住宅ローン金利が上昇局面へ、借り手の返済負担が増加
2025年11月現在、日本の住宅ローン市場は金利上昇の転機を迎えています。変動金利は大きな変動を見せていないものの、固定金利は上昇傾向が顕著になり、12月にはさらなる値上げが予想されています。特に固定金利を選択している、または今後選択を検討している利用者にとって、金利上昇の影響を理解することが重要になっています。
現在、住宅ローンを借り入れている利用者の中には、金利上昇による返済額の増加を懸念する声が高まっています。例えば4000万円を借り入れ、残り25年の返済期間がある場合、わずか0.25%の金利上昇でも合計返済額にどの程度の影響があるのか、実際の数字を知りたいというニーズが急速に増えているのです。
4000万円借入、金利0.25%上昇のシミュレーション結果
住宅ローンにおいて、金利の小さな上昇でも長期間の返済期間を考慮すると、相当な負担増加につながります。4000万円を借り入れ、残り25年の返済期間というケースで試算してみましょう。
金利が0.25%上昇した場合の負担増加は、借入残高と返済期間によって異なりますが、一般的な計算では以下のような影響が考えられます。例えば、残り25年で4000万円を返済する場合、月々の返済額の変化は数万円から10万円超の範囲で増加する可能性があります。
具体的には、現在の金利が1.0%の場合と1.25%の場合を比較すると、月々の返済額の差は約3万円~4万円程度になることが一般的です。これを残り25年間(300ヶ月)続けると、合計では900万円~1200万円程度の追加負担が発生することになります。
この数字は決して小さくありません。多くの世帯にとって、このレベルの返済額増加は家計に深刻な影響を与える可能性があります。特に子どもの教育費や老後資金など、他の家計支出との兼ね合いを考えると、将来の見通しを立てなおす必要が出てくるかもしれません。
11月の住宅ローン金利動向:変動金利は据え置き、固定金利が上昇
2025年11月の住宅ローン金利は、変動金利と固定金利で異なる動きを見せています。
変動金利については、ほぼ全ての銀行で目立った動きがなく横ばい状態が続いています。これは日銀が2025年1月以降、6会合連続で政策金利を据え置いていることが主な理由です。ただし、ソニー銀行は変動金利を年0.1%引き上げており、市場金利の動向を反映した独自の判断を示しています。
一方、固定金利は多くの銀行で上昇に転じました。最も一般的なフラット35の金利は、10月の1.89%から11月は1.90%へと、0.01%上昇しています。更に注目すべき点として、固定金利の中でも長期間のものや特定のプランでは上昇幅が大きくなっています。例えば、三菱UFJ銀行の最初に大きな優遇コースでは、0.13%の引き上げが実施されました。
このような金利動向の背景には、長期金利の上昇圧力があります。財政拡大とインフレ期待を背景に、10年国債利回りが上昇していることが、固定金利を押し上げる要因になっているのです。
12月の金利予想:さらなる上昇の可能性
2025年12月の住宅ローン金利は、さらなる上昇が見込まれています。特に固定金利では、最大で0.05ポイント程度の上昇が予想されています。
仮にフラット35の金利が1.90%から1.95%に上昇した場合、借入金額3000万円・返済期間35年のケースでは、月々の返済額が764円増加することになります。これは一見わずかな増加に見えるかもしれませんが、35年間という長期間を考えると、合計では約32万円の追加負担となるのです。
このような上昇予想が出ている理由は、機構債の表面利率が大幅に上昇しているためです。11月20日に発表された機構債の表面利率は2.30%と、前月から0.15ポイント上昇しました。同時に、新発10年国債利回りも1.79%まで急伸しており、長期金利が上昇圧力を受けていることが明らかです。
この背景には、高市政権による積極的な財政出動とインフレ期待の高まりがあります。国の借金が増え、市場でインフレが予想されると、市場は不安になり国債の金利を上げようとするのです。
大手銀行の動き:12月に変動最優遇含め引き上げへ
大手5行を中心とした金融機関が、12月の金利引き上げを予定しています。特に注目すべきは、変動金利の最優遇金利まで引き上げを検討している銀行が出てきたということです。
これまで変動金利は「金利の下限」として設定されており、金融機関の競争を避けるため、比較的安定していました。しかし、長期金利の上昇が続く中、一部の大手銀行が「最優遇金利の見直し」を迫られる可能性が高まっています。
もし変動金利の最優遇金利が引き上げられれば、市場全体に大きな影響を与えることになります。なぜなら、多くの借り手が「最優遇金利を基準に銀行を選択」しているからです。最優遇金利が上昇すれば、他の銀行も追随する可能性が高く、変動金利全体が上昇する転機となる可能性があります。
住宅ローン選びの重要性:変動か固定か
現在の金利上昇環境では、変動金利か固定金利かの選択がより重要になっています。それぞれの特徴を理解し、自分たちの家計状況に合わせた判断が必要です。
変動金利の特徴は、現在の金利水準が低いことです。しかし、今後金利が上昇する可能性があり、返済額が増加するリスクがあります。金利上昇に備えるには、家計に余裕を持たせておくことが重要です。現在、変動金利の下限は0.6~0.9%程度に設定している金融機関が多く、依然として低水準をキープしていますが、この状況がいつまで続くかは不確実です。
固定金利の特徴は、金利が固定されるため、将来の返済額が確定することです。現在は上昇傾向にありますが、金利変動のリスクを避けたい場合には安心感があります。ただし、変動金利よりも高い金利を払う必要があります。
専門家の分析によると、変動金利が有利になるには「固定金利よりも5回以上の大幅な利上げ」が必要とされています。中央銀行による政策金利の引き上げが通常0.25%ずつであることを考えると、相当な上昇が必要ということです。つまり、現在の状況では、まだ変動金利を選択する価値がある可能性が高いということになります。
ローン見直しのポイント:借り手ができる対策
金利上昇局面では、借り手が取るべき対策があります。
まず、現在の借入条件を見直すことが重要です。変動金利で借りている場合、固定金利への変更を検討する価値があります。金利が上昇する前に固定金利にロックインすることで、将来の不安を軽減できるからです。
次に、返済期間の短縮を検討するのも一つの手です。残り期間が長いほど、金利上昇の影響を受ける期間が長くなります。可能であれば、返済期間を短縮することで、総返済額の増加を抑えることができます。
また、複数の金融機関の金利を比較することも重要です。同じ時期でも、金融機関によって金利に差がある場合があります。特に変動金利の場合、0.1~0.2%の差は大きな負担差になるため、最新の金利情報を確認して、最も有利な条件を探すべきです。
さらに、家計全体の見直しも検討する価値があります。ローン返済以外の支出を見直し、月々の返済額が増加しても対応できる家計基盤を作ることが、金利上昇時代を乗り切るための基本です。
今後の住宅ローン金利予測と対策
2027年度には政策金利が1.5%に達すると予想されており、その後も緩やかな上昇基調が続く可能性があります。ただし、大幅な上昇の可能性は高くないと見方が示されており、急激な金利上昇よりも、緩やかな上昇への対応が求められます。
このような環境では、「金利上昇の備えをしつつも、引き続き変動金利の利用を検討する」というバランスの取れた判断が重要です。短期的には変動金利の低さを活用しながら、将来的なリスクに備えておくことが、賢明な住宅ローン利用の秘訣といえるでしょう。
住宅ローンは人生における最大の金融商品の一つです。金利上昇局面だからこそ、自分たちの家計状況を正確に把握し、長期的な視点で最適な選択をすることが、安心した住宅生活を実現するための鍵になるのです。
