ミネベアミツミ、ツバキ・ナカシマのボールねじ事業を正式に取得――新社名「ミネベアリニアモーション」誕生
ミネベアミツミ株式会社(以下、ミネベアミツミ)は、2025年10月3日、かねてより発表されていた株式会社ツバキ・ナカシマ(以下、ツバキ・ナカシマ)のボールねじおよびボールウェイ事業の取得を完了したと発表しました。本取得により事業を承継する新会社は、「ミネベアリニアモーション株式会社」として新たなスタートを切ります。
今回の事業取得の概要
- 取得対象:ツバキ・ナカシマが運営してきたボールねじおよびボールウェイの製造および販売事業
- 経緯:ツバキ・ナカシマは事業分割を実施し、新会社を設立。その株式をミネベアミツミが取得(子会社化)
- 新社名:ミネベアリニアモーション株式会社
- 取得完了日:2025年10月3日
この取引は、2024年2月9日に最初の基本合意公表後、品質検査データの不正問題を経て慎重な調査と協議が進められた結果、最終的な契約締結・事業承継完了に至ったものです。
背景と経緯 ― 品質データ不正から再出発まで
本事業取得は、当初2024年2月に発表されましたが、その後ツバキ・ナカシマの品質データ不正問題が明らかになりました。この問題を受けてミネベアミツミは外部調査委員会の調査結果や再発防止策の実効性を慎重に検証。複数回にわたって契約条件や実施日を見直すなど、安全策を徹底した上で今回の最終契約・事業取得となりました。
ミネベアミツミは「調査に基づく再発防止策が講じられたこと」「今後の事業継続に支障がないこと」を十分に確認し、この承継を決断。信頼回復と持続可能な成長にコミットする方針を強調しています。
新会社「ミネベアリニアモーション」とは
ボールねじ・ボールウェイは、産業用ロボットや製造装置、半導体関連装置など、多様な分野で不可欠な精密直動部品です。今回新たに「ミネベアリニアモーション株式会社」となった新会社は、高度な精密加工技術や品質管理ノウハウを受け継ぎつつ、ミネベアミツミグループの一員としてグローバル展開を強化する役割を担います。
- 事業内容:主にボールねじ・ボールウェイの設計、製造、販売
- 用途:工作機械・自動車部品製造装置の精密移動機構、半導体装置、医療機器など
- 強み:グループ内のベアリング・モータ・センサー技術との連携によるトータルソリューション提案
これにより、ミネベアミツミは既存事業とのシナジー(相乗効果)を活かし、より高付加価値な製品・サービスを世界中の産業界に提供できるようになります。
株式市場への影響と投資家の関心
一連のニュースを受け、株式市場ではミネベアミツミ株への注目が高まっています。最近のマーケットではTOPIX(東証株価指数)が25日移動平均線を下回る局面が現れる中、ミネベアミツミのような新たな事業基盤の強化銘柄に「押し目買い」のタイミング到来との見方が広がっています。
この背景には、ミネベアミツミが新市場環境下でも積極的な成長戦略を打ち出していること、そして今回の事業取得が中長期的な収益拡大や競争力向上につながるとの期待があります。
業界内でのポジショニングと今後の展望
リニアガイド・ボールねじ業界では、高精度・高耐久性部品への要求がますます高まりを見せています。その中でミネベアミツミは、グローバル規模での技術・生産・販売ネットワークおよび開発力をさらに拡充し、産業自動化や省人化が進む多様な分野に最適な製品を届ける戦略を鮮明にしています。
特に、半導体製造装置や医療機器など高付加価値分野への供給拡大により、グループ全体の成長エンジンとしての役割が期待されています。
ツバキ・ナカシマ側の狙いと業界再編の背景
今回、ツバキ・ナカシマがボールねじ・ボールウェイ事業を分社化・譲渡した背景には、主力のベアリング事業への集中やグループポートフォリオの再構築戦略があります。これにより両社がコア領域でそれぞれ強みを磨き、市場競争力の最大化を狙う動きでもあります。
経営統合によるシナジー効果
- 精密加工・生産工程での知見融合
- 営業・販売ネットワークの拡大
- 新市場開拓やグローバルサプライチェーン強化
- DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やCO2削減施策の一体的推進
社会・ユーザーへの広がる影響
最先端の製造現場・物流現場・医療現場などで活躍する高度な直動機能製品は、社会の生産性改善や持続可能な社会形成にも貢献しています。ミネベアミツミ・ミネベアリニアモーションが提供する部品やソリューションが、より多くのイノベーションを支える基盤技術として今後注目されていくでしょう。
おわりに ― 信頼回復と次なる成長ステージへ
品質データ不正という困難を乗り越え、グループ一丸となって“品質最優先”の経営のもと新たなスタートを切ったミネベアミツミとミネベアリニアモーション。今後も「安心・安全なものづくり」と「持続的成長への取り組み」が、日本の製造業・世界の産業界に与える影響に注目が集まります。
- 信頼回復を目指す企業努力と透明性ある情報開示
- 投資家や産業界からの評価向上
- 新たな製品・サービスイノベーションの期待
今後もミネベアミツミおよびミネベアリニアモーションの取り組みに、さらなる注目が集まります。