得を検討している人にとって、2025年は重要な判断年となります。2025年12月31日までの入居であれば現行の制度が適用され、特に省エネ性能の高い住宅は大きな減税効果が期待できるため、購入計画がある場合は早めの相談と準備が推奨されます。
子育て世帯にとっての追加的なメリット
住宅ローン減税だけでなく、贈与税の非課税措置についても重要な改正がなされています。2024年度の税制改正により、この制度が3年間延長されて2024年から2026年までの期間、非課税限度額が500万円(耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅は1,000万円)とされました。これにより、親からの援助を受けてマイホームを取得する際の選択肢がさらに広がっています。
特に子育て世帯や若者夫婦世帯にとっては、これらの複数の支援制度を組み合わせることで、より現実的なマイホーム取得計画が立てやすくなっています。
まとめ
2025年度の税制改正により、住宅ローン減税は2025年12月31日まで延長され、子育て世帯や若者夫婦世帯への優遇措置も継続されることが決定しました。床面積基準の緩和や中古住宅サポートの拡充なども行われており、多くの国民にとってマイホーム取得がより現実的になる環境が整備されています。ただし、この制度は2025年までの時限的なものであるため、マイホーム取得を検討している人にとって、2025年は重要な判断タイミングとなります。



