三菱「デリカD:5」が7年ぶり大幅改良!──独自四輪制御「S-AWC」搭載で“唯一無二”のミニバンがさらに進化

三菱自動車のロングセラーミニバン「デリカD:5」が、約7年ぶりとなる大幅改良を受けて正式発表されました。価格は451万円から494万4500円までの3グレード構成で、発売日は2026年1月9日と案内されています。今回の改良では、世界ラリー選手権(WRC)で鍛えられた独自の四輪制御技術「S-AWC(Super All Wheel Control)」を量産デリカとして初採用し、悪路走破性と安定性が大きく高められているのが最大の特徴です。

ミニバンでありながら本格SUV並みの走破性を持つ“特異なポジション”のクルマとして高い人気を誇ってきたデリカD:5。その個性をさらに際立たせる大幅改良となっており、三菱自動車の加藤隆雄社長も「三菱らしさを体現したクルマ」と強調しています(発言内容はメーカー発表趣旨による要約)。

価格・グレード構成:451万円からの3グレード

今回発表された新型デリカD:5は、以下の3グレードが用意されています。

  • G:451万円
  • G-Power package:474万6500円
  • P:494万4500円

いずれも2.2Lクリーンディーゼルエンジンと8速AT、電子制御4WDを組み合わせたパワートレーンを採用し、力強く静かな走りと高い悪路走破性を両立しています。予約受注はすでにジャパンモビリティショー2025でのプロトタイプ出展とあわせて開始されており、約450万~約495万円という価格帯が事前に案内されていました。

最大のトピック:「S-AWC」搭載で悪路でも安心の走り

今回の大幅改良で最も大きなトピックが、三菱独自の車両運動統合制御システム「S-AWC」の採用です。

S-AWCは、「ランサーエボリューション」などラリーで培われた技術をもとに、4輪の駆動力やブレーキ力を統合的に制御するシステムで、走破性と操縦安定性を飛躍的に高めることを目的としています。これにより、積雪路や未舗装路、高速道路、雨天時など、さまざまな路面状況でも安心して走れる性能が一段と向上しました。

ドライブモードは、路面やシーンに応じて選べる4モードを用意しています。

  • NORMAL:日常走行向けの標準モード
  • ECO:燃費重視のモード
  • GRAVEL:砂利道など未舗装路向け
  • SNOW:積雪路・滑りやすい路面向け

さらに、下り坂でクルマの速度を自動的に一定に保つ「ヒルディセントコントロール」も搭載され、山道やキャンプ場などの急な下り坂でもドライバーの負担を減らしてくれます。ミニバンでありながら本格SUVさながらの制御技術を備えた点は、デリカD:5ならではの大きな魅力と言えるでしょう。

力強さとプレミアム感が増したエクステリア

外観デザインは、現行モデルで好評だった「ダイナミックシールド」コンセプトのフロントフェイスを基本的に継承しつつ、ディテールを大きくブラッシュアップしています。

主な変更点は次の通りです。

  • フロントグリル&フロントバンパー:よりシンプルで立体感のある、力強いデザインに変更
  • リアデザイン:左右一体型だったテールランプの意匠を見直し、中央に「DELICA」ロゴを配置する新スタイルに変更
  • ホイールアーチモール:新たに追加し、ワイドで安定感のある足まわりと高い走破性を想起させるデザインに
  • 18インチアルミホイール:新デザインを採用し、グレードごとに異なるカラーを設定

18インチホイールは、Pグレードがマッド&スノー対応のホイールカラー、G-Power packageGグレードにはダークグレーのアルミホイールが設定され、見た目のタフさと上質さを両立しています。

ボディサイドのホイールアーチモールにより、SUVらしい「ギア感」が一段と強調されているのもポイントです。ミニバンでありながら、アウトドア・アクティビティとの親和性が高い“冒険するファミリーカー”のキャラクターがより分かりやすく表現されています。

