みずほ、産業育成へ100億円規模の新ファンド設立 スタートアップ支援を本格強化

金融大手のみずほグループが、今、スタートアップ企業の成長支援に本腰を入れています。2025年12月9日、みずほは「産業育成を目的とした100億円規模の新ファンド」を設立し、国内の新興企業に直接出資する動きを本格化させました。この動きは、日本の産業構造の転換や、地域経済の活性化にもつながる注目の取り組みです。

みずほ、スタートアップ支援に100億円の新ファンド

今回、みずほグループが立ち上げたのは、新興企業やスタートアップに直接出資するための投資ファンドです。ファンドの総額は100億円規模で、「新たな産業の創出」や「既存産業の進化」を目的としています。

このファンドは、株式上場前のスタートアップ企業を中心に、革新的な技術やサービスを持つ企業に投資していきます。出資だけでなく、上場後も経営面や財務面での継続的な支援を提供することで、企業の持続的な成長を後押しする構えです。

みずほキャピタル株式会社が無限責任組合員(運営主体)を務め、有限責任組合員として株式会社みずほ銀行が参加。グループ全体のネットワークと資金力を活かし、スタートアップの成長を包括的に支援していく方針です。

東京でイベント開催、新興企業の道内進出を支援

みずほ銀行は、この新ファンドの取り組みと並行して、新興企業の地方進出を支援するイベントも東京で開催しています。特に北海道など地方への進出を希望するスタートアップ企業に対して、現地の企業や自治体とのマッチングを積極的に進めています。

イベントでは、みずほ銀行が持つ全国のネットワークを活かし、スタートアップ企業と地方の企業・団体が直接対話できる場を提供。資金調達の相談だけでなく、事業展開のノウハウや人材確保の支援も視野に入れた、実践的なサポート体制を整えています。

地方にとっては、新しい技術やビジネスモデルを導入するチャンス。スタートアップにとっては、新たな市場や顧客層にアクセスできる機会。みずほ銀行は、こうした「Win-Winの関係」を生み出すプラットフォームとしての役割を果たしています。

Blue Lab買収で新投資ファンドを共同設立

さらに注目されるのが、みずほ銀行がスタートアップ支援会社「Blue Lab」を買収し、共同で「Blue Lab1号投資事業有限責任組合」を設立した点です。

Blue Labは、これまで多くのスタートアップに対してアクセラレーションプログラムや資金調達支援を提供してきた実績を持つ企業。みずほ銀行は、Blue Labの持つスタートアップ支援のノウハウと、自らの金融インフラ・ネットワークを組み合わせることで、より実効性の高い支援体制を構築しています。

「Blue Lab1号投資事業有限責任組合」は、Blue Labが発掘・育成してきた有望なスタートアップに、みずほ銀行が直接出資する形で運営されます。技術力や成長ポテンシャルの高い企業を早期から見極め、長期的なパートナーとして成長を支えていく狙いです。

みずほのスタートアップ支援、何が違う?

みずほグループのスタートアップ支援には、いくつかの特徴があります。

  • グループ全体の連携: みずほキャピタル、みずほ銀行、みずほ証券などが連携し、出資だけでなく、上場支援、M&A、資金調達など、企業の成長ステージに応じた包括的なサポートを提供。
  • 産業育成の視点: 単なる投資ではなく、「医療・ヘルスケア」「グリーン・サステナブル」「デジタル技術」など、将来の産業を支える分野に重点を置いて支援。
  • 地方との連携: 東京のスタートアップと地方の企業・自治体をつなぐことで、地域経済の活性化と、スタートアップの事業拡大を同時に実現。

特に、医療・ヘルスケア分野では、みずほグループがこれまで運営してきた「ライフサイエンスファンド」や「地域ヘルスケア産業支援ファンド」などとも連携し、研究開発から事業化、上場までを一貫して支援する体制を整えています。

スタートアップにとってのメリット

この新ファンドやBlue Labとの連携により、スタートアップ企業にとっては次のようなメリットが期待できます。

  • 安定した資金調達: みずほグループの出資により、研究開発や事業拡大に必要な資金を安定して得られる。
  • 経営・財務面の支援: 上場準備や財務戦略、リスク管理など、専門的なアドバイスが受けられる。
  • ネットワークの拡大: みずほグループの顧客企業や地方のパートナー企業とのビジネスチャンスが広がる。
  • 地方進出の支援: 地方の市場や人材、補助金制度などを活用した事業展開がしやすくなる。

特に、技術力はあるが、資金や人脈に課題を抱えるスタートアップにとっては、みずほの支援は大きな力になります。

今後の展開と期待

みずほグループは、今後もスタートアップ支援をさらに強化していく方針です。新ファンドの投資先を広げるとともに、Blue Labとの連携を深め、より多くのスタートアップが成長できる環境づくりに力を入れていく見通しです。

また、地方進出支援イベントを定期的に開催し、スタートアップと地方の企業・自治体とのマッチングを積極的に進めていく予定です。これにより、都市部と地方の格差是正や、地域産業の活性化にも貢献することが期待されています。

みずほのこうした取り組みは、単なる金融サービスの提供を超え、「日本の産業の未来をつくる」という大きなビジョンにつながっています。スタートアップの成長が、新しい雇用や技術、サービスを生み出し、社会全体の発展につながっていく。そんな未来に向けて、みずほグループの動きは今後も注目されます。

まとめ:みずほの新ファンド、スタートアップと地域をつなぐ架け橋に

みずほグループが立ち上げた100億円規模の新ファンドは、単なる投資ファンドではなく、「産業育成」と「地域活性化」を両輪とする、新しいタイプの支援策です。

スタートアップ企業にとっては、資金だけでなく、経営・財務・ネットワークの面で強力なバックアップが得られる大きなチャンス。地方にとっては、新しい技術やビジネスモデルを導入し、地域経済を活性化する好機です。

みずほ銀行のBlue Lab買収や、東京でのイベント開催も、こうした大きな流れの中での一環。今後、みずほがどのようなスタートアップを支援し、どのような産業や地域を変えていくのか。その動きから、ますます目が離せません。

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