統一感と機能性が増したインテリア

室内も、デリカらしいタフさと居心地の良さを両立させたデザインに進化しています。大きな変更点は以下の通りです。

  • センターパネル:傷が目立ちにくいダークグレーとし、実用性と質感を両立
  • シート生地:特別仕様車「CHAMONIX(シャモニー)」にも用いられているスエード調素材(撥水機能付き)と合成皮革のコンビシートを採用
  • ステッチカラー:カーキ色のステッチを各部に配し、内装全体の統一感を向上
  • インテリアパネル:金属調フィニッシャーを採用し、“ギア感”と“プレミアム感”を両立
  • 8インチカラー液晶ディスプレイメーター:新採用により、視認性と先進感を高めたメーターパネル

また、センターコンソールとフロアコンソール下部には、それぞれUSB Type-Cポートを2口ずつ追加。合計で複数の充電ポートが用意され、スマートフォンやタブレットなどを同時に充電したいファミリー層にとって利便性がさらに向上しています。

メーターは8インチカラー液晶化され、S-AWCの作動状況やドライブモードなどの情報を分かりやすく表示。機能的でありながら、先進的なコックピットとしての魅力も増しています。

安全装備「三菱e-Assist」がさらに進化

運転支援技術「三菱e-Assist」も強化され、安全性と利便性が一層高められました。主な改良ポイントは以下の通りです。

  • 衝突被害軽減ブレーキシステム:従来の車両・歩行者に加え、自転車の検知にも対応
  • 誤発進抑制機能:前進だけでなく後退時のアクセル踏み間違いにも対応
  • マルチアラウンドモニター:カメラ画質を約3倍に向上し、新たな表示モードを追加

マルチアラウンドモニターでは、両サイドビュー+フロントビューバードアイビュー+透過フロントサイドビューなどの画面表示が追加され、狭い駐車場や見通しの悪い交差点などでの視認性が大幅に改善されています。さらに、移動物検知機能も採用され、周囲を移動する歩行者や自転車などを認識して注意喚起を行うことで、安全確認をサポートします。

これらの先進安全機能により、ファミリーカーとしての安心感が一段と高まり、「遠くまで家族で出かけたくなるクルマ」としての魅力が増しています。

パワートレーンと走り:2.2Lディーゼル+8速ATは継続

エンジンやトランスミッションは、従来の高評価なパッケージを磨き上げる方向で継承されています。新型デリカD:5は、直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルエンジン8速スポーツモードA/Tを組み合わせ、力強く静かで滑らかな走りを実現しています。

このディーゼルエンジンは、アウトドアユースを想定した低回転からの太いトルクが特徴で、荷物をたくさん積んだ状態や定員乗車時でも余裕のある走りが可能です。電子制御4WDシステムとS-AWCの連携により、滑りやすい路面でも高いトラクションを確保し、ドライバーの意図に忠実なハンドリングを実現しています。

車体構造では、従来からの環状骨格構造「リブボーンフレーム」を採用し、ミニバンでありながらSUV並みのボディ剛性と悪路走破性を両立。これに新たなS-AWC制御が組み合わさることで、「数字だけでは語り尽くせない走りの質」を追求したモデルに仕上げられています。

世界でも“特異なポジション”を突き進むデリカD:5

デリカD:5は、世界的に見ても珍しい「SUVミニバン」というジャンルを切り開いてきたモデルです。一般的なミニバンがオンロードでの快適性や室内空間を重視するのに対し、デリカD:5は悪路でも安心して走れる本格4WD性能を併せ持つことで、独自のポジションを確立しています。

今回の大幅改良で、エクステリア・インテリアの質感向上、S-AWCによる走りの進化、安全装備の強化など、あらゆる面が底上げされました。それでも、「力強いスタイリング」と「悪路走破性」という、デリカならではの軸は一切ぶれていません。

三菱自動車は、新型デリカD:5を「三菱らしさを凝縮した唯一無二のオールラウンドミニバン」と位置づけています。ファミリーの送り迎えから、週末のキャンプ、雪山へのスキー・スノーボードまで、この1台で幅広くこなしたいユーザーにとって、心強い選択肢となるでしょう。

すでにジャパンモビリティショー2025でのプロトタイプ公開以降、予約注文が順調に入っているとされており、発売後もしばらくは納期が延びる可能性があると報じられています。デリカファンはもちろん、「ミニバンだけど、どこでも行ける相棒がほしい」と考える人にとって、新型デリカD:5は非常に注目度の高い1台になりそうです。

参考元